幕間 仲間たちの手紙
ゼロ号を失った悲しみの中、白鯨号の仲間たちは、それぞれの想いを、静かに、手紙という形に綴っていた。
***
『ゼロ号へ
お前と過ごした時間は、短かったが、間違いなく、俺にとって、大切な時間だった。あの生意気な口調、時々見せる、妙に人間くさい仕草――全部、忘れねえよ。
蓮のやつ、今もお前のことを思って、時々泣いてる。あいつのためにも、俺は、これからも、しっかり戦い続けるつもりだ。
ガイウス』
***
『ゼロ号殿
あなたが遺してくれた、失われた文明の技術の断片は、これからも、私たちの航海を、静かに支え続けることでしょう。
いつか、あなたを、再びこの手で蘇らせることができたなら――そのときは、また、共に、この海を旅しましょう。
ドルシス』
***
『ゼロ号へ
正直、機巧の鳥なんぞに、こんなに情が移るとは、思ってもみなかった。
お前の犠牲は、無駄にはしねえ。この命に代えても、この海の均衡は、守り抜いてみせる。
鬼灯』
***
蓮は、集まった仲間たちの手紙を、静かに、ひとつひとつ、読み返していた。
「皆、ゼロ号のことを、こんなにも大切に思ってくれていたんだな」
蓮の呟きに、イザベラは、静かに頷いた。
「お前だけの喪失じゃない。私たち皆にとって、ゼロ号は、かけがえのない仲間だった」
蓮は、静かに、手紙を胸に抱きしめた。
この悲しみを、いつか、確かな希望へと変えるために。蓮は、静かに、しかし確かな決意を、新たにしていた。




