見つめる少年
僕は色とりどりの蝶のような集団を眺めていた。
「…いいな〜。」
昔は隣に両親と手をつないで見ていたけれど、今はただ、寒い。
「母様!」
「ここに隠れてなさい。私は大丈夫。」
そう言って母様は僕を床下に隠した。
「魔女だ!捕まえろ!」
家の中に入ってくる男たちに連れて行かれる母様を見つめることしかできなかった。男の人たちが何かを探して家の中を荒らすが、見つからず、去っていく。床下から出て誰もいなくなった家を飛び出た。
「母様!母様!」
街中を探しても母様の姿はなく、薄暗い町だけがあった。仕方なく家に泣きながら帰り、僕を呼んでいる父様の声に向かって走る。
「父様!父様!母様が!」
父様は悲しそうな顔をして、僕を抱きしめた。
町を探し回ってやっと母様を見つけたが、行こうとするのを父様に止められた。
「ここにこの魔女の罪状を述べる。この者は神聖なる槍を呪った。よって火刑に処す。」
母様は柱に括り付けられて下に藁を撒かれていた。
「や、うぐ。」
叫ぼうとしたところを父様によって口を塞がれた。
「だめだ。行ってはいけない。」
炎に染められていく母様を見ていた父様の金色の目は濁って見えた。
母様が死んでしばらくして、父様は神々がいる天界に戻らなくてはならなくなった。
「ごめん。僕はここにいられなくなってしまった。」
「そんな、父様までどこかへ行ってしまわれるのですか。」
「大丈夫。見守っているから。」
その言葉で今までやってこれた。
広場の喧騒が僕の耳に届く。
「今度こそは誰か、槍を抜けるだろうか?」
「楽しみね~。」
何も本当のことを知らないくせに。
「俺が!」
「私が!」
「あの方が!」
「「あの槍を抜く英雄だ!」」
あの槍を見ながらそう言っている人を毎年、聞いてる。
「…それは僕のなんだけどな。」




