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ビーストギア Another  作者:
モズキャッチャー編 2

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第3話「蛇に足はない」

『ビーストギア Another』


第二篇「メモリーを試す紀人」


第3話「蛇に足はない」


「…………」


 紀人は。


 コブラのメモリーを眺めていた。


「頭は分かったんだよな」


 前回。


 頭部にコブラのメモリーを使用した。


 毒。


 ヘッドバッドで相手へ毒を送り込める。


 さらに。


 ジン兄さんから昔聞いた話が正しければ。


 種類によっては。


 口から毒を飛ばすこともできる――かもしれない。


「…………」


 紀人は。


 口から毒を飛ばす自分を想像した。


「やっぱ格好悪いな」


 それについては。


 まだ納得していなかった。


「まあ、それはいいとして」


 問題は。


 別の場所へ使ったら。


 どうなるのか。


 紀人は。


 コブラのメモリーを見る。


 そして。


 自分の脚を見る。


「…………」


 もう一度。


 コブラ。


 脚。


 コブラ。


 脚。


「蛇って」


 今さら確認するまでもない。


「足、ないよな」


 ない。


 当然。


 ない。


「…………」


 紀人は。


 少し考えた。


「じゃあ」


 脚に使ったら。


「どうなるんだ?」


     ◇


 普通に考えれば。


 蛇に脚はない。


 なら。


 ビーストギアで。


 蛇の特徴を脚部へ反映させた場合。


「…………」


 紀人の頭の中に。


 一つの姿が浮かぶ。


「尻尾になる?」


 人間の脚が消え。


 代わりに。


 蛇のような長い尾が伸びる。


「…………」


 想像してみる。


 上半身は人間。


 下半身は蛇。


「おお」


 ちょっと。


 面白そう。


「それなら移動もできるよな」


 蛇のように。


 地面を這って進む。


「…………」


 紀人は。


 さらに想像する。


「結構速かったりして」


 悪くない。


 むしろ。


 試してみたい。


「よし」


 決まった。


「やってみるか」


 前回。


 東から言われたこと。


 一人で無茶をしない。


 安全を確認する。


 調子に乗らない。


「…………」


 紀人は。


 周囲を見る。


「別に飛ぶわけじゃないし」


 走るわけでもない。


 攻撃するわけでもない。


 ただ。


 脚にメモリーを使うだけ。


「これは大丈夫だろ」


 前回も。


 似たようなことを。


 考えていた気がする。


 しかし。


 紀人は。


 気にしなかった。


     ◇


「じゃあ……」


 コブラのメモリーを。


 脚部へ。


 装填。


「…………お?」


 変化が始まる。


「来た来た」


 紀人は。


 期待しながら。


 自分の下半身を見る。


「…………」


 そして。


 止まった。


「…………」


 見る。


「…………」


 もう一度。


 見る。


「…………え?」


 足が。


 ない。


「…………」


 紀人は。


 まばたきをした。


「足は?」


 ない。


「…………」


 そこまでは。


 予想していた。


 蛇なのだから。


 足がなくなる。


 分かる。


 問題は。


「…………尻尾は?」


 ない。


「…………」


 紀人は。


 自分の下半身を見る。


「…………」


 足。


 ない。


 尻尾。


 ない。


「…………え?」


 もう一度。


 念入りに確認する。


「…………」


 やっぱり。


 ない。


「ちょっと待って」


 足が消えた。


 そこはいい。


 いや。


 よくはない。


 だが。


 そういう変化だと。


 まだ理解できる。


「尻尾は!?」


 紀人の声が。


 虚しく響いた。


     ◇


「いやいやいや!」


 紀人は。


 慌てて身体を動かそうとした。


「足なくすなら尻尾出るだろ普通!」


 誰に。


 文句を言っているのか。


 分からない。


「蛇だぞ!?」


 身体が傾く。


「あ」


 支える脚が。


 ない。


「うわっ!」


 どさっ。


「痛っ!」


 倒れた。


「…………」


 紀人は。


 地面に転がったまま。


 少し考えた。


「…………」


 そして。


「いや、立てないじゃん!」


 ようやく。


 事態の深刻さに気づいた。


     ◇


「待て待て」


 紀人は。


 腕を地面についた。


「落ち着け」


 上半身を起こす。


「よし」


 そこまでは。


 できる。


「で……」


 立つ。


 そのためには。


 脚が必要。


「…………」


 ない。


「いや」


 紀人は。


 自分に言い聞かせる。


「何とかなるだろ」


 腕に力を入れる。


「よっ……!」


 身体を起こす。


「おお……!」


 いける。


 いけるかもしれない。


「よしよしよし……!」


 身体が。


 少しずつ。


 起きる。


「いける!」


 次の瞬間。


 ぐらっ。


「え」


 支えるものが。


 ない。


「うわあああっ!」


 どさっ。


「痛ってえ!」


 再び。


 地面。


     ◇


「…………」


 紀人は。


 仰向けになったまま。


 空を見ていた。


「…………」


 数秒。


「いや」


 起き上がる。


「今のはやり方が悪かった」


 もう一度。


 腕で支える。


「今度はゆっくり……」


 起きる。


「そう……」


 バランスを取る。


「ゆっくり……」


 ぐらっ。


「そっちじゃない!」


 どさっ。


「…………」


 また。


 起きる。


「反対に――」


 ぐらっ。


「うおっ!」


 どさっ。


「…………」


 起きる。


 倒れる。


 起きる。


 倒れる。


「くっそ!」


 起きる。


「いけ!」


 倒れる。


「何でだよ!」


 当然である。


 足が。


 ないのだから。


     ◇


「蛇はどうやってんだよ!」


 紀人が。


 ついに。


 蛇へ文句を言い始めた。


「足なくても普通に動いてるだろ!」


 蛇には。


 蛇の身体がある。


 今の紀人には。


 それがない。


「こっちは足だけなくなってんだぞ!」


 その通り。


 だから。


 どうしようもない。


「尻尾!」


 紀人が叫ぶ。


「尻尾くらい出せよ!」


 出ない。


「蛇だろ!」


 出ない。


「コブラだろ!」


 出ない。


「…………」


 紀人は。


 地面に転がったまま。


 コブラのメモリーを見る。


「頭では優秀だったのに……」


 毒。


 頭突き。


 場合によっては。


 口から毒。


「脚に入れた途端これかよ……」


 足を消す。


 以上。


「能力じゃないだろ、これ」


 紀人の中で。


 コブラ脚部フォームへの評価が。


 猛烈な勢いで。


 下がっていった。


     ◇


「とにかく」


 紀人は。


 もう一度。


 身体を起こした。


「戻せばいいんだ」


 そう。


 簡単な話だ。


 コブラのメモリーを外して。


 別のメモリーへ交換する。


「よし」


 紀人は。


 交換しようとする。


 しかし。


「…………」


 身体が。


 傾く。


「待て」


 姿勢を戻そうとする。


「こっち――」


 ぐらっ。


「あっ」


 どさっ。


「…………」


 倒れた。


「…………」


 紀人は。


 少し。


 苛立った。


「もう一回」


 起きる。


「まずバランスを取って」


 慎重に。


「それから交換――」


 ぐらっ。


「だから!」


 どさっ。


「何なんだよ!」


     ◇


 もう一度。


「よっ!」


 起きる。


 倒れる。


 もう一度。


「今度こそ!」


 起きる。


 倒れる。


「待て待て待て!」


 起きる。


 倒れる。


「ちょっと!」


 起きる。


 倒れる。


「交換させろ!」


 誰も。


 邪魔していない。


 紀人が。


 勝手に。


 倒れているだけである。


「くそっ!」


 また。


 起き上がろうとする。


「落ち着け、俺!」


 紀人は。


 自分自身へ言い聞かせた。


「こういう時こそ冷静に考えろ!」


 そう。


 焦ってはいけない。


「まず立つ!」


 起き上がる。


 ぐらっ。


「だから立てねえんだって!」


 どさっ。


「…………」


 自分で言って。


 自分で。


 止まった。


     ◇


「…………」


 紀人は。


 地面に倒れている。


「…………」


 立てない。


「…………」


 足がないから。


 立てない。


「…………」


 だったら。


「…………ん?」


 紀人は。


 そのまま。


 メモリーを見る。


「…………」


 自分の手を見る。


「…………」


 もう一度。


 メモリー。


「…………」


 一拍。


「別に」


 紀人が。


 ゆっくり口を開く。


「立つ必要なくない?」


「…………」


 静寂。


「…………」


 紀人は。


 地面に寝転がったまま。


 手を伸ばした。


「…………」


 届く。


「…………」


 普通に。


 届く。


「…………」


 交換。


 別のメモリーへ。


「…………」


 脚が。


 戻る。


「…………」


 紀人は。


 そのまま。


 しばらく動かなかった。


     ◇


「…………」


 右足を動かす。


「…………」


 動く。


 左足。


「…………」


 動く。


「…………」


 紀人は。


 ゆっくり。


 立ち上がった。


「…………」


 立てる。


「…………」


 一歩。


 歩く。


「…………」


 歩ける。


「…………」


 もう一歩。


「…………」


 普通に。


 歩ける。


「…………足って」


 紀人は。


 しみじみと。


 自分の脚を見る。


「大事だな……」


 当たり前である。


     ◇


「…………」


 紀人は。


 コブラのメモリーを拾い上げた。


「お前さ」


 じっと見る。


「頭では優秀だったじゃん」


 毒が使える。


 近距離なら。


 頭突きで毒を送り込める。


 もしかしたら。


 毒を飛ばすことだって。


 できるかもしれない。


「なのに」


 脚。


「足なくすだけって何だよ」


 メモリーは。


 何も答えない。


「せめて」


 紀人は。


 まだ納得できない。


「尻尾くらい出てもよくない?」


 返事は。


 ない。


「…………」


 紀人は。


 ため息をついた。


「まあ」


 今日。


 一つ。


 大事なことが分かった。


 メモリーは。


 ただ使えばいい。


 というものではない。


 どのメモリーを。


 身体の。


 どこへ使うのか。


 それによって。


 結果は。


 大きく変わる。


「ちゃんと考えて使わないとな……」


 紀人は。


 深く頷いた。


「…………」


 そして。


 もう一度。


 コブラのメモリーを見る。


「でも」


 一拍。


「やっぱ尻尾くらい出せよ」


 どうやら。


 そこだけは。


 最後まで。


 納得できなかったらしい。


――つづく。


――――――――――


※本作は、作者が物語のストーリー、世界観、キャラクター、設定、展開を考案し、AIとの対話を通じて文章の整理・推敲・執筆補助を行いながら制作しています。


物語の方向性、設定、展開、および最終的な内容の判断は作者自身が行っています。


本作では「人間とAIが協力して、一つの物語を作る」という創作の形にも取り組んでいます。


※本作品は「小説家になろう」「カクヨム」の両サイトに掲載しています。

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