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フェリクスの決意①







秋の深まる豊穣祭から1週間が経ち、ケルディアール王国では冬の支度が始まった。

宰相や役人たちがせっせと進捗をチェックし、職員たちもせわしなく走り回っている。

そして今もフェリクスの指示と、官僚たちの提案が、コーチングルーム(総合会議室)に響いている。






「本年の収穫が芳しくなかったエリアだが、穀物のストックは確認できたじゃろうか?」






「北部では、夏の終わりの洪水のせいで橋が崩れておりましたな?あれは不便な上、供給ルートに関わりますぞ」






「既にフェリクス王子が馬を飛ばし、灌漑対策と食料供給ルートについて手配してくださっております」






「なんと!ありがたい…」






会議室に集まっている宰相たちから感嘆の声が上がる。

フェリクスは、この繁忙期にアメリアと会う予定をつくるために、鬼のように公務を片付けていた。

冬の支度に向けた王城中で、せわしない足音と大声が響く中、異常なスピードで仕事を消化する第三王子フェリクスは今や()()()となっている。



実のところ、今まで兄王子のため”手加減”していたフェリクスが、アメリアとの時間をつくるべく一心不乱に働いているだけなのだが、気がつく者はいなかった。



こんなに仕事を片付け、きらきらしい真顔を貼り付ける第三王子(メシア)が、まさかフィアンセに浮気を疑われた上、デートも全てキャンセルで避けられているとは、誰も思わないようだ。



みな人間とは思えないフェリクスの処理能力に若干引きつつ、その神技に手を合わせて感謝している。

何度フィアンセを誘ってもその甲斐なく断られ、めげずに次の弁解のチャンス(デート)を取り付けているとは、誰も思っていない。



そして、ここまで必死にフェリクスがアメリアと会おうとしているのは、アメリア恋しさだけではない。

ユーリの()()を認めたからだった。



「フェリクスの浮気を疑ったアメリアがショックを受け、避けているのではないか」という、フェリクスにとって不名誉で、あまりに恐ろしい仮説を。







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