肉体変化の隔離実験
普通のドライイーストを、仙桃果汁の中にぽちょり。
放射線が出たことには気がつかないふりをしつつ、濾過して、「マーケット」の鑑定コーナーへ。ちょっとお金を弾んで詳細検索。
………『ネクタール(品質:低)』やっぱりなー。ネクタール出来ちゃうよなー。
そもそもギリシャ神話の神酒がネクタールと言うのだ。
転じて、果肉30%以上の桃飲料がピーチネクターとして日本に広まっていた。
真似すると本物になる傾向の強いこの世界では、“じゃあ仙桃の酒ならネクタールになるよね”というのは至極当たり前の話なのだ。
評価が低いのは、
・ドライイーストであること
・ほぼ無菌にかまけて温度操作を怠ったこと
・濾過の時に果肉が減ったこと
あたりだろう。
植物魔法で補助してやったら旨い酒になるだろうが、俺もエイダも飲めない。肉体が変質してしまう。
そこで、手元にある仙桃は、ネクタール原料の仙桃ピューレとして「マーケット」で売ってしまおう。種は必要なので取る。
さてエイダ、これ、飲んでみない?
「普通に飲むと肉体が変質しますよ」
そこで俺には策があるのだ。
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「スイートルーム接続。
■■■□□□□□□□
20.01%…」
オフトゥンも良かったが、量子シミュレータの更に上位モデル、「スイートルーム」を買った。
シミュレータ内部でオフトゥンを複数起動可能な結構馬鹿げたレベルのシミュレータだ。
このスイートルーム内オフトゥンで仙桃なりネクタールなり試してみよう。
最悪の結果が起きても、シミュレータ内部のシミュレータだから強制シャットダウンのチャンスも2回はある。
オフトゥンの中で桃を割って、二人で食べる。
久しく使ってなかった味覚!甘味!おいしいね!エイダ!
「マスターの神経系から味蕾、味覚、関連言語野をダウンロード……味に対する語彙が貧弱ですね、マスター、しかし、これは食感が爽やかで極めて甘く、美味しいです。」
なんか俺をdisられた。まあ果汁でベッタベタになりながらそのままイチャイチャにもつれ込んで、オフトゥン一個ダメにした。リセットすれば直るから問題なし。図らずも回春効果まで実証しちゃった?
「それはマスターが積極的なだけでは?」
いや、エイダも「認めません。」
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シミュレータを終えて戻ってきた。解析結果も出たようだ。
概念体への影響は…結構あるな。比重が人間並みにまで戻ってる。放射線耐性を剛で受ける俺やエイダの体に対して、細胞新生で耐える仙桃ボディ。
これはこれでアリかも知れない。
「他物体への影響が無ければですが。」
そうだね。仙人同士や、上位宇宙なら問題ないかもしれないけど、食事が必要になることや、体内で勝手にプロパティを変換、核融合する代謝などなど、仙桃の問題全てが乗り移った体になってたね。
エイダが気持ちよかったし、気持ちよさそうだったから、ちゃんと変質した肉体の方も問題解決した方が楽しそうだ。ね、エイダ。
「マスター!」
今週はこれ一本です。




