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53.その在処

「しかし心、一体どうしたらまたブラモンに会えるんだ? どうして茜は簡単に『招待』されたんだ?」

「わからない……スイミーと金色ブラモンの話によると、金色ブラモンの能力を使って片道切符で地球にきたと言ってたから金色ブラモンには無理だろうし……」


 それを聞いたケイトがショルダーバッグの中から漆黒の書を手に取って二人に見せた。


「この漆黒の書は元々茜が富士見乃屋書店で買って自分で持っていたもの……。でも自分のではなかったと言って私にくれたわ。そのお返しに私は書店にあったもう一冊を買って茜にプレゼントした……。漆黒の書は、江茂志市内に全部で八冊あると咲さんはいっていた……咲さんも持っているから残りあと五冊。その残りを探していけば、ブラモンと会うための手掛かりにもなるはずだわ!」

「うん! あ! でもレナが茜から貰った本もあるじゃん!」

「茜がくれた本は、『純白の書』だよ。スイミーが漆黒の書とは違うと言っていたから、八冊の中にこれは含まれないだろ……。スイミーに携帯するように言われたから今も持ってるけど、きっとこれはゲラがこっちに来る前から持ってたものなんだよ」

「そっか……あ! それ、内容読んでみた?」

「あぁ……中身? 字が書いてあるように見えるのに読めなかった……」


 心はふと思ったことをレナに問うたが、話が逸れたので自分で軌道修正する。


「ごめん話戻す。それで茜は、漆黒の書の在処にたどり着いたから、アグダラへ誘われたってこと?」

「たどり着いたかどうかは不明だけれど、少なくともビデオに映っていたブラモンの茜に対する態度を見る限り、茜は『歓迎』されているように見えたわ。そして茜は漆黒の書のことを、最初から凄く気になると言っていて、その後、ずっと研究してるとも言ってたわ。私たち、探さなきゃという意識はあったかも知れないけど、茜ほど『本腰』を入れてはいなかったと思うの。でも、茜は違う……」


 ケイトが答えた。


「確かにそうかも……でも、どこを探せばいいっていうんだ……」

「これまで知り得た情報を、順番に整理してみましょう」


 レナがそう言うと、ケイトが答えた。


「う~ん……BRFはなんて言ってたっけ? レナは憶えてる?」

「えっと……14年前の宇宙線のこと? ……しっかりは……」

「私、BRFに行った時のメモ、あるわ! スマホにメモの写真を撮っておいたの!」

「おぉ、ケイト!! 流石!!」

「確かに親父、メモしたならそれを持って帰って良いと言っていたな……」

「えーと、まずこれは私も覚えてることだけど……宇宙線が地球に触れたのは北半球。そして事件が起こった世界の各地域に、BRFが建てられたと言っていた……」



「そして、この江茂志市には8冊あると……」


 この段階で心は少しだけ、頭を抱え始めていたが、それでも必死に考える。レナも思考を巡らせる。


「BRFがそれだけ言ったのは、実はBRFは既に江茂志市のその場所を殆ど把握しているのかも……」


「それって、あとは自分たちでたどり着けってことか?」

「親父なら、言うかもなぁ……」

「もう茜に頼ってみる? 茜がその在処にたどり着いたなら、絶対メモとかあるはず! 彼女は、考察ノートを書くのが大好きなの。自分が調べたことについて、メモってないはずがないわ」

「考察ノート!」


 その言葉をきいて、心は少し気持ちが高まった。それは茜の父親が昔のやさしかった父親に戻るためのトリガーとなったアイテムでもあった。その時心も見たことがあるノートで、綺麗に整理された情報の数々で、少し見ただけで楽しくなるような内容が散りばめられているノートだ。


「ってことは?」

「みんなで行こう! 茜の家へ!」




――続く

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