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冥王の刀  作者: 涼
第三節:星喰らう竜
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シリウス・ドグラ

 俺たちが鞭打たれながら作った広いテントの中は人で埋め尽くされていた。

「はいはい、こんにちわ!我らが幻想サーカス団のショーにご来場、ありがとうございます!」

 上等な服を着て壇上に上がっているのは俺たちを買った幻想サーカス団の団長だった。幻想サーカス団は竜や精霊が大道芸をする。そのため、司会や調教師は数人の聖人がやっていた。

「まず初めは美しい精霊の舞をご覧ください!」

 精霊たちが羽ばたかせて空を舞う。鱗粉を散らし、鞭打たれた衣装に隠れた体を無理矢理動かしてまで舞を披露しなければ、精霊にとっての栄養素の一つである自然を吸収させないため、鉄の牢屋に閉じ込められる。

 次々と、空中ブランコや魔法を使った技が披露されていく。次は俺の番だ。

「さてさて、最後に披露させていただくのは、我がサーカス団の目玉!竜の魔法でございます!」

 ボーっとしてたら鎖を引っ張られ、陽の光が差し込むステージの上に立たされる。

 陽の光にさらされ、昔、母さんに言われたころを思い出した。

『私たち、竜は大きく、強い翼を持っているの。竜は自由に空を大地を駆けることができる。どこまでも、私たちを縛るものは何もないのよ。』

「何をしている!さっさと、魔法を使え!このノロマが!」

 俺が立ち止まっていることに腹を立てたサーカス団員の一人が鞭を取り出して振り上げた。

「勇気の両腕」

 召喚したアームで鞭を受け止める。

「何をする!今まで育てた恩を忘れたか!」

「恩?殴られた記憶しかない。」

 育てたっていうよりも生かされたに近いと思う。俺を育てたのは父さんと母さんだ。

「動け!動けよ!」

 俺の手枷、足枷の鎖をサーカス団員が引っ張る。竜はもとより身体能力が高く、頑丈で聖人でさえ単純な力比べではびくともしない。

 俺は竜に変化して手枷、足枷を破壊した。

「オォォォォォォォォ!!!」

「うっ!」

 一吠えして団員や観客を怯ませた隙にば真後ろの板を砕き、バックヤードにいた同胞の檻を裂いた。

「聞け!同じ空を飛ぶ同胞たち!お前たちは自由だ!その羽でどこにでも行ける!さあ、羽を広げ、飛んでいけ!」

 俺の声で同胞たちが空に旅立って行く。俺も翼を広げて精霊たちが行った方向とは別の方角へ飛んだ。

 サーカス団員たちは元が高かった俺を追うだろう。この巨体は目立つし、人に聞けばすぐに俺が行った方向へ追いかけて来る。そうすれば、精霊たちへの時間稼ぎにもなる。

『どこにでも行けるけど、どこに行こうかな?』

 母さんの故郷の西にある竜牙国の先の山脈に行くのもいいな。竜や精霊が差別されてないシャイン教国ってところもいいな。

『背中を押してくれたあの人にも会いたいな。』

 そう呟くと、下から声がした。見ると、あの人と女の人と女の子がいた。

「おーい!おーい!」

 その人たちの上あたりで降下して人の姿になる。

「何も囚われずに飛ぶ感想は?」

「楽しかった。」

「そうか。」

 心からの感想にあの人は頷いた。

「あ、あの、俺も着いて来て、いいですか?」

 どこに行くのかはわからないがこの方向だと港のある帝都の方角だ。

「あぁ、ようこそ。俺はレイハだ。」

「イーナ・シャインです。」

「わたしはナチュネ・フェリアだよ!」

 歓迎と共に名前を教えられる。

「お、俺は、シリウス・ドグラ、です。」

 父さんと母さんがつけてくれた大事な星座の名前だ。


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