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第2話 萌芽の妖精⓪
なぞなぞでは時たま「本当のことしか言わない正直者」と「嘘しか言わない嘘つき」が登場する。これはなぞなぞ故の配慮であって、現実の嘘つきは嘘しか言わないわけではない。
しかし嘘だと思って言った言葉が実は本当のことだったり、本当のことだと思って言ったことが実は間違っていたりすることはある。その場合前者は正直者なのだろうか。後者は嘘つきなのだろうか。
嘘は一般的に悪意を伴ったもののことをそう呼ぶ。だから重要なのは真実と一致するかどうかという点ではなく、それを言った者がどういう意図で言ったか、であると言えそうだ。
ならば相手のためを思ってついた嘘はどうなんだと言われると、どうにも答えに窮してしまう。
まあ、剣も魔法も使えない僕にとっての武器は知識と口先。その僕に言わせてみれば、悪意があろうとなかろうと、最後までつき通した嘘というのはただ漫然と存在しているだけの真実より価値のあるものなのだが。




