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第六十話

6/10より、少しずつ内容の修正を行っています。それに伴い、以前なかった情報が出てくることがあります。ご了承ください。


 いろいろとやるべきことはありますが、まずは学院祭です。残り一ヶ月弱。やることは決まったので、内装や売るものなどを決めないといけませんが、どうしましょうか。

 作るのは魔法でいいとして、問題は役割ですよね。来る人たちは当然ながらほとんどが生徒。自分よりも下の人にしっかりと振る舞えるのか……。


「ルシア、お辞儀が浅い」

「……はぃ」


 今はルーチェによる指導を受けています。なんでルーチェは侍女たちのマニュアルを持っているんでしょうか。それ、ちゃんと侍女長から許可をもらって来ましたか?


「キツい……」

「訓練よりツラい」


 一旦休憩となりましたが、みなさん文句を言っていますね。普段自分たちがされていることをしてみると、その努力がよく分かります。お辞儀も角度がありますし、顔を上げていいのは許可を出されたときだけですし。それに、普段着る服とは何から何まで違いますからね。


「……使用人の方たちは、いつもこれを着てるんですね」

「そうね」


 女子生徒は給仕の服。黒い服に白いエプロンを着けていて少し動きにくいです。着た感覚はフリルがたくさんついているドレスに似ています。けれど意外と生地が薄いので、そこまで動きにくくはありません。……まぁ、たまに転びそうになりますけどね。これに関しては私が運動音痴なせいでしょうか。慣れれば転ばなくなることを願います。


「……なんで俺まで」

「いたんだもの。似合ってるわよ?」


 近くにいたからと巻き込まれたアイト卿が男子生徒に指導してくれています。不服そうなのは、アイト卿も執事服を着せられたからですね。ルーチェは楽しそうにしています。

 シャツの上に黒いベストを着て、本来は黒か紺色のネクタイをつけますが、今回は学年が分かるようにと制服のネクタイです。アイト卿は首周りがキツいと取っちゃいましたけどね。


「……首元を開けるのもありかしら」

「黄色い悲鳴が上がりそうですね」


 学院祭の準備をし始めてからというもの、ちょこちょことクラスメイトが話しかけてくれます。ルーチェはすぐに仲良くなり、私はそのおこぼれをもらっている、というか、話す練習をさせてもらっています。本当に、たまに声が裏返ってしまうんですよね。恥ずかしい……。


「第二皇女殿下、飾るお花はどうしますか?」

「一つだけだと味気ないですよね」


 話しかけてくれるのは植物系統の魔法を扱うご令嬢たち。植物に詳しいので、花の飾りつけをお願いしました。

 飾る花は、どうしましょう。秋に咲く花はあまり飾るのに適していません。花が小さいものが多く、春や夏と比べてしまうと見劣りしてしまいます。

 ……城に戻れば魔法で保存してある花がいくつかあります。なのでそれを持ってくれば季節関係なく、沢山の花を用意できます。けれど、あれは実験のために保存しているものですし……。

 ……実験と学院祭。どちらを優先するかと聞かれれば、実験だと言いたいです。学院祭で使うために保存していないので。けれど、これだけみなさん頑張っているのに、私の実験がしたいという欲のために花を出さないのも……。


「……花に関しては、私が持ってきます。どの花がいいか、教えてください」


 みなさんの努力に応える。それが皇族というもの。やれることはやります。……きっと、昔の私がこれを見たら驚くでしょうね。私も驚いていますから。まさか、実験よりも優先することができるだなんて。

 ……それに、実験は後々できますからね。少しやる時期が遅くなるだけですから。





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