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冥王の刀  作者: 涼
第三節:星喰らう竜
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サーカス団

 薬草や毒草を薬屋に、狩った魔物の肉を肉屋に、毛皮を服屋に卸して、質がいいとして金貨12枚を交換した。根切り交渉しなくて済んだな。

 カフェに入り外にある日陰になっている席でお茶を飲む。

「ワン!」

 いつの間にか、赤い首輪をした黒い犬、ベス・ケルロがいた。ベス・ケルロの背負っている鞄を開け、送った手紙がないことと違う手紙があることを確認した。

「あいつの手紙だな。ありがとな、ベス・ケルロ。」

 ベス・ケルロの頭を撫で、手紙を開けて内容を読む。

『拝啓、この世界の叛逆者へ

 久しぶりですね。やっと動いたのですか?

 船は今の所、欠航も運休もしてませんよ。シャイン教国行きの船はこちらで手配しました。いつでも大丈夫そうです。』

 手紙の相手はアインウォルナ帝国の港にいる知り合いからだった。港には今、シャイン教国行きの船とホーリーフィア王国から西にある竜牙国行きの船が出ているらしい。そして、そいつ曰く貿易は順調だがまだ人手が足りないらしい。

「人手か・・・。」

 道を歩く人々を見て、一見賑やかに見えるが、マントを被っている人がほとんどで被っていない人の髪は色鮮な色をしていた。

 聖人優先といっても聖人の数自体がそんなに多くない。世界人口を%で表すと、聖人20%、光人55%、精霊10%、竜10%、その他、混血などが5%くらいになる。聖人は貴族であるのがほとんどで光人の貴族が潰されたことがあったが、平民のほとんどは光人なので王侯貴族と平民の溝が深まっただけだったが、平民の間で軽蔑されているのが精霊や竜、混血などの希少な種族だ。まぁ、それは光人の中の一部の過激派だが。マントを被っている者でもそういうのが紛れているのかもしれない。

「あ!パレードだ!」

「この町にもサーカス団が来たんだ!」

「早く!早くしないと見れないよ!」

 俄に目の前の道が騒がしくなり、馬車が通る道に馬車とは別のモノが通ってきた。

「おっきい!」

「竜だ!」

「鱗がキレイ!」

 竜だった。身体強化を得意とし、鱗に覆われた竜になれる希少種族だ。鱗は漆黒で瞳孔が縦に細長い瞳は金色、体長が一軒家くらいある。

「・・・子供じゃないか。」

 思わず、ボソッと呟いた。大人の竜は個体差があるが角が1メートルくらいの長さだが、今、道を通っている竜はその3分の1くらいで年齢は14、15くらいになる。

 しかし、一目で子供だとわかったのはその竜の子供の目だった。まるで、助けを求めているけれども自分にはもう何もないと絶望している見覚えのある目だった。


「イーナお姉ちゃん、かわいいワンピース、ありがとう!」

「どういたしまして。そのワンピース、よく似合ってますよ。」

 フードの下に買った白のホルターネックのワンピースをすぐに着たナチュネと共に服屋を出る。ナチュネの着ていた服はサイズがあっていなくてブカブカだったのでサイズがあった服を着てほしかった。

「お母様が小さい子をみると私に子供に戻ってくれない?って言っていた理由がわかりますね~。」

「うみゅ?」

 母親というのは娘にかわいい服を着せたがるが、いつまでも娘も幼くない。成長してフリフリのスカートが恥ずかしくなったり、周りの人たちが大人っぽくなっているのに自分だけ幼い格好で嫌になったりするけれど、母親は娘にかわいい服を着てほしい思いもあって・・・。

 そういえば、彼氏はまだかってことも言われたけれど、お母様、孫を強請るのは早いです。でも、子供ができたなら娘のファッションショーを見ながら旦那様と笑い合うのでしょうか。旦那様は紅い瞳を細めて笑って・・・。

 って違う違う違う!レイハさんで何を妄想してるんですか!?私!?

「・・・お姉ちゃん、何か来た。」

 ナチュネの少し怯えた声に現実に戻ってナチュネが指差した方向に目を向けた。

「わた、んぐ。」

「それは今言ってしまっては駄目よ。ナチュネ。」

 ナチュネの指差した先には精霊たちが鎖につながれながら踊っていた。


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