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ビーストギア Another  作者:
セミスピーカー編

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2/14

「腕なしでどう戦えと!?」



ANOTHER BEAST GEAR


第2話「腕なしでどう戦えと!?」


時根脱才 作


 怪人の腕が振り下ろされた。


「詰んだああああああああああっ!!」


 叫びながら。


 紀人は横へ跳んだ。


 直後。


 さっきまで立っていた地面が、大きく抉れる。


「だから待てって!」


 転倒しそうになった身体を、必死に脚だけで立て直す。


「今こっちは人生最大級のトラブル抱えてんだぞ!」


 怪人は答えない。


 むしろ。


 腕を失った紀人を見て、好機と判断したかのように距離を詰めてくる。


「ですよね!」


 紀人は走った。


 とにかく。


 今は距離を取るしかない。


「どうする……どうする俺……!」


 カバーを開ければいい。


 コブラメモリーを外す。


 ブランク状態にして。


 閉じる。


 そうすれば、この形態は解除できる。


 理屈は分かっている。


 問題は。


「そのカバーを開ける手がねえ!」


 紀人は叫んだ。


「なんだこの欠陥システム!」


 一瞬。


 考える。


「…………」


 いや。


「入れた俺が悪いのか……?」


 さらに考える。


「いやでも普通、誤操作防止とかあるだろ!」


 怪人が追いつく。


「今それ考えてる場合じゃねえ!」


 紀人は急停止。


 怪人の拳をかわし、その懐へ潜り込む。


「腕がないなら――!」


 右脚を振り上げる。


「脚を使う!」


 蹴りが怪人の脇腹へ突き刺さった。


 怪人の身体が横へ流れる。


「よし!」


 追撃。


 左。


 右。


 回し蹴り。


 後ろ蹴り。


 拳は使えない。


 肘も使えない。


 掴めない。


 防御もできない。


 だったら。


 脚だけで。


 攻撃される前に攻撃する。


「おらっ!」


 怪人の頭部へ蹴りが入る。


 巨体がよろめいた。


「いける!」


 紀人の顔に笑みが戻る。


「なんだよ! 腕なくても――」


 足を掴まれた。


「…………」


 紀人の笑顔が消えた。


「また?」


 怪人が持ち上げる。


「お前それ気に入ったの!?」


 紀人の身体が宙へ浮く。


「ちょっ――」


 振り回される。


「だから酔うってえええええ!」


 今度は。


 怪人が紀人を地面へ叩きつけようとした。


「まずい!」


 腕はない。


 受け身も取れない。


 なら。


「――っ!」


 紀人は腹筋に力を込めた。


 身体を折る。


 怪人に掴まれている脚を軸に。


 もう片方の脚を振り上げる。


「だったらこれで!」


 踵が怪人の顔面へ直撃した。


 怪人の手が緩む。


「離せ!」


 もう一発。


 蹴る。


 足が解放された。


「よしっ!」


 紀人は宙へ投げ出される。


「……あ」


 今度は。


 着地。


 腕は必要ない。


「これはいける!」


 両脚から地面へ降りる。


 膝を曲げる。


 衝撃を逃がす。


 成功。


「よっしゃ!」


 紀人は顔を上げた。


「分かってきたぞ!」


 腕がない。


 それを。


 元の身体と同じように動こうとするから、失敗する。


 なら。


 最初から。


「腕なんかないと思って戦えばいい!」


 実際。


 ないのだが。


「…………」


 紀人は一瞬だけ黙った。


「いや、それ何の解決にもなってねえな」


 怪人が突進してきた。


「でも今はそれでいい!」


 紀人も走る。


     ◇


 戦い方を変える。


 拳による牽制は捨てる。


 相手を掴むことも考えない。


 防御もしない。


 かわす。


 蹴る。


 離れる。


 ただ、それだけ。


 単純。


 だが。


「はっ!」


 紀人の蹴りが怪人の膝へ入る。


 体勢が崩れる。


 すぐに。


「そこ!」


 顎へ蹴り上げる。


 怪人がのけ反った。


「よし!」


 いける。


 さっきまでより。


 明らかに動けている。


「要するに!」


 怪人の攻撃。


 身体を沈めてかわす。


「腕がないなら!」


 地面へ片膝をつく。


 そのまま身体を回転。


 脚を払う。


「脚だけで戦えばいいんだよ!」


 怪人が倒れた。


「どうだ!」


 紀人は立ち上がる。


「人間、やれば何とかなるもんだな!」


 そのとき。


 倒れた怪人が、紀人の足を掴んだ。


「…………」


 紀人が下を見る。


 怪人を見る。


「それは禁止にしない?」


 当然。


 聞いてもらえなかった。


「うおおおおっ!?」


 引っ張られる。


 紀人が倒れる。


「だから倒れると起きるの大変なんだって!」


 地面を転がる。


 怪人が覆いかぶさってくる。


「まずっ……!」


 押さえ込まれた。


「…………」


 紀人は動こうとする。


 肩。


 動く。


 脚。


 動く。


 腕。


 ない。


「…………」


 怪人の両腕がある。


 紀人の両腕はない。


「これ……」


 紀人の顔が引きつる。


「組み技になったら絶対勝てなくない!?」


 怪人が拳を振り上げた。


「うわあああ!」


 紀人は脚を曲げる。


 怪人の腹へ両足を当てる。


「どけぇぇぇ!」


 一気に蹴り飛ばした。


 怪人の身体が浮く。


 その隙に。


 紀人は身体を横へ転がした。


「起きろ俺!」


 腹筋。


 脚。


 勢い。


「よっ!」


 どうにか立ち上がる。


「はぁっ……はぁっ……」


 きつい。


 戦えるようにはなった。


 だが。


 これでは。


 いつか捕まる。


「やっぱ……戻らないとダメだ」


 紀人はベルトを見る。


 カバー。


 コブラメモリー。


 あれを外す。


 方法。


「手がないなら……」


 紀人は周囲を見る。


「手を使わずに開ければいい」


 何か。


 引っかけられるもの。


 押せるもの。


 カバーへ届くもの。


「…………」


 紀人の視線が止まった。


 少し離れた場所。


 壊れた柵。


 怪人の攻撃によって折れた金属部分が。


 斜め上へ突き出している。


「…………」


 紀人はベルトを見る。


 柵を見る。


 もう一度。


 ベルト。


 柵。


「……いけるか?」


 怪人が起き上がる。


「やるしかねえ!」


 紀人は走った。


 怪人ではなく。


 柵へ。


「頼むぞ……!」


 突き出た金属へ身体を寄せる。


 先端を。


 ベルトのカバーへ引っかける。


「もうちょい……!」


 身体を捻る。


 カチッ。


「!」


 わずかに。


 カバーが浮いた。


「開いた!」


 紀人の顔が輝く。


「よっしゃあ!」


 カバーを開ける。


 できた。


 あとは。


 コブラメモリーを。


「…………」


 紀人の動きが止まった。


 カバーは開いた。


 メモリーが見えている。


「…………」


 外す。


「…………」


 どうやって?


「…………」


 右肩を見る。


 左肩を見る。


 メモリーを見る。


「…………」


 怪人を見る。


 怪人が迫ってくる。


「待って」


 紀人はもう一度、ベルトを見る。


「開けるだけじゃダメじゃん」


 そう。


 メモリーは。


 自分で抜かなければならない。


「…………」


 紀人は天を仰いだ。


「次から次へとぉぉぉぉぉぉっ!!」


 怪人が迫る。


 だが。


 カバーは。


 開いた。


 あと一つ。


 あと一つだけ。


 コブラメモリーを抜く方法さえ見つければ。


「……やってやる」


 紀人は怪人へ向き直った。


「ここまで来たら意地でも戻ってやる!」


 腕のない紀人と。


 容赦なく襲ってくる怪人。


 そして。


 開いたままのベルト。


 紀人に残された問題は。


 ただ一つ。


「手を使わずに……どうやってメモリー抜くんだよ!」


 答えは。


 まだ。


 見つかっていなかった。


     ◇


後書き


腕がない。


だからベルトのカバーを開けられない。


では、手を使わずに開ければいい。


紀人、解決策を発見。


――と思ったら。


今度はメモリーを抜く手がありません。


一つ解決するたびに、次の問題が出てくる。


完全に自業自得ですが、本人はいたって真剣です。


そして、腕がなくても戦い方を変えれば戦えることも分かってきました。


果たして紀人は、手を使わずにコブラメモリーを抜くことができるのか。


次回、いよいよこの「腕なし問題」の解決編です。


【ANOTHER BEAST GEAR】


本作は『ビーストギア』本編の設定をもとに、「もし、あのとき別の選択・結果になっていたら」を描くIFストーリーです。


本編とは異なる世界線の物語であり、本編の出来事そのものを変更するものではありません。


【人間×生成AIによる合作作品】


企画・原案・設定・ストーリー構成:時根脱才


文章制作・構成補助:ChatGPT(OpenAI)


本作品の世界観、キャラクター、基本設定は作者が制作し、それをもとにAIと相談・推敲を重ねながら、小説として文章化しています。

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