うわさの真相④
「これはきっと、本来なら私が話していいことではないのだけれど…」
いつも物怖じしないジュリアンヌが、このような歯切れの悪い言い回しをするのは珍しい。
ピンクブロンドに隠れかかった青い瞳を、申し訳なさそうに揺らしながら、遠慮がちに訊ねる。
「だからこそ、おばさまは最後まで隠されようとしていたわ。それなのに、わたくしが無理に問い詰めてしまって。だから、これをあなたの耳に入れても、おばさまは悪くないと分かってくれるかしら…?」
「ええ、もちろん分かっているわ。ありがとうジュリー」
緊張している人を見ると自分の緊張が解ける要領もあってか、アメリアは段々と正気に戻っていた。
ジュリアンヌが後ろめたく思うほど悩ませてしまったことに罪悪感を抱きつつ、お礼を伝える。
しかし、それも束の間、アメリアはとんでもなく衝撃を受ける。
「……フェリクス殿下はね、アメリア。内緒であなたへのジュエリーを誂えるために、ルディおばさまのブティックに通っていたのよ」
「!?」
ジュリアンヌから気まずそうに告げられた事実が意外すぎて、アメリアは反応できなかった。
そんなアメリアの代わりに、レイラが「うそっ!」と大きな声を上げる。
手のひらで口元を抑えたレイラが恥ずかしそうに謝っているのを見て、アメリアは微笑ましく思いながら自分の気持ちを落ち着けることができた。
それにしても、フェリクスがジュエリーブティックに通っていたなんて驚きだ。
「…正直、レイラと同じ気持ちだわ。ジュエリーをもらうのは今までお断りしていたのに、どうして…」
「来年の春には結婚する2人だから、婚約期間にひとつでもジュエリーを贈りたかったそうよ。それで最後のチャンスに、数ヶ月かけてオーダーメイドしていたのですって」
アメリアは言葉を失った。
そんなに前から手がけていたなら、アメリアがコサージュを作り出すよりも前から着想していたことになる。
王城で執務で忙しい身のはずなのに、フェリクスはそれだけ長い時間をかけブティックに通い、アメリアのためにずっと準備してくれていた。
それを、誂えてもらった本人が「もったいないからもらえない」と言ってしまった。
コサージュをつけてもらえなかった時のアメリアと同じくらい、もしかしたらそれ以上に、彼は悲しかったのではないだろうか?
アメリアはフェリクスの寂しそうな瞳を思い出し、胸の痛みを堪えるように瞳を伏せた。
そんなアメリアに、気遣わしげなサラの声がかかる。
「…少し、いいかしら?」




