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#95 拷問した話

 『巨人の雫』、か。俺が壊滅した後、妖精の国で総力を挙げて残った奴らがいないか調査させた。その結果誰もいなかったし、拠点も全て破壊したから、根絶やしにしたと思ったんだけどな。

 元から変な実験をしていた組織だ。人体実験もしていたが、奴らが最も得意だったのは洗脳だな。人を壊すことで協力者を増やしていた。あと、魂の研究もよくしてたっけ。


「よし、調査するか。ユリウスとは顔を合わせたくないが······拷問して聞き出すか。クロード」


 まだ名前を読んだだけで何も言っていないのに、クロードがどこかに転移していった。そして二秒経たない間にユリウスを縛り上げて持ってきた。

 彼は誇らしげである。ダリアに視線を送っていたが、ダリア自身は別に何も気にしてなさそうだった。


「ここではやりにくいので」


 クロードはそう言って、彼含む四人に対して転移魔法を発動した。

 行き着いたのは、パルテノン神殿とコロッセオのmix、正式名称ヴァルハラの最下階、クロードの住処だ。

 ここに来るのも久しぶりだ。ユグドラシルの根本には泉が湧いている。ミーミルの泉というのだが、クロードが管理している。一口飲むと知識が得られるって言うから、飲んじゃうよね。地味に不味いんだけど。

 泉の周りには妖精も住んでいる。ユグドラシルの管理をしている三姉妹なのだが、クロードと折り合いが悪くてよく喧嘩している。ちなみに、その内の一人はマリーだ。

 そんなわけで、クロードはクロードだけの部屋を持っていないのだ。彼曰く、俺がいれさえすればいいとのことなので、さっさとオーディン離れして幸せになってほしいものである。

 俺はユリウスに銃型にしたグングニルを向ける。彼は怯える様子も、怖がる様子も見せず、寧ろ笑顔になった。


「······俺がやるとダメだな。クロード、手段は問わない。全て吐かせろ」

「承知しました。殺しますか?」


 うーん、どうしようか。殺すか殺さないかで言えば、ぶっちゃけ半分ずつで葛藤に決着がつかない。

 俺の気持ち的なもので言うと殺したいし、復讐のためだと思うと殺さないほうが泳がせることもできるし。場合によっては人質にもできるし。


「お前に任せる。ダリアはどう思う?」

「正直、僕は殺さないほうがいいと思います。彼は利用できるので」


 おお、容赦ないな。一応、偽物だけど兄なんだよね? しかし、私情が入っていないってことだ。

 クロードがどうするか。昔と違って力加減はできるだろうし、ここはほったらかしで見てるだけってのでもいいかも。元からそうするつもりだけど。

 クロードは魔法で壁を四方に作り、俺に椅子まで用意してくれた。作られた空間は完全に密閉され、結界まで張られた。これにより、ユリウスだけ魔法が使えなくなったな。

 すげー。俺にはこんな器用な真似、できる気がしない。もっと大きい空間ならできそうではあるけど。

 俺は椅子に座り、クロードに拍手を送った。


「凄いな、これ。こんなに速く器用なことするなんて、成長したな」

「ありがとうございます。練習した甲斐がありました」


 こんなのどう思いついて何を目的にして練習するんだよ。こういう、拷問とか悪い時くらいにしか使わねぇだろ。

 クロードはあからさまに口が緩んでいる。これから拷問するとは思えない雰囲気まで醸し出していた。でも拷問される側も同じような雰囲気をばら撒いていて、俺は非常にげっそりだ。


 拷問は非常にグロテスクで非人道的、かつ拷問する側とされる側があまりにも変質者すぎた影響で、聞き出したことだけ語ろう。

 まずユリウスもあんまり『巨人の雫』については知らないようだ。物心ついた時には所属していたのだと。

 王子が? とは思ったが、所属していた時既に自分が王子だとわかっていたらしい。不思議な話だ。

 組織はジェルグリッド教を隠れ蓑にしていて、後ろ盾にもなっているらしい。従わない勢力を抑えたりして。

 レイガルドの中にいるもう一人は、俺の兄姉たちを殺した二人のうち一人で、兄姉たちを殺した理由は詳しくは知らないのだと。

 そして生き残った俺を運良く見つけ出してしまった組織は、集落ごと滅してしまったと。

 以上だ。

 結局、クロードはユリウスを殺さなかった。それは恐らく、クロードが俺に褒められて浮かれていたからである。ユリウスが俺に感謝すべきだ。

 ユリウスだけヴェルディに帰して、今後の相談だ。

 ユリウスにはクロードの部下が監視役としてついているそうなので、とりあえず安心だ。


「レイガルドを捕まえるのは少し難しいかと」

「お前でもか?」


 クロードは自信なさげに視線を下げた。

 意外だな。レイガルドがクロードでも捕まえるのが簡単じゃないなんて。相当な手練じゃないか。

 クロードだって、千年単位で生きているし魔力量も人間とは比べるまでもない。それでもか。

 レイガルドの中にいるもう一人。まさか纏めて復讐ができるとは、俺はなんて幸運なんだろう。


「あの者は、全く隙がありません。監視してもすぐに気づかれてしまうのです」


 思ったよりレイガルドが強敵だ。頭は弱そうだけど、戦闘能力で言うと今の俺よりも高いんじゃないかな。

 クロードで無理なら、俺にも無理だ。大体、魂が全部戻ってきていないのだ。でも戻されても困る。


「一度ヴェルディに戻るか」


 俺がそう言った瞬間に、クロードが三人纏めて転移魔法で元いた場所に転移した。有能な部下がいて助かる。

 ヴェルディはとんでもなく盛り上がっていた、違うな。これは悲鳴だ。

 窓に駆け寄ると、影が襲ってきた。

 巨大な空飛ぶトカゲ、ワイバーンだ。

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