巫女からの依頼
巫女様が人数分の緑茶を出してくれました。
「粗茶ですが。」
「どうも。」
「ありがとうございます。」
「わたくしはヒメカ・カミヤマと申します。この村で巫女を務めさしていただいております。」
ヒメカさんは三つ指揃えて綺麗なお辞儀をしました。
「これはご丁寧に。私はシャイン教国で聖女の位を承っています。イーナ・シャインといいます。」
正座には慣れていないので足を崩して行儀が悪いですが座ったままでお辞儀をしました。
「俺はレイハ。この聖女さんの護衛をしています。この二人はお供です。」
レイハさんは正座でお辞儀をしました。
「ナチュネ・フェリアです。」
「シリウス・ドグラです。」
順にペコッとお辞儀をしました。
「旅のお方に無礼を承知でお願いがあります。」
意思の強いはっきりとした瞳で私たちに向き合っています。この目は覚悟のある目です。承諾しなかったら一人でも行く気でしょう。
「わたくしたちの村は只今、危機的状況下にあります。」
門番の対応、村人たちの様子、村にある高い塀からなんとなくはわかっていました。
「山賊が山脈の麓を拠点にしてあまり人が少ない村に襲ってきたのです。」
ヒメカさんは頭を深く下げました。
「お願いします。山賊たちを追い払ってください。」
私はレイハさんの裾を引っ張りました。
「レイハさん。」
「イーナが決めてくれ、俺はお前の護衛だ。お前の判断に従う。」
私の意思は決まっています。
「引き受けたいです。ナチュネ、シリウス、いいですか?」
「いいよ!」
「俺も別にいいです。」
「決まりだな。」
「ありがとうございます!」
「それに…」
レイハさんが何か気づいているようです。
「巫女さんは俺が指名手配犯であることには気づいているんだろう?しかも、他の村人にも言わずに。」
「…はい。」
「なぜですか?危険人物だと知っていれば、村から遠ざけるはずでは?」
確かに犯罪者と判明している人を村の中へは招きませんね。
「あなたが犯罪を犯していないのを知っているからです。この村の地下には各国から集めた本や資料があります。その中にはホリーフィアの女王が握り潰したと思われる資料もありました。」
「ホリーフィアの女王の情報は色々と改竄してるからな。」
そういえば、レイハさんが『紅蓮の悪魔』として追われている経緯は知りませんでしたね。
「それを知っているレイハさんは前ホリーフィア王国の暗部に所属する人だったんですか?」
「…まぁ、そんなところだ。」
うまく誤魔化された気がします。何を隠したんでしょうか?
「あの、悪い人たちってどんな人たち、なんですか?」
「えーっと、精霊や竜などの集まりではなくて、今、世界中で護ってもらう人がいなくて、護ってもらえてないから、悪い人たちがわたくしたちの大事なものを奪ってるってことなんだけど、わかった?」
「うん!わかった!」
ナチュネみたいな幼い子でもわかりやすく説明してくれました。
「よかった。同族がいなくて。」
「竜たちは山脈の向こう側にいて滅多にこちら側にくることはないですね。」
「ん。ありがと。」
ホっとしたように言うシリウス君にヒメカさんが追加の説明をしました。ヒメカさんに他にもいろいろと情報交換した後、私たちはヒメカさんに誰も使っていない家に案内してもらいました。
「こちらでお休み下さい。」
「感謝する。」
「ありがとうございます。」
「では明日、村の門でお待ちしています。」
「わかった。」




