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#79 偽物として作られた僕の話

 ウリア・セントリアは偽物である。

 偽物として、自分は生きてきた。

 中身は、セントリア王国の哀れな魔法士が作った妖精と本物の魂の欠片の、歪なキメラ。

 魂割り。それは禁忌とされる魔法だ。本物が生まれた時、その魔法が使われた。理由は不明、その後本物は失踪。半分の魂と弱りかけの妖精の魂で、自分は成り立っている。

 でも妖精の魂は脆く、自分は成り立てなくなっていく。生きれて二十、やがて自分は気づいた。

 しばらく経って、気づいたことがある。本物のほうの魂が少しずつすり減っていることに。十五歳まで生きれれば、奇跡だ。そう密かに思った。

 ようやく心というものを感じられるようになった頃、本物の居場所に気づいた。魂を通じて、隣国にいることがわかった。

 留学に行きたい、そう言って逃げ出した。自分を利用しようとする大人たちは必死に止めていたが、もしかしたらこれが最初で最後のわがままなのかもしれないと思った。

 自分は運が良かった。クラスが一緒で、しかも身分的に距離の近い隣国の王子の護衛だった。

 一度、自分が彼に触れればそれ以降は魔力が繋がって自然に魂と魔力が彼に返される。握手したとき、それに気づいた。

 自分はラッキーだ。

 本物と自分が間違えられる度に、僕は嬉しくなった。自分を認めてもらえてない感覚が、僕に取ってはすごく、すごく嬉しかった。

 本物は静かな人だった。そして物知りで頭が良かった。無口、しかししっかりと表情には出る。彼はいわゆる、わかりやすい人間だった。

 僕は悲しくなった。なんだ、自分とは似ても似つかない。愛想笑いしかできない自分を責めた。

 本を読むのが好きらしい。それが、自分が見つけた唯一の彼との共通点だった。

 少しずつ、魂が減っていく。もっと生きたかった、とは言わない。元からこういう運命なんだ。

 本物と友だちになったあの日、ユリウスという人と会話をした。

 彼は真実を知る人物だった。本物を何かと気にかけているようで、自分を複雑な感情で見ていた。

 自分が死ねば、それは隠蔽され本物が王国に戻るだろう。何をしてでも。本物が、本物のウリア・セントリアとして王子に戻る。

 だから、ユリウスには一つお願いをした。自分が死んだら、それを広めるように、と。そうすれば、もうウリア・セントリア自体がいなくなる。そうなれば、喜ばしい限りだ。

 『人間』であり、『人形』であり、『ウリア』であり、『妖精』であり、僕である。

 これが最後のいたずら。最後のわがまま。最後のお願い。

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