表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
航図無限 ~最弱の水夫、ただ《道具超強化》だけで七つの海を制した男~  作者: 伝説の男前
第七部:最終強化編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
82/87

第74話 海図管理者、最後の言葉

もう一人の管理者の力が収束した後、静まり返った海域に、もうひとつの、これまでとは異なる、穏やかな光が、静かに姿を現した。


『……終わりましたね』


その声は、蓮たちが、かつて大渦潮の中心で出会った、海図管理者のものだった。


「あなたは……」


蓮が驚いて振り返ると、海図管理者は、静かに、しかし確かな穏やかさを込めて続けた。


『あなたが、これまで積み重ねてきたもの――それを、最後まで、見届けさせていただきました』


「見て、いたんですか」


『はい。あなたが選んだ道が、正しかったかどうか――それを、確かめる責任が、私にはありましたから』


海図管理者は、静かに、これまでの経緯を語り始めた。


『もう一人の管理者――彼もまた、かつては、私と同じように、この世界の均衡を守るために、力を託された存在でした』


「彼も、管理者、だったんですか」


『はい。しかし、彼は、長い年月の中で、均衡という概念そのものに、絶望してしまったのです』


海図管理者は、静かに、しかし深い哀愁を込めて続けた。


『均衡を保とうとすればするほど、そこには、常に、犠牲や痛みが伴う。彼は、その痛みに耐えきれず、明確な秩序――絶対的な階層構造こそが、この世界を救う唯一の道だと、信じ込んでしまったのです』


蓮は、静かに、その言葉を受け止めた。


「彼の痛みも、わからなくはない気がします」


蓮が、静かに呟くと、海図管理者は、少し驚いたように、蓮を見つめた。


『あなたは、彼を、恨んではいないのですか』


「恨みは、あります」


蓮は、正直に答えた。


「ゼロ号を失ったことも、多くの人々が傷ついたことも。でも、彼が抱えていた絶望も、少しだけ、理解できる気がするんです。俺自身も、ずっと、自分の力に自信を持てずにいましたから」


海図管理者は、静かに、しかし深い感慨を込めて頷いた。


『あなたのその在り方こそが、この世界に、本当に必要とされているものなのかもしれません』


海図管理者は、静かに続けた。


『均衡とは、決して、完璧な調和ではありません。痛みも、対立も、含みながら、それでも、共に在ろうとする意志――それこそが、真の均衡なのだと、私は、今、改めて、理解しました』


「これから、あなたは、どうするんですか」


蓮の問いに、海図管理者は、静かに、しかし穏やかに答えた。


『私の役目は、ここで、一区切りを迎えることになるでしょう。この世界の均衡を守る力は、もう、あなたたち自身の中に、確かに宿っています』


「俺たちだけで、大丈夫でしょうか」


蓮が、少し不安げに尋ねると、海図管理者は、静かに、しかし確かな信頼を込めて答えた。


『大丈夫です。あなたが積み重ねてきた仲間たちとの絆、そして、この世界の均衡を守ろうとする、多くの人々の意志――それこそが、これからの世界を、支え続けることでしょう』


海図管理者は、静かに、最後の言葉を紡いだ。


『天草蓮。あなたに、この世界の未来を、託します』


その言葉と共に、海図管理者の姿は、静かに、しかし確かに、淡い光へと溶け込んでいった。


蓮は、静かに、その光を見送りながら、これまでの長い旅路を、静かに振り返っていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ