#2-7 流サイド
その数日後、『料理』の良とノギは何を作るか決めたらしく、早速学校の調理室を借りて練習に励んでいた。
「流達は、味見担当でお願い!」
良に強引に連れてこられた、僕と暁、そして夏居は、ノギの手際の良さに驚く。
「えっと、今回作るのは豚カツだっけ…?衣付けるの上手くない?」
さすが定食屋の息子。豚肉はいつの間にかパパっと処理され、後は揚げるだけとなっていた。
「にしても、なんで豚カツにしたの?」
ノギが衣を付けているのに対して、不要なお皿を洗っている良にそう尋ねる。
「私が豚カツしか作れないからよ。」
「しか?」
「そう。」
生肉を置いた皿などを丁寧に洗っている良。彼女もノギ程では無いが、中々手際が良いみたいだ。やがて、仕事に余裕が出て来たからか、ポツリと良は理由を口にする。
「私、豚カツ大好きなの。だから、頑張って自分で作ろうって昔練習してたわけ。まあ、衣はノギに任せてるけど…」
「いやいや、揚げるのは良でしょ?それに、衣付け以外は、殆どやってたじゃん!」
一通り作業を終えたらしく、しばしの休憩に入ったノギからの褒め言葉を受け、良はフイ、と首を横にする。
「そんなこと言ったって…ノギの助けなしじゃここまで出来ないし…」
「まあまあ、」
いつの間にか良の隣にいた夏居が、彼女の頬をつつく。
「二人が協力するからこそ、美味しい豚カツが出来るんじゃないかな?」
そう言う夏居の笑顔が効いたのか、良は少し頬を赤らめた。
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その後、二人の凄技によって見事に完成した豚カツは、僕達が美味しく頂いた。
「美味しいな、コレ。さすがノギと藍沢さん。」
サクサクと食べる暁を見て、ノギは微笑む。
「いや~。そう言われると、やりがいがあるって物だね。」
「コレ、絶対優勝できるでしょ。本当に美味い。」
暁のベタ褒めを隣で見ながら、僕と夏居も豚カツを食べる。
「うん、ソースとあってて美味しい。」
「え、流ってソース派なの?」
「そうだけど…」
夏居の質問に、僕は豚カツを喉に通してからそう呟く。
「もしかして、夏居は違うの?」
「_醤油かなぁ。なんかソースしょっぱいし。」
「いや、醤油も充分しょっぱいでしょ。」
こうして、皆で談笑しながら、豚カツを食べ終える。そして、手応えを感じたノギと良は、来る対決に向けての準備を着々と進めていくのだった。




