選択
静かになった空間の中、肺に貯めていた空気を一気に出す。
「ふぅ~」
負傷を悟られないように演技していたとはいえ、キツイものがあった。
特に右腕が。
時間の隙間に無理やり入り込むために、すぐに演算を開始したけれど、体のすべてが間に合ったわけではない。
時間の狭間に入り込むために無理やり自分でも同様の魔法を発動したけれど、右腕が引っかかってしまったのだ。
時間停止した空間内で無理やりにでも動くために右腕を無理やり付け根部分を切断してきた。
それにしても———。
「まさかねえ」
襲撃してきた彼女の胸の内にちらりと見えた移植痕からなんとなく察してしまい、内側にあった爆弾を抜いてきたが———。
その時に彼女に触れてしまった。
魔法で作った右腕のホログラムが剥がれてしまった。
今も右腕のホログラムは元の形状を保つだけで精一杯だ。
集中力を駆使してもこの状況なのだ。
少しでも気を抜けば右腕のホログラムだけでなく魔法で作った右腕自身が破裂することになる。
「はあ。また怪我したことをみんなに怒られる」
気が重い。
とにかく、今回の件はこれで終了とみていいだろう。
問題は山積みだけど。
今回の件でドローン対策として防衛局側にセンサーの感知範囲を上方向に伸ばさないといけないことが分かった。
それに、このデータを他のテロリストたちが見たら絶対に数の暴力で襲撃をかけるだろう。
次の議題で取り上げよう。
今の剣崎最高司令が予算を取られそうな案件を飲むかは謎だけど。
さて、と。
次は、ちょっと荷が重いことをしなければいけない。
彼女の性質が正しければいいのだけど………これは、一種の賭けになるかな。
ここが分水嶺。
失敗すれば、僕はすべてを失うだろう。
それでも。
「あ、北条さん? 次の座標に来てくれない?」




