↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ビーストギア Another  作者: 戮
アリア編3

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
27/58

第一話 みたくない

第一話 見たくない


 いつもなら、とっくに見ていた。


 配信が終われば、なんだかんだでアーカイブを開く。


 自分がどんな戦い方をしていたのかを確かめることもある。


 それ以上に。


「誰がそんなこと言ったんだよ」


「勝手に名前つけんな!」


「いや、そこ違うから!」


 画面の向こうから好き勝手に流れてくるコメントへ、一人で突っ込む。


 見るのをやめようと思ったこともある。


 でも、結局は気になる。


 何を書かれているのか。


 自分の戦いが、どう見えていたのか。


 だからセミスピーカーの時も。


 モズキャッチャーの時も。


 紀人は結局、最後まで見た。


 けれど。


 今回だけは。


「…………」


 スマートフォンの画面に表示されたサムネイルを見つめる。


 キッド。


 その向かいに立つ、蝶のような翼を持つ怪人。


 サクラ。


 今の姿だけを見て、あれがサクラだと分かる人間がどれだけいるだろう。


「……見たくねえ」


 紀人は画面を伏せた。


     ◇


 あの事件から、数日が経っていた。


 黒い奴との戦いが終わったあと。


 紀人はすぐに、サクラのもとへ駆け寄ろうとした。


 けれど。


 いなかった。


 さっきまで、確かにそこにいた。


 黒い奴に吹き飛ばされ、地面に倒れていた。


 なのに。


 戦いが終わった時には、サクラの姿は消えていた。


 謎のヒーローも。


 同じように姿を消していた。


「…………」


 生きているのか。


 死んだのか。


 誰かに連れていかれたのか。


 助けられたのか。


 何も分からない。


「どこ行ったんだよ……」


 答えは返ってこない。


 当たり前だ。


 それでも、あの日から何度も同じことを考えていた。


 あの時。


 もう少し早く動けていたら。


 手を取れていたら。


 黒い奴に吹き飛ばされる前に、何かできていたら。


「…………」


 考えても意味はない。


 分かっている。


 それでも、考えてしまう。


     ◇


 そして。


 サクラのことがあったからこそ、紀人の中にはもう一つ、消えない疑問が残った。


 怪人。


 今まで紀人にとって、怪人は怪人だった。


 人を襲う。


 暴れる。


 だから倒す。


 それだけだった。


 少なくとも、そう思っていた。


 でも。


 サクラは違った。


 怪人の姿をしていた。


 翼があった。


 毒針もあった。


 人間とは比べものにならない力を持っていた。


 それでも。


 中にいたのは、サクラだった。


 自分の名前を覚えていた。


 家族のことも。


 道場のことも。


 紀人のことも。


 空手も。


 全部覚えていた。


 いつものように腹を立て。


 いつものように勝負を挑んできた。


 そして。


 サクラは元々、人間だった。


「…………」


 紀人は自分の右手を見る。


「じゃあ……」


 何度目か分からない。


 それでも、また口から出る。


「今までの奴らは?」


 白蟻。


 これまで戦ってきた怪人たち。


 あいつらは、最初から怪人だったのか。


 それとも。


 サクラと同じように。


 元は人間だったのか。


「……分かんねえ」


 答えはない。


 けれど。


 もう以前のように、


『怪人だから倒す』


 それだけで済ませることはできなくなっていた。


     ◇


 紀人は、もう一度スマートフォンを手に取った。


 アーカイブのページを開く。


 サムネイル。


 キッド。


 サクラ。


 コメント数も、かなり増えている。


「…………」


 いつもなら。


 まずコメント欄を見て、


「何書かれてんだよ」


 とでも言いながら、そのまま再生する。


 でも。


 今回は指が動かない。


 見れば、またあの戦いを見ることになる。


 サクラとの一騎打ち。


 毒針。


 自分の拳。


 サクラが、わざと攻撃を受けようとした瞬間。


 そして。


 紀人が寸前で拳を止めたところ。


 そこまでも、見たいわけではない。


 だが。


 その後。


 二人が手を伸ばした。


 もう少しで届くところだった。


 そこへ。


 黒い奴が現れた。


「…………」


 紀人は画面を閉じた。


「無理」


 短く呟く。


「今回は無理」


 それだけではない。


 さらに先。


 怒りに任せて戦った自分。


 メモリーの力に飲まれかけ、怪人のような姿になった自分。


 あの時は、自分がどんな姿をしていたのか、ほとんど分かっていなかった。


 ジンが何か叫んでいた。


 北山の声が聞こえた。


 そして気づけば、元の姿へ戻っていた。


「……あれも映ってんだよな」


 見たいわけがない。


 自分自身が怪人になるかもしれない。


 その可能性を。


 わざわざ画面越しに突きつけられたいはずがなかった。


     ◇


 紀人は別のことをしようとした。


 宿題を開く。


 数分で閉じる。


 漫画を読む。


 三ページで内容が頭に入らなくなる。


 テレビをつける。


 うるさく感じて消す。


「…………」


 結局。


 目はスマートフォンへ向く。


「だから見ねえって……」


 自分に言う。


 それでも、気になる。


 いつもと同じだった。


 見るのをやめようと思っても。


 結局、気になってしまう。


 ただ。


 今回は、気になる理由がいつもとは違った。


「…………」


 あの時。


 自分は何を見ていた。


 目の前のサクラ。


 白蟻。


 黒い奴。


 戦う相手ばかり見ていた。


 CASHの連中が何をしていたのか。


 周囲で何が起きていたのか。


 謎のヒーローが、いつ、どこにいたのか。


 そして。


 自分から見えていない時。


 サクラがどんな顔をしていたのか。


 ほとんど知らない。


「…………」


 紀人は再びスマートフォンを手に取った。


 今度は、すぐには閉じなかった。


 画面には大量のコメントが並んでいる。


「……こいつら」


 セミスピーカーの時も。


 モズキャッチャーの時も。


 好き勝手なことを書いていた。


 そのたび紀人は、


「違うから!」


「誰がそんな名前つけた!」


 と突っ込んできた。


 今回も。


 きっと同じように、好き勝手なことを書いている。


 でも。


「あの時……こいつらは何見てたんだ?」


 自分が戦っている間。


 画面の向こう側では、何が見えていた。


「…………」


 サムネイルのサクラを見る。


 もしかしたら。


 自分が見落としていた何かが、映っているかもしれない。


 サクラが消えた理由まで分かるとは思わない。


 怪人の正体だって、この動画一本で答えが出るわけがない。


 でも。


「あの時、俺が見えてなかったものがあるんじゃないか」


 それだけは。


 確かめたかった。


 紀人は再生ボタンへ指を置く。


 また、ほんの一瞬だけ迷った。


「……今回だけは」


 小さく呟く。


「本当に見たくねえんだけどな」


 それでも。


 結局。


 気になるものは、気になってしまう。


「……一回だけ」


 誰に言い訳しているのか。


 自分でも分からない。


 紀人は小さく息を吐き。


 再生ボタンを押した。


※本作は、作者とChatGPT(AI)による合作作品です。物語の企画・原案・世界観・キャラクター設定・物語構成・展開の方向性など、作品の根幹となる部分は作者が制作しています。それらの原案や設定、作者との相談・修正・指示をもとに、ChatGPTが文章化、表現の調整、推敲などを担当しています。作者とAIが互いに案を出し、検討と修正を重ねながら、一つの物語として完成させています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。