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Ancient&Gravity  作者: ナサ
17/24

EP#17:1佐指揮官

▼▼▼▼


SCSの心臓部。IRS管制塔本部の建物だ。見たところ、SCSにある全ての建物の中で一番大きい。

SCSには天井があって高さが限られているからか、クウェイルが入っていったラボも同じように、横に横にと伸びたようだ。

とにかく、巨大な壁のようにも見える建物である。


「ここの地下が指揮官の休憩室よ。多分、そこにいるわ」


またエレベーター……。

律は鼓動が速くなるのを感じた。

シェナリーと二人きりでエレベーターに乗るのは今日だけで何回目だというのだろう。

今日アメリカに来て、IRS本部のエレベーターに乗って、(アレが本当にエレベーターなのかは分からないが)HSLにも乗って、HSL内のエレベーターにも乗って、SCSに着いてからは病院のエレベーターに乗った。

どうでもいいといえばどうでもいいのだが。



程なくして、地下一階に到着する。

シェナリーが突き飛ばした大きな扉の向こう側は、煙草の臭いが充満していた。

深い緑色の壁。銀行の待合室のように横と縦に数列並んだ長椅子がある。あれだけ明るいSCSとはいえ、地下なので窓もなく、常に照明を点けないと暗いらしい。



「またこんな締め切った所で煙草?」


一番奥の椅子に座って煙草を吸っていた男性にシェナリーが嫌味らしく声を掛ける。


「……シェナリーか」

男性が煙を吐き出してから振り返って言う。


「煙草は辞めなさいって言ってるでしょ?」

「お前も吸うだろ?」

「私はプライベートでしか吸わないわ。元々ヘビースモーカーでもないしね。あなたと一緒にしないで」


黒い髪に黒い瞳、ジャンプスーツの色はシェナリーと同じ、濃いグレー、首には白い包帯。

彼女との仲は、良いのか悪いのかよく分からない。しかし、ただの同僚という雰囲気でもなさそうだ。


「髪、染めたままなんだな」

「何よ。悪い?」

「いや……似合ってるよ」

「あらそう。だったら良いじゃないの、このままで」

「まだ怒ってるのか?」

「別に。いつまでも私がそんな可愛らしい女だなんて、都合のいい妄想はやめてくれる?」


少し意味深なやりとりが続いた後、思い出したようにシェナリーが律の肩を掴み、男性の前へ押し出した。


「この子、日本支部から来た新しいパイロット候補生。赤旗 律くん。」

「どうも……」

律が会釈すると、男性は吸っていた煙草を灰皿に押し付けてから、笑顔で

「君が赤旗くんか。俺はシェナリーと同じIRS第1佐指揮官の児島。君とはこれから先、一緒に仕事をする機会がたくさんあると思う。よろしく」


「あ、…はい!」


差し出された手をほぼ無意識に取る。ただの握手とはいえ、何故か妙に緊張する。

律の手よりもずっと大きく、厚みがあってごつごつした大人の男の手だ。


「あ、そうだシェナリー……

スカイの奴、やりやがった」

「え?」


児島が急に神妙な顔付きになる。


「作戦Cだっつってんのに、撃破しやがったんだよ」

「………あのバカ……」

シェナリーが頭を抱えて言った。


「?」


どういう事だろうか。スカイはどうなったのだろう。

律は1佐指揮官二人に尋ねてみることにした。


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