第9章:王の重荷?王の?王…
°°°°°° 第三者の視点 °°°°°°
「なあ、ハイロ… 俺たち、ここに結構いるよな… それにあの女の子はエルフと、たぶんその妹か友達と一緒に焼け焦げてる。攻撃するなら今が絶好のタイミングじゃないか?」俺は相棒の方を見た。彼はこの近くに生えてる黄色い兎の脚を食っていた。
「まあ…その…」ハイロは兎の脚を言い訳にして目をそらしていた。「そろそろ言うべきだと思う…」彼は俺の方へ振り向き、骨を木の反対側に置いた。「この仕事を受けた唯一の理由は、金がもらえて何もしなくてよかったからだ…俺はただの謙虚なD級冒険者だ。」
「はあ!? でもこれは男爵夫人の依頼だぞ!子供を引き渡さなきゃいけないんだ!お前、せめて戦えるのか?」俺はハイロの首をつかみ、殴り殺したい衝動を堪えたが、これ以上時間を無駄にできず放した。「聞け、俺たちはあの女の子を連れて行って引き渡すだけだ。それで依頼は終わりだ!」
「でも…相手は女の子だぞ…やりすぎじゃないか?」ハイロは迷っていた。笑い話だった。誇り高きB級冒険者だと名乗っていたのに、実際は役立たずのD級だった。
「やりすぎ? お前は今までどれだけタダで金をもらってきたんだ!そろそろまともに稼ぐ時だ。」俺はエルフを見た。彼女は凄腕の魔術師のようだった…そうなると選択肢は二つだけだ。俺が正面から彼女と戦い、この無能が子供を攫うか、彼女の前でこいつを見捨てて俺が子供を連れて行くか…正直、二つ目の方が魅力的だったが、この道化を見ていると一分の猶予も与えてくれなさそうだった…
「でもあのエルフが木を破壊するのを見ただろ!俺たち、粉々にされるぞ!」少年はまだ怯えていた…頼むよ、冒険者ならそんなの捨て去れよ…
「聞け、俺は本当にB級なんだ…」俺は銀のメダルを見せた。「見えるか? B-ランクだ。お前と違って、俺はこれを真剣にやってる。だから聞け。お前はあっちへ行って、紫髪の女の子を男爵の屋敷へ連れて行け。俺がエルフを十分な時間止める!」
ハイロは最後にもう一度子供たちを見て、それから俺の目を見た。「わ…分かった!やる!」
°°°°°°°°°°°°°°°°°°° エリーゼの視点 °°°°°°°°°°°°°°°°°°°
俺は木の後ろで小便を終えた。
「終わったよ、師匠!さあ、訓練に戻ろう!」
俺は師匠のところへ戻り、武術の動きを真似ようと両手を構えた。
「私もやる!」
ミサも俺の隣に並び、俺たちは二人そろって武術のひどい真似を始めた。
「よしよし。今から一番基本を教えてやる!これはお前の命を千回救う技だ!」師匠は地面に座り、繊細な指でそれに触れた。「穢れから隠れる妖精よ、私に狩りを許し、あなたと私が共に糧を得られるように…」師匠は手を上げて俺たちに見せた。「見えるか、エリーゼ?彼女は精霊だ。見えるか?」
「えええ、師匠、何も見えない…変なものでも食べたんじゃない?」俺は彼女の手を観察したが、確かに何もなかった…俺はそれを『見えない芸術』みたいなものだと思った。
「お姉ちゃん、間違ってるよ…」ミサは腕を組み、挑戦的な目で俺の前に立った。「師匠は今、空想の友達を紹介してるんだよ!」彼女はものすごい自信でそう言った…
「じゃあ誰にも見えないのか…本当に、エリーゼ?見えないのか?子供なら分かるが、お前も見えないのか?」何かが俺の髪に止まるのを感じた。触ろうとしたが、何もなかった。「なるほど…見えない。」
師匠は地面を見て、それから再び俺を見た。「なら、お前はまだ幼すぎて理解できないんだな…来い、訓練のためにもう一度動物を探しに行くぞ。」
師匠は立ち止まり、素早く立ち上がって俺たちに近づいた。「離れるな…客が来たようだ…」
風は強くなかった…だが枝が茂みのそばで動いていた…師匠はあちこちを見た。俺は念のため手のひらに少し火を灯し、もう片方の手でミサを強くつかんだ。
「お…お姉ちゃん…怖がらないで…えっと…私たち、一緒だよ。」ミサは自信があるふりをしていたが、俺にしがみついていた。
「——クウッ!」俺が反応する前に、茂みから多くの赤い光が出て、すごい速さで俺たちへ向かってくるのを見た。時間が止まったようだった。心臓が激しく鳴っていたが、その瞬間、彼女の頼もしい声を聞いた。
師匠は足で地面を強く蹴った。
「ハリエル!」草が伸びて、俺たちを完全に球状に包み込んだ。着弾すると炎になって消えたが、一つも俺たちには当たらなかった。
「お姉ちゃん!」ミサは俺の服を強くつかんでいたが、俺は反応しなかった。俺はただ、緑の布で顔を覆い、黒い服で全身を包んだあの男を見た。
「俺の弟子の前で俺を攻撃するとは?」彼女の手に杖が現れた。「アウラ!来て、子供たちを連れて行け!」
アウラは何もないところから実体化し、俺たちの前に降り立った。
「ミャ! 〈家へ行くぞ、エリーゼ!私から離れるな!〉」
「…うん!」俺はミサをおぶって、アウラを追って走った。
地面が時々震え、赤い光が時々輝いたが、俺は振り返ってはっきり見ようとはしなかった。走り続けた。
「お姉ちゃん!後ろから誰か来る!」
「ミャ!」アウラの虎縞の毛が一瞬輝き、何かのエネルギーを後ろへ放った。俺は振り返らなかった…だが轟音が響いた。
俺は前方に横たわる幹を飛び越え、走り出す前に衝撃的なものを聞いた。
「お姉ちゃん!」ミサは俺を強くつかみ、爪を肌に食い込ませた。
「ああああ!」男の叫び声だった。俺は本能で振り返り、動けなくなった。
「へえ…へえ…なるほど、虎猫か…」青いマントの人物が、血まみれの黒い服の少年を引きずりながら俺たちの方へ歩いてきた…匂いが…変だった。
「ミャアア!」アウラはかつて見た姿へと大きくなった。まるで森そのもののようで、枝と葉だった。体は葉でできていたが、毛の模様は枝でできており、顔と爪も同様だった。
「ロードか! くそ女、こんなに難しいなんて聞いてないぞ…」男は一歩後退した。「聞け…そこまで難しくない。俺を行かせろ…」男は小さな短剣でアウラに突進した。
「イクシオン!」短剣から黄色い刃が展開し、剣のように見えた。そしてアウラを刺そうとした。
「ミャ! 〈愚か者!〉」剣はアウラの脚に触れて折れた。アウラは男のいた場所を叩いたが、男は攻撃を受ける前に跳んだ。
男は両手を胸の前で合わせ、そこから円が形成された。「スマイル・ストップ!」
小さな黄色い獅子が彼の胸から出てきた。小さく、ほとんど俺たちと同じくらいの大きさだった。
アウラは咆哮し、木々は激しく左右に揺れた。
黄色い獅子は走った。アウラはそれを潰そうとしたが、獅子は彼女を駆け上った。男はその間に彼女を回り込もうと走った。
「今だ、死ね——」
獅子が咆哮した。アウラの首からもう一つの頭が現れ、牙でそれを引き裂いた。すべてがとても非現実的で興奮させるものだった…獅子の体から黄色い液体が流れ出るのを見ながら、俺の胸の中で焼けつくような感情が燃えていた。
「スマイル!」男は獅子の方へ走った。「くそ森の怪物め!」男は立ち上がろうとしたが、大きな風が俺たち全員へ流れ込み、その場所の塵を巻き上げた。遠くで大きな緑の輝きが続き、轟音が森全体を震わせた。
俺は必死に息をした。奇妙で遠い声が叫んでいた。「俺は王だ!俺は王だ!俺たちは王だ!ああああ!」心臓が痛み、頭がおかしくなりそうだった。まるで釘が頭を打ち付けているようだった。そしてあの黄色い液体を思った、あの黄色い液体を!俺はミサを放し、あの男へ走った。
「俺…? エリーゼ、下がれ!」葉の腕が俺をつかもうとしたが、俺はかわした。俺は…俺は…王だ。王はいつも最後の一撃を放つ。俺は腕をかわし、アウラの大きな腕が俺をつかもうとしたが、地面を滑り、脚を擦りむき、勢いをつけて高く跳んだ。そこで俺は男が獅子の体に触れているのを見た。
(王はすべてを征服する!慈悲を見せない!)頭の中では叫び声が続いていた。それは支援の叫びだった。それは…俺だった。
「小娘が!これでも食らえ!」男は俺を殴ろうとし、実際に殴った。顔を殴られた。一瞬、激痛と口の中に奇妙な液体を感じたが、倒れなかった。俺は彼の手をつかんだ。
「勝利!」すべてが暗くなった。体が重くなり、眠る前に鋭い痛みが俺を襲った。
°°°°°°°°°°°° ミサの視点 °°°°°°°°°°°°°°
私は怖かった。それは木のような大きな奇妙な獣で、吠えて、あの見知らぬ男を殴ろうとしていた。怖かった。でもお姉ちゃんは叫ばなかったし、怖がらなかった。私は、私は安心だと思った。でも彼女は私を放して、あの男へ走った。
「お姉ちゃん!」彼女はあの怪物の腕に登り、男へ跳んだ。奇妙だった。パパの話に出てくる英雄みたいだった。彼女は男の前に立ち、男は彼女を殴った。分からないけど、私は走った。目が濡れていた。怖かった。パパに会いたい。パパ…
でもお姉ちゃんは光って、奇妙なものが男とお姉ちゃんを覆った。私は彼女へ走った。
「エリーゼ!」怪物は球を叩いたが、何も起こらなかった。何度も叩き、木を抜いて叩いた。何も起きなかった。風が静まり、球が割れ始めた。私はお姉ちゃんへ歩いた。怪物は消え、猫がお姉ちゃんへ走った。私は抱きしめた。男はもういなかった。でもそこにはお姉ちゃんがいた。




