↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビーストギア Another  作者: 戮
ミラーカメレオン編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/59

第一話 これ、どうしましょう?

第一話 これ、どうしましょう?


夕方。


「……やっぱ朝の方が走りやすいな」


紀人は軽く息を吐きながら、いつもの道を走っていた。


普段なら、ランニングは朝。


それが紀人の日課だった。


だが今日は朝から用事があり、走る時間を取れなかった。


だから珍しく、夕方にいつものコースを走っている。


「まあ、今日はちょうどいいか」


この先にある公園。


そこで東と会うことになっていた。


◇


「あ、いた」


公園へ入ると、ベンチに東が座っていた。


紀人に気づき、軽く手を上げる。


「お疲れさま、紀人くん」


「お疲れさまです」


紀人はベンチの前で止まり、呼吸を整えた。


「ごめんなさい。走ってる途中に呼び出しちゃって」


「大丈夫ですよ。今日は朝走れなかったんで、ちょうどよかったです」


「そう?」


「はい。この辺、いつものコースなんで」


「それならよかったわ」


紀人は東の隣へ座る。


「それで、話って?」


「これからの連絡方法について」


「連絡方法?」


「ええ」


東が少し声を落とした。


「今まではパンさんのお店で会った時に話すことも多かったでしょう?」


「はい」


「でも、いつもそこで会えるとは限らないし」


「そうですね」


「それに」


東が紀人を見る。


「パンさんの前では、話せないこともあるでしょう?」


「……それは、かなりありますね」


パンさんは、紀人がキットであることを知らない。


当然、CASHや怪人、キットとしての行動について、何でも話せるわけではない。


「だから」


東は小さなものを取り出した。


「これ」


「何です?」


「私と直接連絡を取るためのもの」


「直接?」


「ええ。何かあった時、これなら私に連絡できるわ」


紀人は受け取った。


手の中で少し眺める。


「今後も何が起きるか分からないもの」


「そうですね」


「毎回、偶然会えるのを待つわけにもいかないでしょう?」


「確かに」


紀人は頷いた。


「ありがとうございます」


「使い方は――」


東が説明を始めようとした。


その時だった。


◇


「わー!」


子供の声。


「こっち! こっち!」


「待ってー!」


楽しそうな声が聞こえた。


紀人と東が、何気なくそちらを見る。


そして。


二人とも止まった。


少し離れたところに、子供が何人かいる。


そのすぐそば。


「……怪人?」


紀人が立ち上がった。


東もすぐに立つ。


ネズミ型の怪人。


子供たちのすぐ近くにいる。


「東さん!」


「ええ!」


二人は同時に動こうとした。


だが。


「……あれ?」


紀人が止まった。


東も数歩進んだところで振り返る。


「どうしたの?」


「いや……」


紀人はもう一度、子供たちを見る。


一人の子供がボールを投げる。


転がったボールをネズミ怪人が追い、拾って子供のところへ持っていく。


「もう一回!」


子供が笑う。


また投げる。


ネズミ怪人が追う。


別の子供も駆け寄る。


「次、ぼく!」


「わたしも!」


楽しそうだ。


誰も逃げていない。


泣いていない。


ネズミ怪人も、襲っているようにはまったく見えない。


「……東さん」


「ええ」


「襲われてるっていうより」


「遊んでるように見えるわね……」


「ですよね」


「……ええ」


二人とも、その場で止まった。


◇


「……これ」


紀人が言う。


「どうしましょう?」


東はすぐには答えなかった。


警察官として、怪人が子供たちのすぐそばにいる状況を見なかったことにはできない。


「警察としては……」


「はい」


「このまま何も確認せずに帰るわけにはいかないわね」


「ですよね」


「でも……」


二人でもう一度見る。


「ネズミさん、こっち!」


子供が走る。


ネズミ怪人が追う。


今度はネズミ怪人が逃げ、子供たちが追いかける。


「待てー!」


「きゃはは!」


東が少し困った顔をした。


「今ここで割って入るのも……違う気がするわね」


「俺もそう思います」


「もう少し見ましょう」


「はい」


◇


二人は少し離れた場所から、様子を見ることにした。


子供が走る。


ネズミ怪人が追う。


だが、速すぎない。


子供の速度に合わせているように見える。


「あいつ」


紀人が言う。


「結構ちゃんと加減してません?」


「そう見えるわね」


別の子供がボールを追う。


足がもつれる。


「あっ」


紀人が動きかける。


だが、その前にネズミ怪人が子供の身体を支えた。


子供は転ばなかった。


「ありがと!」


ネズミ怪人は、少し嬉しそうに見える。


「……東さん」


「ええ」


「やっぱり、悪いやつには見えないんですけど」


「今のところはね」


「ですよね」


「でも」


東はネズミ怪人から目を離さない。


「これだけで決めるのは早いわ」


「はい」


紀人も、そこは分かっている。


◇


そして。


紀人はネズミ怪人を見ながら、何かを思い出した。


「……あ」


「どうしたの?」


「俺、あいつ見たことあります」


「え?」


「前の配信です。あとで映像を見返した時に」


「……」


「川出さんを助けてたやつです」


東の表情が変わった。


「この怪人が?」


「たぶん。見た目、同じだと思います」


あの時。


川出が危ないところを、横から現れて引っ張り、助けた。


「川出さんを助けて、今度は子供たちと遊んでる……」


東も静かに観察する。


「少なくとも」


「はい」


「人を助けたところを一度」


「はい」


「今も、子供たちへ危害を加えていない」


「むしろ遊んでますね」


「そうね」


材料は、少しずつ増えていた。


◇


「そろそろ帰るよー!」


少し離れたところから、大人の声。


「はーい!」


子供たちが返事をする。


「帰ろ!」


「うん!」


子供たちがネズミ怪人を見る。


「ネズミさん、またね!」


「また遊ぼうね!」


ネズミ怪人は子供たちを見て、何か短い言葉を返した。


「……今」


紀人が言う。


「喋りました?」


「ええ」


東も聞いていた。


「片言みたいだけど」


「喋れるんだ……」


また一つ、分かった。


子供たちは何の疑問も持たず。


「またねー!」


手を振って、公園を出ていった。


◇


静かになった。


ネズミ怪人は、子供たちがいなくなった方をしばらく見ていた。


そして周囲を確認する。


右。


左。


そこで。


紀人と目が合った。


「あ」


ネズミ怪人の身体が止まる。


東にも気づく。


一歩、後ろへ。


また一歩。


「東さん」


「動かないで」


「はい」


「警戒してるわ」


「みたいですね」


紀人は両手を見える位置に置いた。


「別に何もしないよ」


意味が通じるかは分からない。


ネズミ怪人は紀人を見る。


東を見る。


そして、くるりと向きを変えた。


走る。


茂みへ。


姿が消える。


「……行っちゃいましたね」


「ええ」


「追います?」


「やめておきましょう」


東は即答した。


「今、追いかける理由はないわ」


「分かりました」


◇


二人はベンチへ戻った。


「……何か」


紀人が言う。


「すごいの見ちゃいましたね」


「そうね」


東も少し考えている。


「川出さんを助けた」


「ええ」


「子供たちとも普通に遊んでた」


「人間への攻撃行動は、少なくとも今日は確認できなかった」


「喋れる」


「片言だけどね」


「……味方なんですかね」


紀人が言う。


「それはまだ分からないわ」


東は、はっきり答えた。


「今分かっているのは、人間へ友好的に見える行動を何度か取っていることだけ」


「はい」


「正体も分からない」


「目的も」


「そう」


東は少し考えた。


「もう少し様子を見ましょう」


「CASHには?」


東はすぐには答えない。


「いずれ報告は必要になると思うわ」


「はい」


「でも今は、説明できる材料が少なすぎる」


「じゃあ」


「ある程度、確かなことが分かってからにしましょう」


紀人は頷いた。


「分かりました」


「それまでは要観察対象ね」


「要観察対象」


「ええ」


紀人はネズミ怪人が消えた茂みを見る。


「……分かりました」


◇


「じゃあ」


紀人が思いつく。


「シラメ博士に相談してみます?」


東が止まった。


「博士なら、何か分かるかもしれないですよね」


「そうね」


「じゃあ」


「でも」


東は少し考えたあと。


「今はやめておきましょう」


「何でです?」


「観察対象より」


一拍。


「実験マウスになりかねないもの」


紀人が少し考える。


「……ネズミだけに?」


「そういう意味で言ったんじゃないわよ」


「ですよね」


「博士が危険だって言ってるわけでもないの」


「はい」


「ただ、今見せたら……」


「研究したくなる?」


「たぶん」


「……ありそう」


二人とも少しだけ、シラメ博士の顔を思い浮かべた。


「もう少し」


東が言う。


「私たちで見てからにしましょう」


「はい」


◇


「そうだ」


東が、先ほど紀人へ渡したものを指差す。


「ちょうどいいわ」


「え?」


「何か分かったら、それで私に連絡して」


「ああ」


紀人が手元を見る。


「これ」


「ええ」


「キット関係の連絡用だったはずですよね」


「そのつもりだったわ」


「最初の連絡」


紀人はネズミ怪人が消えた方を見る。


「ネズミになりそうです」


東が少し笑った。


「それはそれでいいんじゃない?」


「いいんですか?」


「必要な連絡には違いないでしょう?」


「まあ、そうですね」


紀人は新しい連絡手段をしまった。


「じゃあ、俺、ランニングの続きして帰ります」


「気をつけてね」


「はい」


少し走って。


紀人は一度だけ振り返った。


茂み。


何もいない。


川出を助けた。


子供たちと遊んでいた。


そして、少しだけ言葉も話せる。


「何なんだろうな、あいつ」


まだ分からない。


だから、もう少し見てみることにした。

本作品を含む、凛監修×生成AI合作作品は、同じ世界観の中でつながるシリーズ作品です。

それぞれ単独でもお楽しみいただけますが、同じ出来事が別作品では異なる視点から描かれたり、一方で起きた出来事が、もう一方の物語へつながったりすることがあります。

一つの作品だけでも楽しめる。

けれど、複数の作品を読むことで、初めて見えてくるものもある。

ぜひ、それぞれの物語をあわせてお楽しみください。

【人間×生成AIによる合作作品】

企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才

文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)

本作品の世界観、キャラクター、各エピソードの原案・展開は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。