8月3日(月)「ともだち」
月曜日、平日の始まりだ。今日は友達の家に遊びに行く。銃作りはまたも中断である。
その友達「さやみん」はかなり特殊なご家庭だ。父親は夜遅くまで働き、母親とは.....遠く離れている。だから彼女が母親の分まで家事をして、小学生の弟の面倒をみている。所謂ヤングケアラーだ。
彼女の家に遊びに行けるのは、たまたま彼女以外が家にいないから。普段は汚すぎて人を呼ばないらしい。正直行くのがこわい。
アパートの前でさやみんが笑顔で手振ってる。余計に怖い。追加で来た友達のレイティーも来てる。たすけてレイカティーチャー!
あやみんちはよくある家で、想像よりずっと綺麗だった。すごく普通の家で、ドラ⚪︎エのスライムクッションがいっぱいあって可愛かった。しかも、
「すげぇ!あやみんも自分の部屋もってる」
「りんちゃん、普通はあるよ」
「あはは、来る前に綺麗にしといたんだ。弟の部屋からやばい匂いしてたんだけどね」
レイティーがツッコミしてくるが彼女の言うことは当てにならない。なぜなら私やあやみんと違い、彼女はお嬢様で、まともな家だ。そして周りがやばい家庭環境ばかりで胃を痛めている常識人だ。
「おいでふたりともーぷよデトやるよ〜」
あやみんから呼ばれコントローラーを接続していく。
「ちょアンタらつよすぎんか!?」
「「だって私たち弟にしごかれてんだもん〜」」
二人とも普段は優しいのにゲームではえげつない。お姉ちゃんって皆こうなのだろうか。えまって全消し飛ばして来ないで!
楽しい時間はあっという間に過ぎてもう6時だ。するとさやみんが例の話を切り出した。
「実はね、私親戚のとこ行くかもなんだ。皆実のあたり」
「そうなんだ、遠いね」
レイカは悲しそうにしている。
「こうやって遊ぶの厳しくなるかも。……あれもこれも米炊かないあいつのせいだもん」
「弟君関係ねえだろ!まあ、引っ越しても県内だし、電車で行けるさ」
私は知っている。あやみんは泣くほど引っ越したくないこと。親戚は彼女が助けを求めたとき、濁して逃げたらしい。信用できない大人とずっといるのはどんなに苦しいだろうか。
さやみんは母親から暴力を振るわれたりお金を取られていたらしく、母と距離を取った今でも苦しんでいる。
私には銃がある。家庭環境も過去の傷も治せられないけど、本当に辛い時は介錯できる。そう言いそうになるのをぐっと堪え、さやみんちから出た。
もしも本当に介錯を頼まれたら私は撃ち抜くのだろうか。果たしてそれは友情なのか。いや、きっと一人で死にたくないだけなのだ。これにて八日目の報告を終了する。




