6月27日 ――0日その5
現さんが背負っていた大きな荷物。
その中身は、大量のお菓子でした。
乳製品と小麦を混ぜて焼いたもの。
乳製品と卵を混ぜ、蒸したもの。
木の実を砕き、蜜を混ぜて固めたもの。
穀物を煎ったものに味をつけたもの。
それを見た、いえ香りを嗅いだ時点で、緊張していた私の心が弛緩します。
つい先程、れーちゃんという方にお菓子を奪われそうになってショックを受けていた私のお腹が鳴き声をあげはじめました。
「――という具合に、秘密のお茶会を開催する算段を立てていたのです!」
「研究棟はピクニック場じゃないのよ……」
華麗に誤魔化しながらお菓子を配る現さんを見て、聖良さんが呆れたように溜息をつきます。
「まあまあ、それでも、一息付くのは大切なことですし……んぅ?」
取り成そうと聖良さんの方を見た私は、妙な違和感を覚えました。
口では呆れたと言っている聖良さんが、どこかそわそわして何か言いたげな様子をしていたから。
唇をやや尖らせ、明後日の方向を向いた瞳。
そして顔はほんのり紅潮して。
そこでやっと、私は気付きました。
聖良さんの持っている鞄の中、堅そうな膨らみに。
「聖良さん、その……」
「……何?」
「……なんだか、喉が渇きませんか? これだけのお菓子を前にすると、特に」
「そ、そうね……あ」
私の言葉に、聖良さんは今気づいたといった風にご自身の鞄から何かを取り出しました。
それは、水筒でした。
「丁度、庭の野草で淹れたお茶があるんだけど……」
かくして研究棟内部にて、おやつの時間改めお茶会が開催される運びとなりました。
しかしこの『お茶会』、互いのコミュニケーションを円滑にして親睦を深めるという意味では、大変有意義なものでした。




