第五十七話
「……それでまだ話してると」
「菓子持ってくるわ」
生徒会室に来てから早二十分。未だに話は続いています。その間にシグニも来て、アイト卿と三人で話し合いを見ながらお菓子を食べていますが、そろそろ終わりますかね?
「オスクロの隠してたやつ持ってきたぞ」
「怒られませんか?」
「気づかないのが悪いだろ」
アイト卿、お兄様相手には容赦ないですよね。お兄様の方が立場上なんですけど……。
アイト卿が持ってきたのは色とりどりのフルーツタルト。お兄様、意外と甘党だったんですね。私はイチゴ、シグニは桃のタルトですね。アイト卿は当たり前のように一番高いであろう複数の果物が乗ったタルトを取りましたね。
「ルシア、こっちも食べる?」
「あ、ほしいです」
桃のタルトも美味しいです。小さくて食べやすいですし、どこで買ったのか教えてもらいますか。みんなで集まったときにあったら好きなものを食べられますし。
アイト卿は……。まぁ、はい。騎士様は豪快に食べるというのは聞いたことがありますが、躊躇がないですね。一口が大きいです。
「……あ、あんたたち何食べてるのよ!」
「食べます?」
「……アイト」
「隠す場所変えねぇのが悪いだろ」
お兄様のお菓子を見つけて食べてしまうアイト卿が悪いと思いますけど……。ルーチェはほしそうにこっちを見てきます。まぁ、あげるために半分残してあるんですけどね。全部食べると拗ねるので。
「どうぞ」
「それも皇太子殿下のですよね?」
「どこで買ったんですか?」
一口あげると、嬉しそうです。ルーチェも気に入ったみたいですね。甘すぎず、果物の味がしっかりと残っています。
「これ、買ってないぞ」
「え?」
「オスクロの自作」
……え、これお兄様が作ったんですか? あまり想像がつかないのですが。
お兄様を見ると、顔を背けました。ルーチェ、気持ちは分かりますけど、睨むのはやめてください。怒られますよ。
「……自分で危ないとか言ってたのに」
「しれっと美味しいの作って隠してるし」
「こらこら、二人して虐めない」
お兄様としては、慣れてないと危ないから許可しないってことなんでしょうね。私とルーチェは爆発させた前科がありますから。
まぁ、それに関しては少し思うことがありまして。
「魔法で作れば危険はないのでは?」
「……それ、ありなの?」
「魔法学院なんですから、魔法は使わないと」
安全な作業は私たちが行って、危ない作業は魔法で行う。そうすれば問題ないと思います。自分たちの魔法なので、学院祭のルールにも抵触しません。
「魔力の問題はどうするのよ」
「私の魔力量は魔塔でもトップクラスですよ? 基礎中の基礎を使い続けて困る魔力量じゃありませんよ」
簡単な魔法ですから、魔力消費もそこまで多くありません。今から練習して覚えれば、学院祭までには見なくとも魔法で作れるようになるはずです。
「……魔法の使い方、間違ってませんか?」
「変な方向に振り切ってるのはいつもよ」
あ、なんでため息つくんですか! 結構いい案だと思ったのに。こういうときは褒めてくれるものじゃないんですか。




