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コスモスの失意④







「そんな顔する程まずいのか。”白薔薇”は良さげだって父さんが言ってたのだけど」






学園で”白薔薇”というあだ名で呼ばれているアメリアは、突然ユーリから発せられた単語に驚く。

そして、そんな反応をする自分にも驚いた。



初めてそう呼ばれた時は困惑していたのに、今となっては”白薔薇”と聞いて肩を揺らすとは自分で意外だった。



何はともあれ、盗み聞きになるのは困る。

しかし、この場から離れたいのはやまやまだが、今さら立って歩くわけにもいかない状況だ。



若草色のデイドレスを着て、アメリアはそのスカートをたくし仕上げた。

屈んだままどうにか奮闘して踵を返し、冷たい風に背中を押されながら進む。



その時のアメリアは、必死だった。






「”白薔薇”という名前に免じて、今回限りで試しただけだ。これからも()()()()()()()()()






必死すぎて、コスモス畑を抜ける事に集中していたアメリアは、このフェリクスのつぶやきを聞き逃してしまう。

せっかく君に似合いそうなキセルだったのに残念だ、というユーリの声も、冷たく秋風がさらった。



近くのトピアリー(植え込み)に身を寄せて息をついたアメリアは、後ろ髪をひかれながらも出口へ向かう。

その時になって、はっきりとフェリクスの言葉が聞こえてしまう。






「だいたい、欲しくもないのに手紙つきでプレゼントされても困る」






……え?



まさしく自分は、メッセージカードと一緒にコサージュを贈ったはずだった。

アメリアは血の気が引いて、思わず足を止めてしまう。



植え込みの裏でアメリアが放心状態になっていることなど誰も知らないまま、無情にも話はどんどん進んでいく。

フェリクスに、ユーリが大げさに嘆くように言った。






「冷たいなあ」






「自分の趣味に私を巻き込まないでほしい」






確かにアメリアは、フェリクスに似合いそうなデザインを自分で考えて作り、それをプレゼントしてしまった。



それがあまりにも趣味に合わなくて、身につけたくなかったのだろうか。

他にもコサージュが日の目を見なかった理由を挙げれば、いくらでも連なるだろう。



ただ、今聞いたことは、今までフェリクスの口からは聞いたことがないような辛辣な意見だ。

そんな感想が自分に言われているかもしれないと思っただけで、アメリアは立っているのもやっとだった。






「てっきり好きかと思ったのに」






「だとしたら勝手な思い込みだ。全くそんな事実はない」






「はいはい」






もう何のことを話しているのか想像したくもない。

聞きたくないのに、動かせない自分の足が憎かった。

早く離れなければ、もう持たない。






「そういえばマダム・ルーシーに聞いたけれど、例のジュエリーはもう君の手元にあるんだって?」






もうこれ以上聞いたらおかしくなる。

思ったその時には、アメリアは駆け出していた。






ここまで辛いターンが続きますが……

これが終われば、怒涛のカタルシス&甘々フェーズに入ります…!!

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