表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
航図無限 ~最弱の水夫、ただ《道具超強化》だけで七つの海を制した男~  作者: 伝説の男前
第五部:世界周航編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
53/87

第49話 旗艦、限界突破

獅堂グレンを案内役に加えた艦隊は、大陸の奥地――失われた文明の中枢があるとされる場所を目指し、探索を進めていった。


「奥地へ向かうには、まだ広大な海域を渡る必要がある」


獅堂グレンが、手製の地図を広げながら説明した。


「この大陸は、いくつもの島々が複雑な海流で隔てられている。中枢部に辿り着くには、通常の航海術では、何ヶ月もかかるだろう」


「何ヶ月、ですか……」


蓮は、艦隊の食料事情を思い浮かべ、顔を曇らせた。


「時間を短縮する方法が、必要だな」


イザベラが、蓮の方を見た。


「蓮、旗艦の性能を、さらに引き上げることはできるか」


「これまで以上に、ですか」


蓮は、白鯨号――今や、艦隊の旗艦としての役割を担うようになったこの船を、改めて見つめた。


「やってみます。ただ、これまでとは、また違う種類の理解が必要になるかもしれません」


蓮は、旗艦の帆走性能について、改めて深く考え込んだ。これまでの強化は、船体の頑丈さや、速度の向上が中心だった。だが、風のない海域や、複雑な海流を突破するには、また別のアプローチが必要になる。


「風そのものを、味方につけられないだろうか」


蓮は、ふと、そんな考えに至った。


『蓮殿、興味深い着想です』


ゼロ号が、蓮の肩の上で反応した。


『帆の形状、素材、そして風を受ける角度――それらを極限まで理解し、最適化すれば、あるいは』


蓮は、ゼロ号の助言を受けながら、帆と索具の構造を、これまで以上に深く観察し始めた。


***


数日にわたる集中的な作業の末、蓮は、旗艦の帆走機構についての、これまでにない深い理解に到達した。


「これなら、いけるかもしれません」


蓮は、白鯨号のマストと帆に、そっと両手を添えた。


――風のない海でも、あらゆる海流の中でも、常に最適な推進力を生み出せる帆になれ。風そのものの流れを、読み解き、味方につけろ。


これまでで最も高度な願いを込めて念じた瞬間、白鯨号全体が、これまで見たことのない、複雑で美しい光の紋様に包まれた。


光が収まったとき、白鯨号の帆は、以前とはまったく異なる、精緻な織り目を持つ帆へと変貌していた。


「試しに、出港してみましょう」


蓮の提案で、艦隊は、あえて無風の海域を選び、白鯨号の性能を試すこととなった。


「風は、まったくない、な」


イザベラが、静かな海面を見つめながら呟いた。


だが次の瞬間、白鯨号は、まるで強い追い風を受けているかのように、猛烈な速度で滑り出していった。


「な……! 何が起きている……!?」


操舵手が、驚愕の声を上げる。


「これは……」


獅堂グレンでさえ、目を見張る速度だった。


「風がなくても、これほどの速度が出せるのか……!」


白鯨号は、これまでの常識を遥かに超える速度で、大海原を疾走していった。まるで、船そのものが、風を生み出しているかのような、異様な光景だった。


「この速度なら、大陸奥地までの航海期間を、大幅に短縮できます!」


ヴェルミナが、興奮気味に計算を弾き出した。


「これまで数ヶ月かかると見積もっていた行程が、これなら、数週間程度にまで縮まるでしょう」


イザベラは、満足げに頷いた。


「よくやった、蓮」


「はい……! でも、まだ限界まで理解しきれたわけじゃないかもしれません。もっと突き詰めれば――」


蓮の言葉に、獅堂グレンが興味深そうに笑った。


「面白い男だな、お前は。まだ上があると思っているのか」


「はい。この力には、まだまだ、俺の理解が追いついていない部分が、たくさんあると思うので」


その言葉通り、蓮の探究心は、留まることを知らなかった。旗艦の限界突破という大きな成果を得ながらも、蓮の目は、すでにその先――さらなる可能性へと向けられていた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ