第9話 自動ドア
おばあちゃんの家は結構な田舎にある。
おばあちゃんの家のある村に、かつてペンションがあったらしい。
なんでも田舎を売りにしたリゾート開発するとかで、作ったそうだ。
今は、ペンションがあった場所は更地になって、『売物件』の看板がたててあるが、すこし傾いて、草に覆われている。
写真を見せてもらったが、田舎を売りにした割には、設計をした人はどんなセンスをしているんだって、突っ込みを入れたくなるような建物だった。
言っては何だが、そのペンションはこんな田舎に似つかわしくないようなかわいい外見だった。
外観は白雪姫の森の小人の家みたいな感じなんだけど、入口には自動ドアがあって、ちょっと広めの空間(風除室みたいなもの)があって、フロントの前にも自動ドアの二重のドアみたいのになっていた。
部屋は、洋風のかわいらしい、女の子ウケしそうなひらひら感がすごい!
どこが田舎を売りにしたんだと、再び突っ込みをいれてしまった。
しかし、食堂にはいろりがあって、ゆっくりくつろげるようになってる。ここは田舎の感じがしていた。
そして料理は田舎風の、山菜料理や、イワナなどの川魚料理が中心だった。フレンチやイタリアンのメニューも書いてあった。炉端でそんな、ナイフとフォークを使う料理を出すのもすごいと思った。
どこにターゲットを置いたのかさっぱりわからない。
当時はそれでもよかったのか、そこそこ人は来ていたみたいだ。
おばあちゃんは当時を思い出しながら、ゆっくりと話してくれた。
そのペンションにおじいちゃんととまったときなんだけどね、夜にフロントの所にいたんだけど、誰もいないのに、外の自動ドアがスーッと開いたかと思ったら、一拍ほどの間があって内側の自動ドアがスーッと開いたんだよ。その後にフロントの所で何かがうろうろする気配があったかと思ったら、今度は内側のドアがスーッと開いて、続いて外側のドアもスーッと開くということがあったんだよ。
そんなことが何度もあったらしくて、原因がわからないまま、外側の自動ドアは開きっぱなしにするようになったんだよ。
それでも、同じように誰もいないのに、内側の自動ドアがスーッと開いて、フロントの観葉植物の葉っぱが揺れたかと思ったら、また、自動ドアが開くなんてことが何回もあったんだよ。
そして、いつの間にか自動ドアなのに手動で開閉するようになってしまったんだよ。
10数年は営業していたけど、流行らなくなったんだろうね、営業をやめてしまったんだよ。
「出来た時はそのペンションが珍しくて、いろんなものとか見に来ていたんだよ~。」




