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冥王の刀  作者: 涼
第三節:星喰らう竜
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星喰らう竜について

 先に着いた俺はイーナとナチュネを迎えたが、昼食の空気感ではなく御通夜の空気感だった。

「どうかしたのか?」

「いえ、別」

「実はね、お外でわたしの同族が鎖で繋がってたの。」

 に。と続けて言おうとしたイーナを遮ってナチュネがあったことを話した。

「あぁ、あの趣味の悪いサーカスのパレードか。」

「レイハさんも見たんですか?」

「歩いてたのは精霊じゃなくて竜だったがな。」

「両方共に希少種族ですね。」

「はぁぁぁぁ。」

 ため息を吐かずにはいられなかった。竜や精霊を奴隸にして労働力にする話はよくあることだが、奴隸にされて一番最悪な行き先は見世物にされることだ。労働力を求めるために希少種族の奴隸を買う聖人はコレクションのように扱うが、見世物にされた場合、最も聖人至上主義の貴族どもの目に晒され、酷い場合は死ぬ危険が高い。

「しかも、俺が見た竜はちょっと訳ありすぎる。」

「どういうことですか?」

「『星喰らう竜』だったんだ。」

 その言葉にイーナは目を見開いた。

「まぁ。」

「はい!『星喰らう竜』ってなんですか?」

「じゃあ、ナチュネ、復習だ。竜の使う属性は?」

「えーと、火と氷と雷と草、です!」

「正解だ。でも例外っていうのがあってだな。無属性を持って産まれてくるのがいるんだ。魔法は星を模していてそこから『星喰らう竜』っていう異名がついたんだ。」

「へぇ~。」

 種族の例外はナチュネと同類なんだがな。

「一度、サーカス団の中に忍び込んでみるか。」


 夜になり、サーカス団が泊まっている宿を覗き見る。

「うっ!」

「はい!賭けは俺の勝ち!」

「くっそ!負けた!よくも避けやがってこのトカゲもどきが!」

「ぐっ!」

 黒髪に瞳孔が縦に細長い金の瞳を持つおそらくあの竜の少年にナイフが投げられ、杭に繋がれた右足をかすった。男たちは悪趣味な賭け事をしていたようで、八つ当たりに少年を蹴った男もいた。思わず、体が動きそうになるが、潜入がバレると一番マズいのはあの竜の少年だ。俺はすぐに逃げられるが、あの竜の少年は逃げ出そうとする意思がない。そうなると、鬱憤を晴らすのにあの男たちは竜の少年に暴力を振るう。今は耐えるしかない。

「さっさとこれ食ってあっちいけ!」

「はい。」

 杭の鎖を外し、少年に硬そうなパンを投げた。少年は何事もなかったかのように、それが日常であるかのようにパンを持って男たちのところから去った。

「いやー、今日も儲かった!」

「だな!あの竜、高かったが、結構、いい金になったよな。」

「竜は頑丈だからいい見世物になったしな!いや〜、あれの母親竜も殺さずに見世物にすればよかったって俺は思うんだよな。」

 あぁ、あの子の目が暗かった理由がわかった。絶望だ。


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