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行李  作者: 長廻三月
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11/21

2-3

「もー。知識が豊富なセンパイ方の前で、知ったような話するの嫌っすよー」

「まだ聞きたい事があるの。お願い」

 唇を尖らせた洸太郎に、つむぎが頼み込んだ。


「もー。じゃ、碧人センパイと日菜センパイは聞くだけっすよ」

 洸太郎は腕組みをした。

「わかったよ」

「……わかった」

 そっぽを向いて、日菜が答えた。

「ぜーったいっすからね!」

「……洸太郎」

「やだセンパイ、見つめないで」

 洸太郎が両手を口に当てた。目をパチパチと瞬かせる。

 つむぎは思わず吹き出した。


「じゃ、続きの前に、飲み物を買いに行こうか」

「サンセー!!」

 碧人の提案に洸太郎が立ち上がった。



 まだ授業中だからか、大学の売店は空いていた。

「センパーイ、約束のカフェオレ、コレがいいっす♡」

 つむぎがペットボトルのお茶を選んでいると、洸太郎が高めのカフェオレを持ってきた。

「うん、わかった」

「げっ! なにその高いやつ!」


 受け取ろうとしたつむぎの横から手が伸びて、日菜が顔を顰めた。

「あんたにはコレで十分よ!」

 近くのケースから取った紙パックのコーヒー牛乳を、洸太郎に渡した。


「えぇー。日菜センパイ、ひどーい!」

「私はさっきので良かったよ?」

 眉を下げたつむぎが、洸太郎と日菜を交互に見た。

「先輩、こいつを甘やかすと、どこまでも調子に乗りますから。甘やかさない方が洸太郎のためですよ」


「お母さん……」

 洸太郎が、両手を口に当てて目を瞬かせた。

「お母さんじゃないっつーの!」


「お? どうした?」

 離れた棚にいた碧人が合流した。カゴには、チョコレートとコンソメ味のポテトチップスが入っている。

「みんな飲み物選んだ? ほら、カゴに入れて。今日は俺が出すからさ」


「お父さん……」

 洸太郎が目を輝かせた。

「うん? 洸太郎は好きなの選んだのか?」

「もちっす!」


 日菜が棚に戻したカフェオレを、洸太郎はこっそりカゴに入れた。

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