第4章:ここでは何も起こらなかった…
~バブ!
灰の中を探すと、杖が見つかった。少し焦げていたが、まだ使えた。(たぶん。)
杖を手にした俺は、ふとアウラのいる方へ目を向けた。すると、猫の女性が泣いていた。
「ただ、お嬢様がどこかのスケベなバカに傷つけられなければいいと思っただけなのに。あのクズに死んでほしかったわけじゃないのに!……」
女性は震えながら涙を拭った。埃と灰にまみれているのと対照的だった。
~バブ…… 〈どうする、アウラ?〉
アウラが近づいて囁いた。
「あの男は別の場所へ行ったと伝えるんだ。偽物だったと。」
「わ……私は、あの若者はどうなったんですか? 好きではなかったけど……」
女性は少年がどうなったのか知りたがっていた……。そこで俺は彼女に近づいた。幸いなことに、俺は中学生の頃にすでに厨二病を経験していたので、こういう場面で何を言えばいいか分かっていた。
~バブ! ~バブ! ワァ…… ブゥゥゥ。 〈爆発は、八百五十三兆七千二百二十二億分の一の確率で起こる事象により、空間次元の亀裂を引き起こし——〉
「ミュウ…… ミュウ。 〈もう黙れ、エリーゼ。彼女はお前の言葉なんて理解できない……〉」
その小さくも重要な弱点を理解すると、俺は説明を諦め、その場に座ってアウラの話を聞くことにした。
「ミュウ、ミュウ、ニャオ、ニャオ、ニャオ。 〈聞いて、娘さん。何が起きたかというと、その少年は私の森の主としての権限によって、大陸の西側へ転移させられたんだ。〉」
「え、死んでない? 本当に……どこか別の場所へ転移したの?」
彼女の黒い瞳に涙が浮かんだ。
「あの愚か者に慈悲をかけてくれてありがとう!」
彼女が涙を拭うのを見ながら、俺はアウラのところへ行った。
俺は囁いた。
~バブ? ~バブ? 〈それって本当か?〉
「ミュウ…… ミュウ…… 〈もちろん嘘だ……土の肥料になっただけだ。〉」
やっぱり嘘だった。
そこで俺は彼女のところへ戻り、ドレスを引っ張った。
~バブ! ワァ! 〈心配するな、女よ。俺の輝く美しさが、我々が犯した罪を忘れさせてやる!〉
「まあ……赤ちゃんが慰めてくれてる!」
女性は俺を抱き上げた。
「お嬢様を思い出すわ!……そうだ、尊敬すべき森の主よ、どこへ向かっていたのですか? できれば、移動をお手伝いしたいのですが。」
~バブ! ~バブ! 〈受け入れろ、アウラ、受け入れるんだ!!〉
彼女はため息をついた。
「ミュウ、ミュウ、ミィ。 〈近くのシンダーという町へ行くんだ。インのエッセンスを探している。〉」
「ああ、インのエッセンス? それならちょうどいいわ!」
女性は、まるでさっきまでのことが何でもなかったかのように微笑んだ。
「私がお嬢様の屋敷でお分けします!」
そう言うと、女性は片方の腕にアウラを、もう片方に俺を抱え、走り始めた。
~バブ…… ~バブ…… 〈どうやって彼女はあんな連中に殴られていたんだ……? 俺なら彼女に手を出すのは怖いぞ。〉
風が急速に俺たちに向かってきた。森は広大だった……時々、見たこともない動物を見かけた……。
しばらく走り続けた後、女性はようやく足を止めた。
「すみません……少し休ませてください……」
女性は俺たちを土道の脇の柔らかい草の上に置いた。
風は爽やかで、空気は澄んでいた……住んでいた場所とは大違いだ……。
空を見上げた。雲は少なかった……すべてがとても穏やかだった。
「ああ! 魔法の剣が欲しい!」
突然、背後から叫び声が聞こえたので、振り返った。
「だからダメだと言っただろう! 高すぎる!」
背の高い筋肉質の女性が老ドワーフを叱っていた。
「でも、孫に誇りに思われたいんだ。抱きしめるときに嫌な顔をされたくない……」
ドワーフはうつむいて歩きながら言った。
「それは風呂に入らないからだ! 言っただろう:拳で戦え、とどめは私の魔法で刺す……おい、あれを見ろ……」
彼女と目が合った。俺たちに気づいた二人は、すぐに近づいてきた。
俺は凍りつかせるとか、道を土や蔓で埋めることを考えたが、材料がなかった……
「待て! 奥さん、なぜ町の外で人間の赤ん坊を連れている?」
男は拳で攻撃的な構えをとり、女性はその後ろで大きな杖を抜いた。
「違います! 誤解しないでください! この子たちをシン伯爵のところへ連れて行くんです、そうですよね、森の主?」
女性は汗をかき、二人の前で震えていた。だから俺は急いで、笑顔でうなずいた。
アウラは彼らの前に立ち、俺の目には落書きのように見えるものを砂に描いた。
「ああ……森の主か……失礼しました。小さな女の子と獣人が外にいるのを見て、最悪の事態を考えてしまって。」
男は跪いて謝罪した。女性はというと、杖をしまっただけで、何も言わずに顔を背けた。
「着く前に休んでいました。首都から来たのです。」
猫の女性は緊張した笑みを浮かべながら、手で扇いだ。
「なるほど……あなたが運んだのでしょう。その距離を旅するとは……」
老人はうなずき、草の上に座った。それから、俺たちの方を見て微笑んだ。
「一緒に食事をしませんか? 後で町まで護衛しますよ。」
老人は魔法で作った穴のようなものから肉を取り出した。
「おい、スカ、本当に草の上に座るのか?」
強い女性が老人に問いかけた。そこで俺は猫の女性の柔らかい腕から抜け出し、老人のところへ行った。
~バブ! ~バブ! 〈俺に食わせて、お前の話を聞かせろ!〉
「おお、この小さな生き物を見てごらん!」
老人は俺を持ち上げ、感嘆しながら、俺の偉大な存在感に魅了された。
「なんて可愛い女の子だ!」
「ワウ! ワウ! 〈女の子って何だ! 俺は立派な男だ!〉」
「ははは、すみません、その子は男の子ですよ……」
猫の女性は、抑えきれない震えにもかかわらず、俺の前で何とか言葉を出した。
「男の子?! じょおお。」
俺は彼を注意深く観察した。奇妙な匂いは別として、その抱擁は優しく、喜びの表情は祖父母を思い出させた……
「スカ、あんたは攻撃されては——」
女性は老人と一緒にいる俺を見て言葉を止め、自分も座った。
「ちょっと待って、スカ……分かった?」
女性はスカから肉を取り、手から出る火で焼いた。
~バブ! ~バブ! ~バブ! ~バブ! 〈アウラ! 火! 魔法をくれ!〉
「ミュウ…… ミュウ…… 〈お前はもう水を温めるときに火を出すだろ……〉」
肉の匂いが広がった……老人が俺の美しい髪を撫でながら……
~バブ…… よだれ…… 〈腹減った……〉
「おお、お腹が空いたのか、小さな子? 心配するな、おじいちゃんが食べさせてやる!」
老人は俺に少しずつ肉を与え、慎重に吟味してから渡した。
「ワウ! 〈うまい! アウラ、食べてみろ!~〉」
アウラにも少しあげようとしたが、小さな腕では届かなかった。
「寛大な魂だ……こんなに小さいのに、世話をしてくれる者に食べさせるとは。」
老人は一片をちぎってアウラに与えた。
「あなたも……食べて、はい……」
魔術師の女性が猫の女性に肉を差し出した。
「あ……ありがとうございます! この親切に感謝します!」
猫の女性は、奪われるかのように勢いよく食べた。
食事を続けるうちに、老人は自分の孫のことを話し始めた。
「なあ、小さな子……俺の孫はお前より年上で、もう9歳だ……冒険者になってほしいんだが……店を継ぎたがっている……」
老人は悲しくなった。だから俺は彼の顔をつかんで、考え事を忘れさせようとした。
「うあ! ~バブ! 〈悪いことを考えるな……それは学生の最大の敵だ……〉」
「はははは! お前は冒険者になって、大冒険をして、認められ、名声を得て、女も一人や二人……」
老人は冒険者の利点を語りながら幸せそうだった……
~バブ…… ワ! ~バブ! 〈名声! 金! 女! アウラ、俺は冒険者になりたい!〉
「ミュウ…… ミュウ…… ミュウ! 〈風呂にも入らず森で何日も過ごし、飢え死にしないように最初に見つけたものを狩りたいのか?〉」
~バブ…… 〈ハーレムのための必要な犠牲だ。〉
「わあ、この子はすごく興奮してる! き……きっとあなたの話が本当に好きなんだわ……」
猫の女性はもう食べ終わっていたが、何か言いにくそうだった。
「スカ……少年に偽りの希望を与えるな。誰もがAランクに到達できるわけじゃない……それに、母さんに言いつけたくなければ、そんなこと言うな。」
女性はもう食べ終えていた。ただ、まだ俺に食べさせ終わらない老人を待っていた。
そうして俺たちは、食事を終えた後、シンダーの町へ向かうことにした。
°°°°°°°°°°°°°°°°° リタの酒場 °°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°°
一方、その頃、リタの酒場では——。
「リタ! リタ!」
誰かが必死に俺を揺さぶっていた。
「ああ、何! 今度は何があった?」
起き上がると、ナルミが必死な様子でいた。
「どうした、ナルミ? エッセンスが切れたのか?」
俺は頭をかいた。
「エリーゼに使いを頼めば……」
「いないんです! 帰ってこないんです!」
ナルミは泣きながら何度も俺を揺さぶった。
「帰ってこない? ああ……分かった……」
俺は起き上がり、枝のベッドを見たが誰もいなかった。それからナルミを脇にどけ、窓へ行った。
「おい、じいさん! アウラとエリーゼがどこへ行ったか知ってるか?!」
甲高い声が答え、ほとんど笑っているようだった。
「エリーゼとアウラは、老人と猫と魔術師の女と一緒に、別の町で犯罪を犯しながら、革命でも起こすつもりだと思うぞ……」
ナルミには聞こえないが、本気で俺をからかっているのか?
俺は窓を閉めた。
「聞け、ナルミ……正確に何を探しに行かせたんだ?」
涙を拭いながら、ナルミは俺を見た。
「インのエッセンスを……」
「インのエッセンス? 何のために? 貴族とあの馬鹿げたハイドだけがそんなものを使う! 下に農場があるだろう、それは二次的なものだ。」
俺は怒って叫んだ。怒っているからではなく……ただ……意味が分からなかった……
「……ごめんなさい……」
ナルミが床に倒れ、頭を地面につけて許しを請うのを見た。
「ただ……あの老いぼれどもが来たときのために商品を置いておきたかっただけなのに……」
「いいんだ……いいんだ……」
俺は彼女を抱きしめ、頭を撫でた。
「心配するな、分かっている。次からは知らせてくれ……」
「で……でも……い……いつも寝てばかりじゃないですか……」
ナルミの冷たい涙が流れ、俺の体に落ちた……
「そうだな……そうだな……すまない……心配するな、すぐにエリーゼを連れてくる……」
俺はそっと彼女を押し戻し、微笑んだ。
「着替えるまで待ってくれ……」
(馬鹿な弟子め! 姉さんを泣かせた罰を教えてやる!!)




