ダンス
私とレイハさんは広場の中央でシャイン教国のステップで踊りを披露しています。
「出身国の踊りでもいいのは驚きました。」
他の人々はそれぞれ音楽に合わせてバラバラな踊りですが、出身国の踊りを踊っているなら納得です。まぁ、一番の謎はレイハさんが王族でないのに教国のステップを完全に踊っていることなんですけどね。
「まぁ、ハデラン商国は貿易の国でもあるし、移民も多いからな。この町の踊りは難しい動きがない分、改良しやすいんだろう。」
「なるほど。」
よく見てみれば、踊りには一部同じステップがあったりしていました。
「それにしてもナチュネは踊らなくてよかったのですかね?」
踊りながら観客に混じっているナチュネを見ました。
「『お邪魔虫は観客になってます~。』ってお前はお節介焼きのおばさんかっての。」
「ナチュネもませてきましたね~。」
ある意味、そういう軽口を言えることも成長なのかもしれませんね。
「踊りも終盤だな。せーの。」
レイハさんが私を軽くお姫様抱っこをしました。教国では最後は男性の見せ場となっているところでした。
音楽が終わり、レイハさんが私をおろして膝をつき、髪飾りを私の手に握らせました。
「で、これが俺からの贈り物です。お姫様。」
「ふふ、ありがとうございます。」
騎士のような姿に笑いながらその青い薔薇の髪飾りをハーフアップにして髪に生けました。
「どうですか?似合ってますか?」
「あぁ、綺麗だ。」
まるでうっとりと見つめられて、体がお湯に浸かったように熱くなりました。
「と、ところで、シリウス君は何をヒメカさんに贈ったんでしょうか?」
「あ、あそこにいるぞ。」
恥ずかしくて照れくさくて踊っていたシリウス君とヒメカさんについて話題を変えました。
レイハさんの指差す方向へ視線を向けると、今、シリウス君がヒメカさんに髪飾りを贈っているところでした。
「今、贈り物を渡したところですね。」
微笑ましく見ていたらそのヒメカさんの手の内にある物にギョッとした顔をしました。
「…知ってて贈ったのでしょうか?」
ヒメカさんの手にあった物は櫛でした。しかも、ナンテンとキキョウが描かれた。ナンテンの意味は『私の愛は増すばかり』、キキョウの花言葉は『永遠の愛』であり、ある国では櫛はプロポーズの意味があると聞いたことがあります。
「あそこにニヤニヤしてるナチュネがいるからあいつが犯人だ。」
「一体、どこでそんなことを覚えてきてるのでしょうか?」
「ほんと、それな。」
成長なのかもしれませんが、ちょっとあの子の将来が心配です。




