EP#22:返答
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「あーあ、行っちゃったわね」
「まずいなあ……ニコもスカイも着替え中じゃないのか?殺されるぞ、赤旗くん……」
「ニコちゃんは着替えるの早いから、もう今頃は服着てると思うわ。問題はスカイね」
シェナリーが苦笑しながらそう言ったちょうどその時こそ、案の定律がスカイの晒し出された半裸を目撃してしまった瞬間だった。
『僕に背中、預けさせてみなよ。できるもんならね』
一人取り残され、茫然と立ち尽くす律の頭の中で、スカイの言葉が何度もリフレインする。
背中を預けさせてみろ、つまり、バディとしてスカイにとって信頼に足る人物になれという意味か。
「俺が……俺がアレースに乗ってもいいって事……?」
迷うくらいなら乗るなと言われるかと思っていた。だが、それは違った。乗るのも乗らないのも自由だと、いやむしろ肯定的な発言さえしていた。
スカイにはバディなんて要らないようにも見えたが。
律は我に返り、急いでスカイを追う事にした。理由はそう、ただなんとなく。
「スカイ!おお、マイハニー!帰ってたのか!」
「テオバルド………」
スカイが溜息をつきながら目線をやった先には、一人の青年が立っていた。
テオバルド、と呼ばれた青年はその黄色い目を細めながらスカイに近付き、肩に手を乗せた。
「溜息なんてついて……どうしたんだいハニー」
「その溜息の原因が自分だって分からないの?」
ハニーだなんて恥ずかしくないの、とスカイが呟き歩みを進める。
「待てよハニー!どこへ行くんだ!」
スカイは無視して歩く。
それを追いかけようとして、テオバルドは立ち止まって振り返った。
「……?君は?そんなに息せき切ってどうしたんだい、見ない顔だね」
テオバルドの視線の先には、赤いジャンプスーツ……
律の姿があった。
「俺は赤旗律。今日初めてここに来たから、あんたとは初めて会う」
「へえ、初めて。俺はテオバルド・ジャッロ。名前の通り美しい黄色の機体を操縦する専属パイロットさ。よろしく」
爽やかに微笑むテオバルドと握手を交わし、律は言った。
「テオバルド……、名前は聞いてる。会えて嬉しいよ」
律の言葉に、テオバルドは微笑みながら
「そうか、ありがとう」
と言った。
「そうだ、スカイは?見なかったか?」
“スカイ”という単語に反応して彼の尻尾髪が揺れる。
「俺のハニーがどうかしたかい?」
「ハニー?お前達、そんな関係なのか?」
「そんなわけないだろ」
背後から声がした。テオバルドの声ではない。
びっくりしてテオバルドの奥に視線をやると、そこにはスカイがいた。
「このバカが勝手にそう言ってるだけだ」
「そんな言い方は無いだろう。俺と君とは、将来を誓い合った仲じゃないか」
「誓ってない!気持ち悪い!」
律がこの二人に抱いた印象は、“ああ、仲が良いな”というものであった。
相変わらず悪態こそついてはいる
ものの、律の主観では別にスカイもまんざらでもなさそうにも見える。
そりゃあ、スカイも“女の子”なわけで、テオバルドのような積極的な男に言い寄られると少しは心が揺れてしまうのかもしれないが。
ふと、律の頭に“彼とは手も繋いだし、キスだってしたし、何度も抱かれたわ”という、さっきのエレベーターでのシェナリーの言葉が浮かんだ。
なんとなくまた、こっちが恥ずかしくなる。
今はそうではないらしいが、元々あの二人はそういう関係で、なんなら結婚していたっておかしくないわけだ。律は少しだけ唇を噛んだ。
あの二人はれっきとした“大人の男女”であって、かつては熱く愛し合う仲だった。それだけだ。
それは自分と歳も変わらないであろうこの二人とはまた違う点だ。
スカイがあんなだからそれはまずないと思うが、スカイとテオバルドもそういう関係なのであれば、律はきっと二人を軽蔑しただろう。
我ながら堅い人間だ、と律は思った。
「で……リツ。君はIRSの何だい?指揮官?技術者?」
テオバルドが首を傾げる。
その問いに本気で、真っ向から答えようと思った。
「違う。俺は……
——————俺は、IRS専属アレースパイロットだ」
お久しぶりです!前回投稿から随分間が空いてしまった事をお詫び申し上げます。(◞‸◟)
これからはより早いペースで更新出来るように頑張ります!




