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『目指すは最強! ~魔法オタクの異世界無双~』  作者: 穂乃果
第5幕 青銀の魔女、世界を巡る!
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第41話「ルシャナさん、盗賊団を壊滅させちゃいました!?」

今回は、六英雄ルシャナさんの実力が明らかに!


優しくて、ちょっとおっとりした吟遊詩人のお姉さん。


でも、六英雄って呼ばれるには、ちゃんと理由があるんです(笑)


それでは第41話、お楽しみください!


 盗賊が出るらしい。

 王都を出て、まだ半日も経っていない。

 なのに、もう盗賊だ。

 ……異世界って、すごい。


「セリスちゃん」


「はい!」


「さっきから、少し楽しそうね?」


「そ、そんなことないですよ!?」


 隣を歩くルシャナさんが、くすっと笑った。


「そう? でも、盗賊は危ない人たちなのよ?」


「分かってます! ちゃんと気をつけます!」


 もちろん、盗賊に会いたいわけじゃない。

 ただ、六英雄のルシャナさんが戦うところは、ちょっと見てみたい。


 いや、ちょっとじゃない。

 すっごく見たい!


 アルディスさんの剣術もすごかったけど、ルシャナさんは吟遊詩人だ。

 歌と精霊魔法で戦うって、どんな感じなんだろう?

 水の精霊ルアールが、私たちの頭上をふわふわ飛んでいる。


「ルアールちゃんって、戦うときも一緒なんですか?」


「ええ。いつも助けてもらっているわ」


「水の花もすごかったですけど、戦うときは何ができるんですか!?」


「いろいろできるわよ。水で相手の動きを止めたり、攻撃を防いだり」


「おおおっ!」


「でも、できれば使わずに済む方がいいわね」


「……そうですね」


 それは、確かに。

 魔法は大好きだけど、誰かが傷つくのは嫌だ。


 私は頷いて、街道の先に目を向けた。

 両側には背の高い木々が並び、道は緩やかな坂になっている。

 少し先には、岩が突き出した狭い場所があった。


「……あら」


 ルシャナさんが足を止めた。


「どうしました?」


「セリスちゃん。少しだけ、私の後ろにいてくれる?」


「えっ?」


 その声は、いつもと変わらず穏やかだった。

 でも、視線は街道の先に向いている。

 私も目を凝らした。


 ……ん?

 木の陰に、何か動いた?


「……いるんですか?」


「ええ。何人かね」


 ルシャナさんは微笑んだ。


「まずは、お話ししてみましょうか」


     ◇


「おい、止まれ!」


 岩陰から男が飛び出してきた。

 続いて、木の陰からもぞろぞろと人影が現れる。

 一人、二人、三人……。

 十人以上いる!


 革鎧に、剣や斧。

 中には弓を構えている人もいた。


 ……本物だ。

 本物の盗賊だ!


「へへっ。運が悪かったな、お嬢ちゃんたち」


 先頭の男が、にやにや笑いながら近づいてくる。


「金目の物を全部置いていきな。そうすりゃ、痛い目は見ずに済むぜ」


 ルシャナさんは、男たちをゆっくり見回した。


「……旅人から物を奪っているの?」


「ああ? 見りゃ分かるだろ」


「そう。困ったわね」


 ルシャナさんは、小さく息をついた。


「今なら、まだ引き返せるわ。武器を下ろして、道を空けてちょうだい」


 一瞬、沈黙が流れた。

 そして。


「ぶははははっ!!」


 盗賊たちが笑い出した。


「聞いたか!? 引き返せだとよ!」


「エルフの姉ちゃん、俺たちが何人いるか分かってんのか!?」


「吟遊詩人風情が、何を偉そうに!」


 ……あ。

 それ、言っちゃうんだ。

 私は思わずルシャナさんを見た。

 彼女は、少し困ったように微笑んでいる。


「……そう。残念ね」


 その瞬間。

 盗賊の一人が、剣を振り上げて突っ込んできた。


「おらあああっ!!」


 速い!

 ……いや。

 速いと思ったのは、最初だけだった。

 次の瞬間、ルシャナさんの姿が消えた。


「……え?」


 盗賊の剣が、空を切る。

 同時に。


 カンッ!

 乾いた音が響いた。

 男の手から剣が飛び、地面に突き刺さる。


「ぐえっ!?」


 男は膝をついた。

 その背後には、いつの間にかルシャナさんが立っていた。

 手には、細身の短剣。


 ……え?

 今、何が起きた?


「武器を手放してちょうだい」


 ルシャナさんが静かに言った。


「これ以上、傷つけたくないの」


「な、何しやがった!?」


 別の盗賊が叫んだ。


「囲め! 一斉にかかれ!!」


 三人が同時に走り出す。


 右から剣。

 左から斧。

 正面から槍。


 ……危ない!

 そう思った瞬間。


 ルシャナさんの肩で、ルアールが光った。

 青い光が、ふわりと広がる。

 次の瞬間、地面から水が噴き上がった。


「うおっ!?」


「な、何だこれ!?」


 水が蛇のようにうねり、盗賊たちの足首に絡みつく。


 三人が一斉に転んだ。

 その間に、ルシャナさんが動いた。

 一歩。

 二歩。

 短剣の柄が、男たちの手首を正確に打つ。


 剣が落ちる。

 斧が転がる。

 槍が宙を舞う。

 そして。


「はい。おしまい」


 ルシャナさんが微笑んだ。


 ……。

 …………。


「すっっっごおおおおい!!」


 私は思わず叫んだ。


「ルシャナさん!! 今の何ですか!? 速すぎません!? 水が足を掴んで、その間に全部武器を落として!!」


「セリスちゃん、まだ終わっていないわよ?」


「あっ、そうでした!」


 そうだ。

 まだ盗賊がいる。

 ……というか。

 盗賊たちの顔色が、さっきと全然違う。


「な、何だこの女……!」


「魔術師か!?」


「いや、今の動き……!」


 男たちが後ずさる。

 でも、逃げるには遅かった。

 ルアールが小さく腕を振ると、街道の脇に流れていた水が持ち上がった。

 何本もの細い水の帯になって、盗賊たちへ伸びる。


「うわああっ!?」


 足首。

 手首。

 武器を持つ腕。


 次々に絡みつき、男たちを地面へ引き倒していく。


 弓を構えていた男が、慌てて矢を放った。

 ヒュッ!


 ルシャナさんは振り返りもしなかった。

 水の膜が、彼女の背後に広がる。

 矢はそこに吸い込まれ、勢いを失って地面へ落ちた。


「……えええっ!?」


 私は目を見開いた。

 水で矢を止めた!?

 しかも、あんな薄い膜で!?

 すごい!

 あれ、どうやってるんだろう!?


 水の密度? 魔力の流れ? それとも精霊の力で――


「セリスちゃん」


「はい!」


「少し離れていてね」


「あっ、はい!」


 私は慌てて後ろへ下がった。

 危ない危ない。

 見入っちゃってた。


 ……でも、すごいなあ。

 ルシャナさん、まだ一度も歌ってないんだよね。

 吟遊詩人なのに。


 それなのに、盗賊たちはもうほとんど動けなくなっていた。

 最後に残った大柄な男が、斧を握りしめる。


「く、来るなあああっ!!」


 男が斧を振り回した。

 ルシャナさんは、ほんの少し身体を傾けた。


 斧が空を切る。

 次の瞬間、彼女の短剣が男の手首を打った。


「いでえっ!?」


 斧が落ちる。

 さらに一歩踏み込み、足を払う。


 ドサッ!

 男は仰向けに倒れた。


 その胸元へ、短剣の切っ先が静かに向けられる。


「……もう、やめましょう?」


「ひっ……!」


 男は、何度も頷いた。

 ……。

 …………。

 終わった。

 本当に、あっという間だった。


「ルシャナさん!!」


「はい?」


「かっっっこいいいいいい!!」


 私は駆け寄った。


「今のもう一回見せてください!!」


「……もう相手がいないわよ?」


「じゃあ、私が相手になります!」


「それは遠慮しておくわね」


「えええっ!?」


 ルシャナさんが苦笑した。


「セリスちゃん。まずは、こちらの人たちをどうするか考えましょう」


「あっ、そうですね!」


 私は、地面に転がる盗賊たちを見回した。

 全員、水の帯で縛られている。


 ……すごい。

 誰も大怪我してない。

 これだけの人数を、ほとんど傷つけずに制圧したんだ。

 やっぱり、六英雄ってすごいなあ。


     ◇


「さて」


 ルシャナさんが、盗賊たちの前にしゃがみ込んだ。


「少し、お話を聞かせてもらえる?」


 先頭にいた男が、顔を背けた。


「……知らねえよ」


「まだ何も聞いていないわ」


「うるせえ! 俺たちに手を出して、ただで済むと思うなよ!」


 男が唾を吐いた。


「うちの頭が黙ってねえぞ!」


 ……頭?

 ルシャナさんの表情が、少し変わった。


「……そう。あなたたちには、ほかにも仲間がいるのね」


「……!」


「その人たちは、どこにいるの?」


「言うわけねえだろ!」


 ルシャナさんは、しばらく男を見つめていた。

 それから、静かに尋ねた。


「……旅人を襲っているのは、あなたたちだけ?」


「……っ」


「攫った人たちは、どこにいるの?」


 男の顔色が変わった。


「な、何のことだ!」


「……そう」


 ルシャナさんが立ち上がった。

 そして、背中の竪琴にそっと触れた。


 ……あれ?

 何だろう。

 さっきまでと、雰囲気が違う。


 怒っているわけじゃない。

 声も穏やかなまま。

 でも。

 何となく、空気が重い。


「ルアール」


 ルシャナさんが名前を呼ぶ。

 水の精霊が、静かに頷いた。

 次の瞬間、盗賊たちを縛っていた水が、わずかに持ち上がった。


「う、うわっ!?」


 男たちの身体が、地面から少し浮く。

 そのまま、ゆっくりとルシャナさんの前へ運ばれていく。


「……もう一度、聞くわね」


 ルシャナさんは、男の目をまっすぐ見つめた。


「攫った人たちは、どこにいるの?」


「し、知らねえって……!」


「……そう」


 ルシャナさんは小さく息をついた。


「困ったわね。あなたが教えてくれないなら、私たちで探すしかないわ」


 そして、静かに続けた。


「でも、その間に誰かが傷ついたら……私は、きっと後悔すると思うの」


 男が、ごくりと唾を飲んだ。


「そうなったら...私少しだけ怒っちゃうかもしれないわ。だから、ね?教えてちょうだい」


な、なんて言うか、圧がすごい!?

 ……。

 …………。


「……い、言う!」


 男が叫んだ。


「言うから! 下ろしてくれ!!」


 ルシャナさんは頷いた。


「ありがとう」


 水の帯が、男をそっと地面に下ろした。


「……アジトは、ここから北に入った森の中だ。古い採石場の跡にある……!」


「攫った人たちは?」


「奥の小屋だ! 五人いる! 商人と旅人だ!」


 ルシャナさんは、男の言葉を最後まで聞いた。


「分かったわ」


 そして、私に向き直った。


「セリスちゃん」


「はい!」


「少し、寄り道をしてもいいかしら?」


 私は、大きく頷いた。


「もちろんです!!」


     ◇


 盗賊たちを水の帯で縛ったまま、私たちは森の中へ入った。

 案内役は、さっきの男だ。

 ほかの盗賊たちは、逃げられないようにまとめて拘束してある。


 ……ちなみに。

 ルアールちゃん、すごい。

 水の帯が、まるで生きているみたいに動くんだ。


 盗賊が逃げようとすると、ぴたりと足を止める。

 暴れようとすると、腕を押さえる。

 しかも、必要以上に締めつけない。


「ルアールちゃんって、本当にすごいですね!」


 私が声をかけると、精霊は小さく回転した。


 ……かわいい。

 かわいい上に、強い。

 最高じゃん!


 やがて、木々の向こうに岩肌が見えてきた。

 古い採石場。

 崖を削ったような場所に、いくつかの小屋が建っている。

 見張りらしい男が二人。

 奥には、少し大きな建物。


「あそこだ……」


 案内役の盗賊が、震える声で言った。

 ルシャナさんは周囲を見回した。


「……分かったわ。ありがとう」


 そして、私に向き直った。


「セリスちゃん。お願いがあるの」


「はい!」


「奥の小屋に、攫われた人たちがいるはずよ。私が見張りを引きつけるから、その間に助けてあげてくれる?」


「任せてください!」


「ただし、危ないと思ったらすぐに戻ってきてね」


「はい!」


 私は頷いた。

 ルシャナさんが、ルアールに目配せする。

 水の精霊が、ふわりと高く浮かんだ。

 次の瞬間。

 採石場の入口に、小さな水の渦が生まれた。


「な、何だ!?」


「水が……!?」


 見張りたちが騒ぎ出す。

 その隙に、私は小屋の裏手へ回った。


 エルとレイも、ぴょんぴょんついてくる。


「エル、レイ。静かにね」


「ぷいっ」

「ぷるん」


 ……よし。

 小屋の裏には、小さな窓があった。

 中を覗く。


 ……いた!


 縄で縛られた人たちが、床に座らされている。

 男の人が三人。

 女の人が二人。

 みんな、疲れた顔をしていた。

 私は小さく声をかけた。


「大丈夫ですか?」


「……え?」


 女の人が顔を上げた。


「助けに来ました!」


「……た、助け……?」


「はい! もう大丈夫ですよ!」


 私は窓の留め金を見た。

 ……ふむ。

 壊すのは簡単だけど、音が出る。

 だったら。


「《ウィンド》」


 小さな風を起こす。

 留め金が、かちゃりと動いた。

 窓が開く。


「よし!」


 私は中へ入り、縄をほどき始めた。


「もう少しですからね!」


 男の人が、震える声で尋ねた。


「……君は、一体……?」


「旅の途中の魔術師です!」


 私は笑顔で答えた。


「外に、すっごく強い人がいるので安心してください!」


 そのとき。

 外から、怒鳴り声が響いた。


「何だてめえら!!」


 ……あ。

 ルシャナさん、見つかったかな?


     ◇


 採石場の中央。

 盗賊団の頭目は、怒りに顔を歪めていた。

 大柄な身体に、分厚い鎧。

 手には、刃こぼれした大剣。


「おい! 何だこの騒ぎは!」


 部下たちは、地面に転がっていた。

 水の帯に縛られ、誰一人動けない。

 その中央に、金髪のエルフが立っている。


「……あなたが、この人たちの頭ね?」


 ルシャナは静かに尋ねた。


「ああ!? だったら何だ!」


「攫った人たちを、返してもらいに来たの」


 頭目は、彼女を見下ろした。


「……へっ。たった一人で乗り込んできたってのか?」


「ええ。今は一人よ」


「舐めやがって……!」


 頭目が大剣を構えた。


「俺を誰だと思ってやがる!」


 ルシャナは、少しだけ首を傾げた。


「……ごめんなさい。存じ上げないわ」


「ぶっ殺す!!」


 頭目が踏み込んだ。

 大剣が、凄まじい勢いで振り下ろされる。


 だが。


 ルシャナは、ほんの半歩だけ身体をずらした。

 大剣が地面を叩く。


 轟音。

 土煙。

 次の瞬間。

 ルシャナの姿が、頭目の懐にあった。


「……え?」


 頭目が目を見開く。

 短剣の柄が、鎧の隙間を正確に打った。


 ドンッ!


「ぐ……っ!?」


 巨体が揺れる。

 さらに、ルシャナの足が動いた。


 膝を払う。

 体勢が崩れる。

 そのまま、頭目の身体が地面に叩きつけられた。


 ドサアッ!!


 ……一瞬だった。


 ルシャナは、倒れた頭目の前に立った。


「……もう、おしまい?」


 頭目は、呻き声を上げるだけだった。

 周囲の盗賊たちが、青ざめる。


「……う、嘘だろ……」


「あの頭が……一撃で……?」


「ば、化け物かよ……!」


 ルシャナは短剣を収めた。


「これ以上、誰も傷つけたくないの。もう、やめましょう?」


 盗賊たちは、誰一人逆らわなかった。


     ◇

「ルシャナさーん!!」


 小屋から出た私は、手を振った。

 後ろには、助け出した五人の人たち。


「全員、無事です!」


「よかったわ」


 ルシャナさんが微笑んだ。

 その足元には、大柄な男の人が倒れている。

 ……ん?


「……ルシャナさん?」


「何かしら?」


「その人、誰ですか?」


「盗賊団の頭よ」


「……え?」


 私は男の人を見た。

 分厚い鎧。

 大きな剣。

 いかにも強そうな人だ。

 ……。

 …………。


「えええええっ!? もう倒しちゃったんですか!?」


「ええ。少し暴れたから、ね?」


「見たかったああああ!!」


 私は思わず頭を抱えた。


「六英雄の戦いなのに!! ボス戦なのに!!」


「……セリスちゃん?」


「もう一回! もう一回やってもらえませんか!?」


「……それは難しいわね」


「ええええっ!?」


 ルシャナさんが困ったように笑った。


 そのときだった。

 助け出した商人の一人が、震える声で尋ねた。


「……あ、あの……あなたは、一体……?」


 ルシャナさんは、いつもの柔らかな笑顔に戻った。


「旅の吟遊詩人よ。今は、この子と一緒に世界を見て回っているの」


 ……。

 …………。

 いやいやいや。

 それだけじゃないでしょ!?


「六英雄ですよ!?」


 私は思わず叫んだ。


「この人、六英雄のルシャナさんなんですよ!!」


 ……。

 …………。


 しん。

 採石場が静まり返った。


 助け出した人たちが、目を見開く。

 盗賊たちも、動きを止めた。

 そして。


「……る、ルシャナ……?」


 盗賊の一人が、震える声で呟いた。


「……金髪のエルフ……竪琴……水の精霊……」


 別の男が、顔を真っ青にした。


「ま、まさか……!」


 頭目が、地面に倒れたまま目を見開いた。


「……六英雄……?」


 次の瞬間。


「ルシャナあああああああああ!?!?」


「げえええええええええっ!?!?」


「な、何でこんなところに六英雄がいるんだよおおおお!!」


「終わったああああああ!!」


 盗賊たちの悲鳴が、採石場に響き渡った。


 ……。

 …………。

 私は、思わず笑ってしまった。


「すごいですね、ルシャナさん!」


「……セリスちゃん」


「はい!」


「そんなに大きな声で言わなくても……」


 ルシャナさんが、少し困ったように笑った。

 その肩で、ルアールがくるくる回っている。

 助け出した人たちは、ようやく安心したように笑い始めた。


 ……うん。

 よかった。

 みんな、無事で。


「さて」


 ルシャナさんが、私に向き直った。


「セリスちゃん。少し予定が遅れてしまったけれど、街道へ戻りましょうか」


「はい!」


「盗賊たちは、近くの街の衛兵に引き渡しましょう」


「分かりました!」


 私は頷いて、ふと思った。

 ……そういえば。


「ルシャナさん!」


「何かしら?」


「まだ歌ってませんよね!?」


「……え?」


「ルシャナさん、吟遊詩人ですよね!? 歌で戦うところも見たいです!!」


 ルシャナさんは、少しだけ目を丸くした。

 それから、楽しそうに笑った。


「……そうね。機会があれば、聴かせてあげるわ」


「本当ですか!?」


「ええ。でも、歌は戦うためだけのものではないのよ?」


「はい!」


 私は大きく頷いた。

 ……楽しみだなあ。

 ルシャナさんの歌。


 どんな魔法が起きるんだろう?

 どんな景色が見えるんだろう?

ルシャナさん、強すぎました(笑)


ちなみに、今回の戦いではまだ一度も歌っていません。


吟遊詩人なのに!


彼女の本領が発揮されるのは、もう少し先のお話。


セリスとルシャナの旅は、まだまだ続きます!


「六英雄、やっぱりすげえ!」「セリスの反応が面白い!」と思っていただけたら、ぜひブックマークや☆☆☆☆☆で応援していただけると嬉しいです!


次回もお楽しみに!

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