神槍祭り
俺たちが着いた町はその小ささに関わらず、とても賑わっていた。
「いらっしゃい、いらっしゃい!お菓子はどうだい!?」
「そこのお兄さん!このお花、オススメだよ!」
「お嬢さん!この髪飾り、お得だよ!」
どこの店も客呼び止めて、自分の店の商品をアピールしている。虫をその匂いで誘う食虫植物のようにも見える。
「…なんか、賑わってるな?」
「お祭りか、なにかでしょうか。」
俺とイーナが首を傾けていると、好奇心旺盛な子供であるナチュネとシリウスが目を輝かかせた。
「楽しそう!」
「いい匂い。」
「待って!まずは宿を取ってからですよ。」
「「はーい。」」
フラフラと賑わいに混じりそうになるナチュネとシリウスの首根っこを掴んで止めたのはヒメカだった。その言葉とは裏腹にヒメカも何気にソワソワとしていたが。
人をかき分けてやっとのこと少し大きめの宿に着く。宿の戸を開け、カウンターにいる店員に声をかけた。
「すみません。えーと、3人部屋を一つと、二人部屋を一つ、お願いします。」
「飯は?」
「なしでいいです。」
「あいよ。部屋と部屋の距離が遠いがいいかい?」
「かまいません。ところでこの町、とても賑わってますね。お祭りか、何かですか?」
「あら、観光客じゃないのかい?今週は神槍祭りっていう祭りを開催してるんだい。」
店員は首を傾げた後に、あぁと納得した顔をしてそう言った。
「あぁ、噂で聞いたことがあります。神界に帰ってしまった光の神が残した槍を抜くというお祭りですね。」
こんな異国ではマイナーな神事でもイーナは知っていた。やっぱり、教国の聖女なんだなと思った。
「そうだよ。あんたたちも楽しんでいってくれ。」
「お言葉に甘えます。」
みんなで荷物を部屋に置き、一部の荷物を持って宿の外に出る。
「俺たちは魔物を売ってくる。」
シリウスを連れて、人混みの中へ行こうとするのをヒメカが引き止めた。
「集合場所を決めた方がいいと思います。」
確かにこんな人混みじゃ、すぐに見つけられない。
「そうだな。いいところでもあったかな?」
ナチュネが元気良く手を上げてアピールした。
「さっき、広場みたいなところを見たよ!」
「じゃあ、そこかな。昼前くらいで集合でいいか?」
「いいですよ。」
イーナがナチュネの元気さに微笑みつつ、肯いた。
「わかった。じゃあ、シリウス、行くか。」
「はい、師匠。」




