侵略的外来種
「マスター、マスターや私が仙桃を食べるのは危険ですよ。体組成が大きく変化します。」
マジか。話を聞くとこうだ。
本来の仙桃は、蟠桃園にあり、
手前の樹は、三千年に一度熟し、これを食べた者は仙人になれる。
中ほどの樹は、六千年に一度熟し、これを食べた者は、長生不老が得られる。
奥の樹は、九千年に一度熟し、これを食べた者は天地のあらん限り生き永らえるとされる。
俺やエイダは少なくとも長生不老か不老不死、これを食べる益はなく、体構造を本質的に作り替えるため、半分機械ベースの俺達と肉体ベースに構造を作り替える仙桃は相当に相性が悪い。
完全に商品作物だ。太上老君にプランテーション化されそうだ。あの方、戦は好まないけど腹黒だからなあ。
ともかくも種はあるので条件を変えて育成する。
んー?物質だけでも育つ。幻想物質だけでも育つ。生育速度は遅いけど。
核融合する植物だから、ナノテクノロジーなりなんなり使ってるのは目に見えてたけどプロパティ変換まで使いこなしてるってことか。
「マスター、仙桃は、宇宙特定外来生物、宇宙植物防疫法指定生物、侵略的外来宇宙種に指定されてますよ。」
どれも宇宙って付けたらいいと思うなよ上位宇宙!
まあ、分かってみればそれはそうだ。物質も幻想物質も栄養にして、周りの動植物を放射線で殺しまくり、しかも果肉は食べた動物の肉体を変質させる。危険どころではない。なんてもの寄越しやがる。
幸い魔法石には根を伸ばしていないが、ちゃんと密閉空間での育成が必要だ。
プロパティ変換のオート化、物質と幻想物質の核融合、仙桃の肉体変換技術。どれ一つ取っても高度な研究成果の上に成り立っている。太上老君からしてみたら技術供与の一環なんだろう。まあリバースエンジニアリングには悔しいことに最適だ。
だが、どれも危なすぎるんだよ!太上老君ともなれば地球一つくらい滅びてもなんとも思わないだろうな。
農政全書も注意が必要だ。育ちうる条件は書いてあるが、最適化はなされていない。相変わらず知識の売買に上位宇宙は厳しい。
今後貰えるバナナも注意が必要かも知れない。貰えなかった賢者の石も危険だった可能性は高い。とても高い。
だまし討ちとまでは思わないが、例えばまだ弓を知らない原始人に、全くの善意からクロスボウ渡すようなもんだ。危なすぎる。
結局、貰えないアムリタと、エイダボディが一番だったのかも知れないな、とちょっとしょんぼりしながら本日の研究成果を纏める俺であった。
今週はここまでです




