幕間 タケルとジロウの実況録
「さあさあ皆さん! 本日も見張り台より、蓮の兄貴のこれまでの活躍を、振り返ってお届けします!」
タケルの威勢のいい声が、甲板に響き渡る。
「まずは、あの伝説の一戦、海賊王ダゴール討伐戦!」
「あれはすごかったなあ。強化された主砲、一撃でダゴールの旗艦を大破ですよ!」
ジロウが、身振り手振りを交えながら続ける。
「続いては、カラベラ防衛戦! 廃船から蘇った、まさかのガレオン艦隊!」
「あの時のドルシスの爺さんの采配、渋かったよなあ」
「渋いって言っても、実際に強化したのは蓮の兄貴ですからね!」
「わかってるって! でもよ、蓮の兄貴、絶対『俺は何もしてません』って言うだろ」
「言う言う! 絶対言う!」
甲板に集まった乗組員たちから、どっと笑いが起こる。
「そんでもって、五大海洋勢力の統合! これもう、歴史の教科書に載るレベルですよ!」
「載る載る! 俺たちの子孫が、いずれ学校で習うレベルだぜ、これ」
「で、今度は、未知の大陸文明との交渉ですからね。もう、兄貴のやることのスケール、どんどんでかくなってません?」
「なってるなってる! 最初はただの小刀強化だったのによ!」
タケルとジロウの掛け合いに、甲板の緊張が、少しずつ、和らいでいく。
「さて、次は、いよいよ、あの未知の大陸文明との、本格的な対話が始まるわけですが!」
「俺たちの兄貴なら、きっと、うまくやってくれるはずです!」
二人の実況は、単なる娯楽以上に、艦隊全体の士気を支える、大切な役割を担っていた。
蓮自身は、少し離れた場所で、その様子を、照れくさそうに、それでいて、どこか嬉しそうに眺めていた。
「まあ、あそこまで大袈裟にされると、恥ずかしいですけど……」
蓮が、隣に立つイザベラに、そっと呟く。
「いいじゃないか」
イザベラは、静かに笑いながら答えた。
「あの二人のおかげで、皆の士気が保たれている。それも、立派な力のひとつだ」
蓮は、静かに、その言葉に頷いた。




