竜牙国へ
俺たちは竜形態になったシリウスに乗って最短でアインウォルナ帝国の貿易が盛んな帝都に着いた。
「船が」
「いっぱいある。」
シリウスとナチュネが唖然として言った。
アインウォルナ帝国の帝都はそのほとんどが海に面している。アインウォルナ帝国だけが、各国と貿易をしていてシャイン教国に近い。
「!おい、あ、えーっと、そこの親子連れさん!」
俺にとっては聞き覚えのある声に振り向く。やっぱり、見知った顔だった。
「その家族の内訳は?」
「お父さん、年下の奥さん、子供二人。」
「よーし、その喧嘩、買ってやる。」
「待て待て待て待て、冗談だ!冗談!だからその刀を仕舞え!」
鞘付きの刀を召喚し、鯉口を切る構えをとる。
というか、その内訳、結構無理あるぞ。イーナとシリウスが。大人びていてもイーナは16歳、多く見積もってそれでも未成年だ。シリウスは14歳、栄養失調で痩せて幼く見えても、ナチュネ(9歳)よりは年上に見える。イーナは幼くして子供を産んだことになるわ。そのことも、後で訊くと「奥さんは後妻。子供は前妻との子。」という下手すると、ドロドロな物語ができそうな設定を言われたが蛇足である。
「で、レヴォ、船はどうだ?シャイン教国の船に乗れそうか?」
「ごめん、レイハ。詳しくは言えないが、シャイン教国への船は出せなくて、行けるとしたらハデラン商国行きのしか、シャイン教国行きの船は無いんだ。」
それを訊くと、そいつ、レヴォは苦虫を潰した顔をして後頭部を掻いた。
「そ、そんな〜。」
「レヴォ、他の船は?」
「竜牙国だな。港は山脈の手前付近だ。」
竜牙国は元いたホリーフィア王国から見て西にある国で、大きな山脈が竜牙国の西側に縦に横断している。
「逆戻りだな。イーナ、どうする?」
「シャイン教国への航路はどれくらいかかりそうですか?」
「わからない、相手方の圧力がね。強いのさ。」
相手方というのはおそらくホリーフィア王国だろう。もう手を回しているのか。
「では、レイハさん。ここで無期限に待つより回り道しましょう。」
「わかった。レヴォ、竜牙国行きの船はどれくらいで出発だ?」
レヴォは手元の紙を捲ってから飾られてある時計に目を向けた。
「あと1、2時間ってところだ。」
「あぁ、わかった。」
「達者でな。」




