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航図無限 ~最弱の水夫、ただ《道具超強化》だけで七つの海を制した男~  作者: 伝説の男前
第三部:植民地戦争編

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第34話 ゴンザとボンゾウ

シズカの来訪から数日後、カラベラの港には、さらに新たな顔ぶれが加わることになった。


「おう、あんたが噂の強化屋さんかい」


そう声をかけてきたのは、恰幅の良い、いかにも商人然とした男だった。関西訛りの、人懐っこい話し方が印象的だ。


「あ、はい、天草蓮です」


「わい、ボンゾウ言います。武器の商いやっとる者ですわ」


ボンゾウは人懐っこい笑顔を見せながら、蓮の手を握った。


「実はな、この島の防衛戦の噂、あちこちの商会で持ちきりでな。あんたの強化した武器やら船やら、いっぺん自分の目で見てみたなって、はるばる来たっちゅうわけですわ」


「見学、ですか」


「せや。それに――」


ボンゾウは声を潜めた。


「これから、ザガレスの野心とやらに立ち向かうんやったら、兵站は大事や思うてな。武器の調達、船具の手配、なんでも相談乗るで」


イザベラが興味深そうに割って入った。


「兵站の専門家、ということか。それは、確かにありがたい」


「へえ。任せてもらえたら、ええ働きしますで」


ボンゾウは自信満々に胸を張った。


***


その傍らでは、もうひとりの新顔が、興味深そうに強化されたガレオン船を眺めていた。


「んだこの船コ……。んめぇ仕事してんなぁ」


東北訛りの、朴訥とした話し方の男だった。歳の頃は蓮と同じくらいだろうか。


「あの、どちら様でしょうか」


蓮が声をかけると、男はびくりと肩を震わせた後、照れくさそうに頭を掻いた。


「あ、ゴンザって言います。船大工の見習いっつうか、材木の目利きしとります」


ゴンザは、ドルシスのもとで働く弟子のひとりだと名乗った。


「ドルシス師匠から、あんたの噂、聞いとったんす。道具の理解っつうもんを、あんなに突き詰められる人、初めて見たって」


「ドルシスさんが、そんな風に……」


蓮は少し照れくさく思いながら答えた。


「ゴンザさんは、材木の目利きが専門なんですか」


「んだ。どの木がどんな性質持っとるか、見りゃだいたいわかるんす。あんたの強化と組み合わせりゃ、もっとええ船コ作れるんでねえかって、ずっと思っとって」


ゴンザの言葉に、蓮は目を輝かせた。


「それは、すごく助かります! 材木の性質を最初から詳しく知っていれば、理解を深めるのも早くなるかもしれません」


「んだら、これから、よろしゅう頼むっす」


ゴンザは照れくさそうに、それでいて嬉しそうに笑った。


***


その日の夕方、イザベラは会議所に、新たに加わったボンゾウとゴンザ、そしてこれまでの仲間たちを集めた。


「ザガレスとの本格的な対立が予想される以上、兵站と造船体制の強化は急務だ」


イザベラの言葉に、ボンゾウが自信たっぷりに応じた。


「任しといてください、船長さん。わいの人脈使えば、必要な物資、なんでも揃えて見せますわ」


「わしも、ドルシス師匠と一緒に、ええ船コ、いっぱい作るっす」


ゴンザも、控えめながらも力強く頷いた。


蓮は、着実に増えていく仲間たちの顔ぶれを見渡しながら、これまでとは違う種類の心強さを感じていた。


一人だった孤独な水夫の航海は、いつしか、多くの仲間たちと共に歩む、大きな航海へと変わりつつあった。


ザガレスとの本格的な対立は、まだこれからだった。だが、その対立に立ち向かうための土台は、こうして、着実に築かれ始めていた。


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