ANOTHER 第1話 ゾウはどこにつける?
ANOTHER 第1話 ゾウはどこにつける?
「で、今日は何をするんですか?」
紀人は、机の上に置かれたゾウメモリーを見ながら聞いた。
「検証」
シラメ博士は即答する。
「それは見れば分かります。何を検証するのか聞いてるんです!」
「じゃあ最初からそう聞いてよ」
「聞きましたよ!」
少し離れたところでは、東が呆れたように二人を見ている。
机の上にはゾウメモリー。その隣の端末には、先日のモズキャッチャーとの戦闘記録が表示されていた。
画面の中では、キッドがゾウメモリーをボディへ入れ、強烈な吸引に耐えている。
シラメ博士が映像を指した。
「今回、これがかなり良かったでしょ」
「まあ……そうですね」
紀人も画面を見る。
ゾウをボディへ入れたことで重心が安定し、モズキャッチャーの吸引を受けても簡単には体勢を崩されなくなった。
そこから吸引そのものを利用して前へ出て、カンガルーの拳とヒクイドリの蹴りへ繋げる。
あの戦いでは、間違いなく役に立った。
「だから改めて調べておこうと思ってね。ゾウをどこに入れるのが一番使いやすいのか」
その言葉を聞いた瞬間、紀人の表情が曇った。
「……でも、それってもう分かってません?」
「分かってるね」
「じゃあ終わりじゃないですか」
「そうなんだけど」
シラメ博士が腕を組む。
紀人も腕を組んだ。
二人の視線が、ゆっくりとゾウメモリーへ向かう。
「……頭なんだよね」
「……頭ですよね」
東が二人を見比べる。
「何、その嫌そうな顔」
◇
ゾウメモリーを頭部へ入れる。
それ自体は、すでに一度試している。
しかも、性能はかなり高かった。
頭部へゾウの特徴が反映されることで、長い鼻を自在に使えるようになる。
鼻は物を掴むこともでき、両手が塞がっている時でも別の物を動かせる。腕を攻撃や防御に使っている最中にも、もう一本の手のように扱える。
戦闘時の利便性だけを考えれば、かなり優秀だった。
「だったら、頭につければいいんじゃないの?」
東が当然のように言う。
紀人とシラメ博士は、ほとんど同時に振り向いた。
「いや」
「それはちょっと」
東が眉を寄せる。
「何で?」
紀人が少し言いづらそうに答えた。
「見た目が……」
シラメ博士も頷く。
「うん。見た目がね」
東は二人を交互に見たあと、首を傾げた。
「かわいいじゃない」
紀人とシラメ博士が、また同時に東を見る。
「え?」
「どこがです?」
「ゾウの鼻がついてるんでしょ?」
「ついてますけど」
「かわいいじゃない」
紀人は理解できないという顔をし、シラメ博士も同じような表情になる。
「博士」
「何?」
「東さん、分かってないです」
「うん。分かってないね」
「聞こえてるわよ」
◇
「とにかく」
シラメ博士が話を戻した。
「頭部ゾウが有効なのは、もう分かってる。でも、本当に頭じゃなきゃ駄目なのかは、まだ十分に調べてない」
紀人が少し考える。
「……あ」
「でしょ?」
これまで実際に試したことがあるのは、頭部とボディ。
頭部へ入れた時には、ゾウの鼻を補助肢として使えた。
そして先日の戦闘では、ボディへ入れることでモズキャッチャーの吸引に対して高い安定性を発揮した。
ならば。
腕ならどうなるのか。
脚ならどうなるのか。
他の部位でも、頭部と同じくらいゾウの能力を活かせる可能性はある。
「もしボディでも十分なら」
紀人がゾウメモリーを見る。
「頭に入れなくて済みますよね」
シラメ博士の目が少し輝いた。
「そう!」
東が呆れたように二人を見る。
「結局そこなの?」
「大事です」
「大事だよ」
また二人の声が揃った。
◇
まずは、先日の戦闘と同じ条件。
ボディへゾウメモリーを入れて検証することになった。
紀人は変身用のベルトを取り出し、腰へ巻く。
「配信開始」
キッドへ変身すると、ゾウメモリーをボディへ装着した。
身体へゾウの特性が反映される。
シラメ博士は測定機器を起動した。
「じゃあ、まず踏ん張りから」
「はい」
キッドが構える。
正面には、徐々に力を加えるための大型装置。
「これ、また作ったんですか?」
「うん」
「博士、本当にこういうの好きですよね」
「必要だから作ってるんだよ」
「必要以上に楽しそうなんですけど」
「気のせい」
東が横から口を挟む。
「博士の場合、たぶん気のせいじゃないわね」
装置が動き始める。
正面から強い力を受け、キッドの足がわずかに後ろへ滑った。
だが、身体の軸は崩れない。
出力が上がっても腰が浮かず、姿勢を維持している。
シラメ博士が数値を確認した。
「やっぱり強いね。モズキャッチャーの吸引に耐えられたのも納得だ」
キッドも身体の感覚を確かめる。
ただ重くなっているだけではない。
強い力を受けても、身体の中心が簡単にはずれない。
「これなら十分じゃないですか?」
「まだ」
「まだやるんですか?」
「検証だからね」
キッドは小さくため息をついた。
「嫌な予感しかしないな……」
◇
踏ん張りの次は、短距離の加速。
急停止。
方向転換。
跳躍。
連続した打撃。
様々な動きを試していく。
結果は分かりやすかった。
ボディへゾウを入れると、身体全体の安定性は大きく上がる。強く押されても姿勢を崩しにくく、重い攻撃を受けても吹き飛ばされにくい。
その代わり、瞬間的な動きにはわずかな鈍さが出る。
何度目かの短距離走を終えたキッドが息を吐いた。
「やっぱり、ちょっと重い感じがしますね」
シラメ博士が数値を確認しながら頷く。
「安定性を取ってる分、軽快さは落ちるね」
「じゃあ、ずっとこれにしとけばいいってわけじゃない」
「もちろん。相手によるよ」
東が画面を覗き込む。
「でも、モズキャッチャーみたいな相手にはかなり合ってたんでしょ?」
「そうですね。あの吸引で体勢を崩されにくくなったのは大きかったです」
「じゃあ、ボディでいいじゃない」
東の言葉に、紀人とシラメ博士が顔を見合わせた。
少しだけ期待が浮かぶ。
「……そうかも」
「そうだよね」
シラメ博士は端末を操作した。
そして、別のデータを表示する。
二人の期待が消えた。
そこに出ていたのは、以前頭部へゾウメモリーを入れた時の記録だった。
東が画面を見る。
「どうしたの?」
シラメ博士が答える。
「頭の方が……」
紀人が続けた。
「総合的には使いやすいですね……」
二人揃って、深いため息をついた。
◇
頭部へゾウメモリーを入れた時のデータは、すでに十分に揃っている。
特に大きいのが、鼻だった。
腕とは別に動かせる一本の補助肢。
物を掴める。
引っ張れる。
支えにも使える。
手が塞がった状態でも、別の動作ができる。
シラメ博士が画面を眺めながら言う。
「やっぱり便利なんだよね、鼻」
「分かってます」
「両手が使えない時でも動かせるし」
「分かってます」
「掴めるし」
「分かってますって」
東が横から言った。
「だったら何が不満なのよ」
紀人は答えない。
シラメ博士も答えない。
東がため息をつく。
「見た目?」
「はい」
「うん」
即答だった。
「二人とも子供みたい」
「いや、東さん」
紀人が振り向く。
「一回あれになってみてくださいよ」
「私はかわいいと思うけど」
「そういう問題じゃないんです」
「どういう問題?」
「……何て言えばいいのか分かんないですけど」
「分からないの?」
紀人が黙った。
そんな紀人の肩を、シラメ博士がそっと叩く。
「紀人君」
「はい」
「分かるよ」
「博士……」
二人の間に、妙な連帯感が生まれた。
東だけが完全に置いていかれている。
「何なの、その無駄な結束」
◇
シラメ博士はゾウメモリーを持ち直した。
「まあ、まだ結論を出すのは早いよ」
紀人が少しだけ希望を取り戻す。
「次は?」
「腕」
「ゾウを?」
「ゾウを」
東が面白そうに笑った。
「今度は見た目、大丈夫?」
紀人は少し考える。
「それは……やってみないと」
シラメ博士も真剣に頷く。
「そこも重要な検証項目だね」
「性能を先に見なさいよ」
東のツッコミが飛ぶ。
それでも、紀人とシラメ博士にとっては大問題だった。
頭部ゾウの性能が優秀なのは分かっている。
便利なのも認めている。
だからこそ。
できるだけ、それ以外の使い道を見つけたい。
紀人はゾウメモリーを見つめた。
「腕なら……いけるかな」
シラメ博士も頷く。
「期待しよう」
東はそんな二人を見ながら、小さく首を傾げる。
「かわいいのに」
その一言を聞いた紀人とシラメ博士が、揃って顔をしかめた。
本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。
それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。
一つの作品だけでも楽しめる。
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ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。
【人間×生成AIによる合作作品】
企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才
文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)
本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。
本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。




