第69話 仲間たちの終着点
決戦の朝が訪れる前、蓮は、これまでの旅路を共にしてきた仲間たち一人一人と、静かに言葉を交わしていった。
「ガイウスさん」
「なんだ、蓮」
甲板で剣の最終確認をしていたガイウスに、蓮は静かに声をかけた。
「これまで、ありがとうございました。エスペランサ号での日々から、ずっと」
「よせよ、辛気臭え。まだ終わったわけじゃねえだろ」
ガイウスは、豪快に笑いながら、蓮の肩を叩いた。
「俺たちは、これからも、ずっと一緒だ。だろ?」
「はい」
蓮は、静かに、しかし確かな笑みを浮かべた。
***
「ドルシスさん」
船大工小屋で、最後の準備を進めていたドルシスに、蓮は声をかけた。
「蓮殿。これまで、多くのことを、共に学ばせていただきました」
ドルシスは、静かに、しかし確かな温かさを込めて言った。
「私の故郷で失われたもの――それは、もう戻ってはきません。ですが、あなたと共に歩んだこの旅路は、私にとって、新たな、大切な故郷のようなものになりました」
「ドルシスさん……」
「明日の戦い、共に乗り越えましょう」
蓮は、静かに、深く頷いた。
***
「鬼灯さん」
甲板の隅で、静かに得物を確認していた鬼灯に、蓮は歩み寄った。
「蓮」
「これまで、ありがとうございました。あなたが仲間になってくれたこと、俺は、本当に感謝しています」
鬼灯は、少し驚いたように蓮を見つめた後、静かに笑った。
「礼を言うのは、俺の方だ。お前が、俺を許してくれたから、俺は、こうして、償う機会を得られた」
「明日は、共に戦いましょう」
「ああ」
鬼灯は、静かに、しかし確かな決意を込めて頷いた。
***
「紅蓮さん、シズカさん」
島嶼連合と海洋教団の代表として、決戦に参加することを決めた二人にも、蓮は、静かに声をかけた。
「私たちも、この均衡を守るために、全力を尽くすわ」
紅蓮が、静かに、しかし力強く応じた。
「教団もまた、あなたと共に歩む道を選びます」
シズカも、穏やかに、しかし確かな決意を込めて頷いた。
***
そして、最後に、蓮は、静かに、損傷したまま船内に安置されている、ゼロ号のもとを訪れた。
「ゼロ号」
蓮は、静かに、機体に触れた。
「明日、決着をつけてくる。お前の犠牲を、無駄にはしない」
応える声は、もうなかった。だが、蓮は、確かに、ゼロ号の想いが、自分の中に、深く刻まれていることを感じていた。
***
甲板に戻ると、そこには、これまでの旅路を共にしてきた、すべての仲間たちが、静かに集まっていた。
ガイウス、ドルシス、鬼灯、ヴェルミナ、獅堂グレン、紅蓮、シズカ、ゴンザ、ボンゾウ、タケルとジロウ、そして桂雲田。
「皆」
蓮は、静かに、しかし確かな決意を込めて、仲間たちを見渡した。
「これまで、本当にありがとうございました。俺一人では、決して、ここまで来ることはできませんでした」
「またそれか」
イザベラが、静かに、しかし温かく笑った。
「その台詞も、これで、最後にしような」
「はい」
蓮は、静かに、深く頷いた。
「これが、最後の戦いです。皆で、必ず、乗り越えましょう」
甲板に集った仲間たちの間に、静かな、しかし確かな決意が、静かに満ちていった。
世界の均衡を賭けた、最後の戦いへの、すべての備えが、こうして、整えられていった。




