幕間 紅蓮と島の子どもたち
島嶼連合との協力関係が結ばれてから、紅蓮は、島の子どもたちに囲まれる時間が、以前よりも増えていた。
「ねえ紅蓮様、本当に、王国の人たちと、仲良くするの?」
幼い少女が、不安げに尋ねてきた。
紅蓮は、静かに、少女の前に膝をついた。
「不安に思う気持ちは、わかるわ。私たちは、長い間、あの人たちのことを、恐ろしい存在だと教わってきたから」
「うん……」
「でもね」
紅蓮は、静かに、優しい声で続けた。
「あの白鯨号の船長さんも、そして、あの蓮という水夫も――決して、あなたたちを傷つけるような人たちじゃないわ」
「本当に?」
「ええ、本当よ」
紅蓮は、静かに微笑んだ。
「大事なのは、誰と手を組むかじゃなくて、どんな想いを持って、手を取り合うか、ということ。あの人たちの想いは、私たちの想いと、きっと同じよ」
少女は、まだ少し不安げな表情を浮かべながらも、静かに頷いた。
「紅蓮様が、そう言うなら……」
「これから、あなたたちが大人になる頃には、きっと、もっと穏やかな海になっているはずよ」
紅蓮は、遠く広がる海原を見つめながら、静かに、そう呟いた。
その言葉には、かつて故郷を失った紅蓮自身の、切なる願いが、静かに込められていた。
二度と、誰にも、あの日の自分と同じ痛みを味わわせたくない。
その想いこそが、紅蓮を、この新たな協力関係へと、突き動かしていたのだった。




