EP#18:関係
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聞いた話を簡単にまとめるとこうだ。
まず、シェナリーや児島の言う“作戦C”とはCapture、すなわち捕獲作戦を意味する。
本来アレースは危険なエンシェントを片っ端から撃破するのが仕事だが、今回の場合は現れたエンシェントが全くの新種……今までに見た事もないタイプであったために、データ収集を目的とする生け捕りが今回のスカイの任務であったのだ。
しかし、スカイは指示を聞かず貴重なサンプルである新型エンシェントを撃破してしまったという。
「破片の一つでも残ってれば多少のデータは取れたんだがな……完全にバラバラだ」
児島はそう言ってから新しい煙草に火を点ける。
鬱陶しそうに煙を手で払いながらシェナリーは
「あの子、なんでそんな勝手な事するのかしら……
腕は確かだし実績も十分。最年少にしてエース的存在だって皆言ってるのに」
と呟いた。
広いとも狭いとも言い難いこの休憩室内に沈黙がやって来たと思った刹那、児島が立ち上がって言った。
「とりあえず司令部へ行こう。多分スカイもそこにいるし、赤旗くんにも案内しないとな」
シェナリーが頷いて律の手を引く。
「こっちよ」
「は……はい!」
まるで見せ付けるように、シェナリーは律の手を掴む自らの手を、一瞬だけ児島の目に入る位置へ引っ張った。
当のシェナリー本人は彼に見向きもせず、ひたすらに前を向き休憩室のドアを開ける。
そのまま足早にエレベーターのボタンを押し、やってきたエレベーターに乗った。
「待てよ」
「何」
さっきよりも冷たい声色でシェナリーが答える。無表情だ。
「シェナリーさん、児島さんも一緒に行くんじゃないんですか?」
律の問いにシェナリーは鼻をふんと鳴らして
「だって、遅いんだもの」
と言った。
「何だよシェナリー、やっぱりまだ怒ってるんじゃないか」
「だから怒ってないって……!」
野暮だとは思う。
そんな事は訊くもんじゃない。
この二人の問題だと思う。
そんな心とは裏腹に、口は勝手に先走り、気付いたときには既に、
余計な一言を発した後だった。
「何かあったんですか?」
静まりかえるエレベーターホール。ドアを押さえる児島の手が緩み、彼がエレベーターに乗ったと思うと、エレベーターはすぐに上昇を始めた。
しばらくの沈黙を破ったのは、シェナリーだった。
「……もう随分昔の話よ。私たち若い頃、付き合ってたの」
何となく察しは付いていたが、律は息をのんだ。ただの予想が、動く事のない真実と姿を変えた瞬間である。
「彼の黒い髪があまりにも綺麗だったから、私も髪を黒く染めたの。彼とは手も繋いだし、キスだってしたし、何度も抱かれたわ」
まるで失恋でもしたかのような大きなショックが律の全身を駆け巡る。理由はよく分からないが、血流や鼓動が早くなり、身体が熱くなるのを感じる。
「おいシェナリー……それくらいに……」
「だって………」
シェナリーが顔を真っ赤に染めて俯く。無理もないだろう。
「ごめんなさい……」
律の謝罪を聞いてシェナリーはまだ赤いままの顔を少し上げて
「気にしないで」
と笑った。
エレベーターは司令部のある最上階へと到着した。




