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あれは、何だったんだろう……
学生研究室までの廊下を、つむぎはぼんやりと歩いていた。
白昼夢だとしたら、いやに現実的だったし……
猫になって、明治三十七年にタイムスリップしたのかな?
……まって。そんなことってある?
つむぎは研究室のドアの前で立ち止まった。左上の表示には、「日本史学生研究室」と書かれていた。
もし、この先が過去に繋がっていたら……
ガラススリットから中を覗き込んだ。
共用のテーブルで、日菜と碧人が楽しそうに何かをしている。
「よし!」
つむぎは取っ手を掴んで右に引いた。
「ただいま」
「あ、おかえり」
「おかえりなさーい」
こちらを向いて手を振る碧人と日菜に、つむぎの肩の力が抜けた。
「センパーイ、ちょっと聞いてくださいよ!」
「うん」
つむぎは日菜の隣に座った。
「オセロ! 碧人先輩に全っ然勝てないんですよ。今日こそ絶対に勝とうと思ったのに!!」
「日菜は弱いからなぁ」
碧人が笑った。
「あれ? 先輩、何だか元気がないですね?」
「うん。ちょっとね」
「論文のことで、また何か言われたんですか?」
日菜と碧人が心配そうにつむぎを見た。
「違うの。さっき目眩がしたから……でも、もう大丈夫」
「無理はしないでくださいよ?」
日菜がつむぎをじっと見た。
「本当にもう大丈夫だから……日菜ちゃん、一緒にオセロしよ?」
つむぎがそう言うと、日菜がホッとしたように笑った。
「よし! つむぎ先輩には負けませんよ」
「あ、じゃあその次俺とね」
碧人が手を挙げた。




