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航図無限 ~最弱の水夫、ただ《道具超強化》だけで七つの海を制した男~  作者: 伝説の男前
第三部:植民地戦争編

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第22話 第一波を退けて

夜明けと共に、敵艦隊が動き出した。


「来るぞ! 全員、持ち場につけ!」


イザベラの号令が、要塞と白鯨号の双方に響き渡る。ザガレスの艦隊は、降伏勧告の期限が過ぎたことを確認すると、迷うことなく総攻撃の構えを見せた。


「まずは、様子見といったところだろう」


ヴェルミナが望遠鏡越しに敵の動きを観察しながら分析する。


「敵艦隊のうち、五隻がこちらに接近中。おそらく、抵抗の有無を確かめるための先鋒だ」


「五隻程度なら、白鯨号だけでも……」


ガイウスが剣を抜きかけるのを、イザベラが制した。


「いや、ここは要塞砲と連携する。蓮、頼めるか」


「はい……!」


蓮は強化した要塞砲の傍らで、緊張しながら頷いた。


敵先鋒の五隻が、カラベラの沿岸に迫ってくる。彼らはまだ、この島の要塞が、以前とは比較にならないほどの脅威に生まれ変わっていることを知らない。


「照準よし! 要塞、撃て!」


砲術担当者の号令と共に、強化された要塞砲が火を吹いた。


轟音が響き渡り、先頭を進んでいた敵艦の一隻が、まるで紙細工のように吹き飛んだ。続けて放たれた砲弾が、次々と敵艦を捉えていく。


「な、なんだ、あの威力は……!」


敵艦隊の指揮官と思しき声が、混乱と共に響いてくる。旧式の要塞だと侮っていたのだろう、その反応は明らかに動揺していた。


「今だ! 白鯨号、出撃!」


イザベラの号令で、白鯨号が港を離れ、混乱する敵艦隊に突入していく。強化された船体は、圧倒的な速度で敵の隊列を切り裂いていった。


「うおおおおお!」


ガイウスが甲板から敵艦に飛び移り、獅子奮迅の働きを見せる。規格外の剣技が、敵兵をなぎ倒していった。


戦闘は、驚くほど短時間で決着がついた。先鋒の五隻のうち三隻が沈没、残る二隻も大破し、命からがら本隊へと逃げ帰っていった。


「――退いたか」


イザベラが甲板の上で、遠ざかる敵艦を見据えながら呟いた。


「これで、少なくとも今日一日は稼げたな」


要塞の砲術担当者が、興奮した様子で駆け寄ってきた。


「素晴らしい! これほどの威力になるとは……! 蓮殿、本当にありがとうございます!」


「い、いえ、俺は要塞砲を強化しただけで、実際に戦ったのは皆さんですから」


蓮がいつものように謙遜すると、傍らのガイウスが呆れたように笑った。


「相変わらずだな、お前は。まあ、そういうところも含めて、お前らしいけどよ」


戦闘の興奮も冷めやらぬ中、カラベラの住民たちからは、安堵の声と歓声が上がっていた。だが、イザベラだけは、油断のない表情で、遠くに展開する敵艦隊本隊を見据え続けていた。


「あれは、あくまで先鋒だ。本隊は、まだ健在のまま残っている」


その言葉に、浮かれかけていた空気が、一瞬にして引き締まった。


真の決戦は、まだこれからだった。


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