#2-6 流サイド
「じゃあ、次はEスポーツだね。」
僕は、その下の欄にある、『Eスポーツ』の欄をペン先でつつく。
「誰か、やってくれそうな人_いや、この人なら良いだろうなって思う人_」
僕がそう言うと、とある3人が息ぴったりに、ある人物を指差した。
「暁が良いと思いまーす」
良、夏居、ノギの3人の推薦に、暁は、ギョッとした目をする。
「いや、何で!?俺、あんまりやったこと無いんだけど!」
暁が慌てて反論する様子を見て、僕も少し楽しくなって、「暁、やりなよ」とヤジを飛ばす。そんな4対1の状況下、
「麗美(夏居の名字)さんはともかく…何でお前まで乗り気なんだ、流…!!」
彼は、許さぬ…と言った表情で僕を睨む。だが、残念ながら僕は知っているのだ。暁は、頼まれたことは必ずやり遂げる人だって事を。
「はぁ…分かったよ。」
予想通りに、暁はそう言いながら、ゆっくりと項垂れた。
「よし、じゃあ『Eスポーツ』は暁で決定!…と。後残っているのは夏居と僕…残っている種目は『演劇』…」
…やってしまった。そう思った。一番やりたくない種目しか残っていない状況で、僕はまだ種目が決まっていない。つまり、この後の選択によっては『演劇』という意味の分からない物をやる羽目になる。
「夏居…あと残ってるの僕達だけどさ。君は『演劇』やるかい?もう枠が残っているのは、『Eスポーツ』一枠と、『演劇』二枠だけなんだ。」
『料理』は既にノギと良が埋まっている。そして、種目は一種目に1~2人まで参加できない。『Eスポーツ』はあと一人入れるがハッキリ言うと僕は機械系は苦手だ。暁のように詳しく無い。つまり、僕は『演劇』に入るべきなのである。_認めたく無いが。
「うーん、そうだねー」
夏居は、しばらく考えた素振りを見せた後、
「『演劇』にしようかな!『Eスポーツ』はよく分からないし!」
と答えた。
「流は…どうするの?」
逆に尋ねられた僕は、周りの皆の目を見つめる。皆の目線は、「『演劇』しか選べないね笑」という皮肉な物だった。特に、ざまぁ見ろという視線を送ってきた暁に対しては若干殺意を抱く。
「_『演劇』やろうかな、一人じゃないし…」
泣く泣く、暁のさっき味わった感情を僕も味わうのだった。
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『料理』 紺田ノギ・藍沢良
『Eスポーツ』 遠山暁
『演劇』 麗美夏居・成川流
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書き終わった表を見て、僕は溜息を吐く。まあ、元々やりたいの無かったし、しょうが無い物なのかな。
「頑張ろうね、流。」
そう声を掛けてくれた夏居が、天使に見えたのはここだけの話だ。
「じゃあ、早速台本とか作らなきゃ!二人だけの劇ってどういうのが出来るのかなぁ」
張り切る夏居と、乗り気じゃ無い僕。
こうして、『クラス内班対抗合戦』の準備が始まったのだった。




