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現実世界に魔物が現れたようです  作者: 羽良糸ユウリ
第五章:New World Order
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其の六十六『緊急事態』

前回のあらすじ:貴様っ、見ているな!

 ここ最近、琳たちは常に黒の武器(ブラックウェポン)と羽衣を展開する腕輪を身につけたり持ち歩いていたりしていた。

 琳たちは魔物の討伐を一旦休止して三日月の出方を伺うために魔物の討伐を楽園エデンたちに任せていた。

 


 やがて魔物の数も減少していき、市民たちにも平和が取り戻されようとしていた時にはもうみんなはあのモニターで三日月が言っていたある言葉を忘れていた。



 


 『たった一つ、たった一つだけ、魔物を倒すことのできる方法があるのです。楽園エデンならば()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と同時に、魔物を殲滅することが出来ます』




 あの時、三日月の声明には魔物を倒すことのできる方法を提供することが出来ると確かに言っていた。

 その直後に魔物が現れたため皆そのことを忘れてしまっているだけであのモニターパフォーマンスでは確かにそう言っていた。

 そしてそのことを琳たちも忘れかけており、警察などや一般市民たちは完全に忘れていた。

 辛うじて覚えている奇特な人が警察に「あの時のあれはどうなったんですか」と聞きに来ることがあるがまともに取り合ってはくれないとのことだ。



 



 そんな日、琳たちは支部の中で日がな一日のんびりしていた。

 なぜかここ最近魔物の出現報告がめっきり少なくなり楽園エデンも鳴りを潜めていた。

 エントランスには琳と葵と栞それからセラスが静かな時間を過ごしていた。

 


 琳は幸三のところで買った小説を、葵はすやすやと眠り、栞はキーボードを打ちながらモニターとにらめっこを、セラスは琳の隣で一緒に小説を読んでいた。

 静寂の中、携帯のバイブレーションが鳴りそれは琳のスマートフォンのものだった。 



 「はいもしもし」

 『あっ、もっしもーし! 三日月ですが』

 「なんでそんなナチュラルにかけてくるんですか!?」

 『だって番号知ってるし。ていうかもう焦らないだね~?』

 「そりゃもう……だって一回拉致されたんだから今更電話来たくらいで驚きませんよ」

 『ふふっ、敬語になってるね。落ち着いているなぁ』



 琳はスピーカー状態にして周りにも音声を聞かせた。

 声と話し方ですぐに他の皆も三日月からの電話だとわかり、栞は琳とアイコンタクトだけで立花を呼んだ。

 すぐさま立花がやって来て琳の側により、三日月と話し始めた。



 「よぉ三日月、性懲りもなくまたかけたのか」

 『その声は立花ちゃんね。久しぶり』

 「何の用だ。お前のせいでこっちは色々と面倒くさくなってるんだ」

 『………じゃあ、手短にいきましょうか。ヒントを三つ出すからそれで考えて』

 「……ヒント?」

 『一つ目、私は警察上層部と一方的なコネクションを持っている。二つ目、人々の信頼は完全に私たちに向かっている。そして三つ目、私はこっそり琳君の位置情報を取得している』

 「…………まさかっ!」




△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△




 「もしもし、私三日月。今極東支部の前にいるの……ってね」



 三日月はそう言って電話を切った。

 そしてその後ろには完全武装の特殊部隊と数人のスーツを着た如何にもなお偉いさんが三日月を筆頭に庭園の守り手(ガーデンキーパー)のあるビルの前に立っていた。

 


 「……三日月、本当に大丈夫なのだろうな?」

 「ええ心配いりません。それとも私が信じられませんか?」

 「いや……そういうことでは」

 「あなたのご家族の命と警察キャリア生命は常に私の手の平の上にありますことをお忘れなく、()()()()殿()?」

 「何のために引っ張り出してきたのかと思えば………小癪な女だ」



 三日月はこのためだけに、わざわざ日本の警察階級の最高位に位置する警視総監を外に引っ張り出してきた。

 そのためにここにいる特殊部隊の人たちや他の警察の人たちは先刻から顔が引きつり直立不動のまま完全にカチコチに緊張してしまっていた。



 「では警視総監殿、鬨の声を」

 「………」



 警視総監はくるりと後ろの特殊部隊や警官たちに「失敗は許されない」ということを強く念押しして号令をかけた。

 それにより警官たちの士気は格段に上がった。



 「それでは………行きましょうか。あ、皆さんは外側の警戒だけにしてくださいね。あの子たちは私の獲物ですから……!」




△▼△▼△▼△◆△▼△▼△▼△




 「立花さん大変です! ビルが大量のパトカーに囲まれました! 警視総監と思しき人物や特殊部隊もいます!」

 「あぁくそぉ!!!! やられた………完全に先手を打たれた!!!!」



 外の事情に気付いた立花だったが時すでに遅し、手遅れだった。

 立花は全員武器庫に移動するように伝え、自分はラボラトリに戻り持っていかなければならない重大資料を回収してくると言った。

 やがて地下の極東支部内に非常用サイレンが鳴り渡った、これは表のテナントビルの一階にいる人が押したものだと栞は言った。

 曰く、どうしようもなくなったときの最後の知らせの役割らしい。



 「武器庫とラボラトリ以外の全隔壁をロック、セキュリティレベルを最大に、アンチハッキングシステム『クラリス』起動します!!」



 ガチャガチャガチャ………とドアのロックが掛かる音が聞こえその後「ピーッ!」という電子音が聞こえて扉に付けられているランプが赤く点灯した。

 琳たちは立花に言われた通りに武器庫へと向かい、それぞれメインの黒の武器(ブラックウェポン)を手に取った。

 立花は無事に戻ってくるだろうかと心配していると割と早くに戻ってきて自分もメインウェポンを手に取っていた。

 


 そして最後まで支部のセキュリティやガードに徹してくれた栞がやって来て最後のメインウェポンを装備した、というか栞も戦えたのかというのが琳たちの驚きだった。



 「これ今どういう状況なんすか!?」

 「多分……三日月と警察が手を組んだんだと思う。警視総監っていうのは日本の警官のトップだから相当なものじゃないかな」

 「相変わらず宗像先輩は博識っすねー………って警官のトップぅ!!?」

 「落ち着け葵。別に今すぐにあたしたちが死ぬわけじゃないし捕まるわけでもない」

 「ま、今から逃げるんだから手配されるかもしれないけどなー」

 「立花さん、それはかなり重要なことでは……?」

 「細かいことは気にするなよ栞。さっき翔馬とも連絡が取れた、あいつはあいつで上手くやるってさ」



 立花は現在唯一制御できる武器庫のコントロールパネルを操作して武器庫の隔壁をロック、その直後メインウェポンを収納していた場所から円状に、つまり琳たちの立っている床がガタガタと揺れ始めて一気に上昇した。




 「おおおおぉぉ!?」

 「なんすかこれ! 楽しいっす!」

 「本当に緊急時しか使わないからなこれ。脱出ポッドみたいなもんだと思えばいいさ」



 どんどん上昇していき、やがて止まると扉を開けて外に出て全員が出たのを確認すると立花は扉のロックをかけた。

 出たところはテナントビルの屋上で任務がある時にヘリに乗り込むところだ、今は任務がない上にヘリだと行動がバレたりして色々と事情がまずいので止まっていない。



 「琳、警官の数が一番薄いのは何処か()()()()?」

 「……あそこです、逃げ道的にも道が続いているので囲まれずらいと思います」

 「よし、じゃあそこだな」



 立花は白の羽衣を纏って黒の武器(ブラックウェポン)を手にもって琳の指差し方へと歩き琳たちもその後ろをついて行った。

 軽く下を見ると琳の言う通り警備も手薄で警官たちの集中力も何処か散漫気味に感じられた。



 「みんな聞いてくれ。これから私たちは少しばかし逃亡生活を余儀なくされるだろう、相手があの三日月なら警察組織はもう私たちに有利になるように動いてはくれまい」

 「ま……そうだな!」

 「それで一つだけ逃げ隠れられる場所がある、そこまでは私が案内するが琳」

 「はい」

 「周辺の警戒はお前の目が頼りだ、きついだろうが頼んだ」

 「分かりました!」

 「よし、じゃあ――――――」




 そして立花は屋上の鉄柵に手をかけて乗り越え、体を宙に浮かせて言った。




 「――――――刺激的に行こうか、庭園の守り手(ガーデンキーパー)諸君! ついて来い!」

 「「「「「了解!!!」」」」」




 その直後、琳たちも立花の後に続いて屋上から飛び降りた。

あと数話で新章の予定です!

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