表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/100

#80 血の繋がった兄の話

 一連の流れをウリア王子から聞かされ、ただいまげんなりとどん底の気分と雰囲気だった。

 本物······俺が? まあ薄々気づいてたって言うと嘘になるけど、でも本物のウリア・セントリアにしては矛盾と謎があるんだよ。

 ちょっと頭が追いつけないっていうか、理解したくないというか······。


「魂が全部返されれば、ウリアさんはまた魔法が使えるようになりますよ」


 また魔法が·····? いや待てよ。魂割り? そしたら俺は、半分の魂で生きていた、と。できるの、それ。

 そういえば最近夢に出てこない雷って、一人分じゃないみたいなこと言ってたよな。それも何か、関係が······?

 ユリウスが真実を知っていたというのも気になる。


「ユリウスさんが知ってたというのは?」


 俺がそう聞くと、王子は小さく笑った。その意味は俺にはわからなかったが、足音が近づいてくるのがわかった。


「これは本人に聞いたほうが早いですね。遅いですよ、ユリウスさん」


 ドアの開く金具の音と、帯剣してる音。ドアの方を見ると、ユリウスらしき人が立っていた。

 らしき人、というのは、顔も佇まいも確かにユリウスだが、違うのだ。髪も目も。

 金髪に赤色の目。王子や俺と同じ組み合わせ。しかも王子と微かに似ている。

 まさか彼って――――


「そのまさかですよ。ね、ユリウス・セントリア殿下」


 ゆりうす、せんとりあ······。ふぁぅ!? もうワケわかんなくなってきたんだけどぉおお! 急展開迎えるなここで。ただのお見舞い、って心読まれてるから計画済みか。

 えーと、恐らくユリウスが? セントリア王国の王子でぇ? ウリア王子の兄君ってことね。


「やめろ。僕は王子として生きていない」

「えー、ずるいな。僕もそうしたかったです」


 むすっとした表情のユリウスは腕を組み、普段はない威圧感があった。見慣れないな。彼は俺の横に立った。

 なるほど。俺が本物の彼の弟だから、何度か助けてもらったと。しかし親を殺されたんだぞ。それが血の繋がった兄だなんて、この上ない絶望だ。

 俺が本物のウリア・セントリアなのだと信じきれていないが、王子は嘘はついていない。それに、実際彼は最初に会ったときから魔力が減っている。

 これを見せられてしまえば、もう信じないという選択肢は小さくなっていってしまった。

 そういえばユリウスも混血って言ってたよな。


「セントリア王族って、異種族の血が入ってるんですか?」


 思い切ってそう聞いてみた。

 これでYESなら、ユリウスは説明がつく。彼の魔力からは人間と少しの異種族のものを感じる。しかし俺はしっかりハーフ。

 元から王族が一夫一妻だなんて思っていないが、YESだったら俺は王族じゃなくなる。


「太古の昔、初代国王が竜の血を飲んだと伝えられてるね」

「ちょ、ちょっと待ってください」


 俺の質問でいつもの朗らかな態度を見せたユリウスだったが、それは一瞬で終わった。

 水を差された、と表現するには悪意があると言えようか。ファルカスとラーファが困惑しながら話を静止した。

 ユリウスには何もそんな不機嫌にならなくても、とは思うが、それが彼の素なのかな。


「セントリア王国の内情に、ウリア巻き込むということですか」


 ······確かに。確かにな。うん、知っちゃった以上どうすることもできないが、俺は巻き込まれてるな。ついでにファルカスもラーファも巻き込んじゃってる。

 国際問題になりかねない、かも? いやまあ、ならないか。


「はぁ······、ファルカス殿下。何も知らないまま巻き込まれるよりも、知っていて巻き込まれたほうが、マシでしょう?」

「待て。ユリウスさん、俺を巻き込む前提ですか」

「いやだな、人聞きの悪い。何があっても、ウリアは僕が守るよ。だって、たった一人の弟だからねー!」


 うぇ、きもっ。こいつが兄なの本当に引く。ドン引きすぎるよ、これ。

 頭を撫でられそうになったが、剣を抜こうと俺が剣に触れたら、手が退散していった。

 俺さぁ、人によってあからさまに態度変える奴嫌いなんだよね。


「ウリア、本当にユリウスさんに守られてていいの?」


 ラーファのこの反応。ウリア王子も······って、本物じゃないんだっけ。でも生きてる限りは王子だよな。ウリア王子も、吹き出して笑っている。

 ユリウスがまた不機嫌そうにむっとした。思ったよりこいつは、表情に出るタイプなのかもしれん。


「俺自身は俺が守りますので、ユリウスさんはご自身を守ってくださいね」


 さらっと流したところで、そろそろ帰りたくなってきた。

 太陽に黄色さが増し、雲が橙色に光っている。もうそんな時間か。何か、濃い一日だったな。


「帰りたいですか。では、まだまだ話したいこともありますが······今日はここまでということで」


 ほうほう、また来いと。

 しかし便利だな。魔力が繋がっている影響か、心が読まれるのって。口に出せない心の声もしっかり伝わるから欲が伝わるわ。

 またね、とさよならを告げて、お城に直行だ。転移魔法で本当に直行。一瞬でお城に着いた。


「おかえりなさい。ファルカス様、陛下がお呼びだよ」


 ······今日、濃すぎないか。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ