EP#17:1佐指揮官
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SCSの心臓部。IRS管制塔本部の建物だ。見たところ、SCSにある全ての建物の中で一番大きい。
SCSには天井があって高さが限られているからか、クウェイルが入っていったラボも同じように、横に横にと伸びたようだ。
とにかく、巨大な壁のようにも見える建物である。
「ここの地下が指揮官の休憩室よ。多分、そこにいるわ」
またエレベーター……。
律は鼓動が速くなるのを感じた。
シェナリーと二人きりでエレベーターに乗るのは今日だけで何回目だというのだろう。
今日アメリカに来て、IRS本部のエレベーターに乗って、(アレが本当にエレベーターなのかは分からないが)HSLにも乗って、HSL内のエレベーターにも乗って、SCSに着いてからは病院のエレベーターに乗った。
どうでもいいといえばどうでもいいのだが。
程なくして、地下一階に到着する。
シェナリーが突き飛ばした大きな扉の向こう側は、煙草の臭いが充満していた。
深い緑色の壁。銀行の待合室のように横と縦に数列並んだ長椅子がある。あれだけ明るいSCSとはいえ、地下なので窓もなく、常に照明を点けないと暗いらしい。
「またこんな締め切った所で煙草?」
一番奥の椅子に座って煙草を吸っていた男性にシェナリーが嫌味らしく声を掛ける。
「……シェナリーか」
男性が煙を吐き出してから振り返って言う。
「煙草は辞めなさいって言ってるでしょ?」
「お前も吸うだろ?」
「私はプライベートでしか吸わないわ。元々ヘビースモーカーでもないしね。あなたと一緒にしないで」
黒い髪に黒い瞳、ジャンプスーツの色はシェナリーと同じ、濃いグレー、首には白い包帯。
彼女との仲は、良いのか悪いのかよく分からない。しかし、ただの同僚という雰囲気でもなさそうだ。
「髪、染めたままなんだな」
「何よ。悪い?」
「いや……似合ってるよ」
「あらそう。だったら良いじゃないの、このままで」
「まだ怒ってるのか?」
「別に。いつまでも私がそんな可愛らしい女だなんて、都合のいい妄想はやめてくれる?」
少し意味深なやりとりが続いた後、思い出したようにシェナリーが律の肩を掴み、男性の前へ押し出した。
「この子、日本支部から来た新しいパイロット候補生。赤旗 律くん。」
「どうも……」
律が会釈すると、男性は吸っていた煙草を灰皿に押し付けてから、笑顔で
「君が赤旗くんか。俺はシェナリーと同じIRS第1佐指揮官の児島。君とはこれから先、一緒に仕事をする機会がたくさんあると思う。よろしく」
「あ、…はい!」
差し出された手をほぼ無意識に取る。ただの握手とはいえ、何故か妙に緊張する。
律の手よりもずっと大きく、厚みがあってごつごつした大人の男の手だ。
「あ、そうだシェナリー……
スカイの奴、やりやがった」
「え?」
児島が急に神妙な顔付きになる。
「作戦Cだっつってんのに、撃破しやがったんだよ」
「………あのバカ……」
シェナリーが頭を抱えて言った。
「?」
どういう事だろうか。スカイはどうなったのだろう。
律は1佐指揮官二人に尋ねてみることにした。




