幕間 ドルシスの手記
ドルシスは、夜の静けさの中、古びた手記に、静かにペンを走らせていた。
『今日、また一つ、この島に平和が戻った。カラベラの人々の笑顔を見るたび、私は、失われた我が故郷、ガレアス島のことを思い出す』
ドルシスは、ペンを止め、しばし、遠い記憶に思いを馳せた。
『あの日、私たちが、互いの主張を譲らず、いがみ合っていなければ。外部の脅威に対し、一致団結できていれば――ガレアス島は、今も、あの美しい姿を保っていたかもしれない』
『蓮殿と、彼が繋ぎ止めていく人々の絆を見るたび、私は、あの日、失われたものの重さを、改めて噛みしめずにはいられない』
ドルシスは、静かに、ペンを走らせ続けた。
『だが、後悔ばかりしていても、何も生まれない。私にできることは、この経験を、蓮殿たちに伝え、二度と同じ過ちを繰り返させないことだ』
『五大海洋勢力の統合という、蓮殿たちの目指す構想。それは、かつての私たちが、成し得なかったことの、確かな体現でもある』
手記を閉じたドルシスは、静かに、窓の外に広がる、穏やかな夜の海を見つめた。
「今度こそ、間違えるわけにはいきませんな」
その呟きには、これまでの後悔と、そして、これからの希望が、静かに、しかし確かに、込められていた。




