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ロードは苦虫を噛み潰したような顔をして、アノンにミネリタの批判をする。その様子も巻き戻り前と同じで、アノンは、やっぱりロードはロードだと思った。そして彼の最期を看取った時に、慟哭したことを思い出し、またもや涙が溢れそうになる。
(今泣いたら駄目!きっと二人が心配してしまう)
そう思って、何とか唾を飲み込み、涙を止めてロードに問いかけた。
「ロードは、お母様がどうして金髪と青い目に拘るか知ってるの?」
「えぇ知っております。でもまさか血の存続を無視するほどとは思っても見ませんでした」
アノンの問いにロードは肯定したあと、嘆かわしいと言うように頭を振って、そして眉間に指を当ていつもの癖を披露する。
アノンは、そんなロードを見て、ミネリタの拘りが大層な理由ではなかったのだと知る。
「教えてもらってもいいかしら?」
ロードはアノンの疑問は尤もだと思っても、あまりにもくだらなすぎて、アノンが傷つくのではないかと躊躇してユナの方へと視線を向けた。ユナはロードと目が合うと「お願いします」とアノンと一緒に彼を促した。
「ミネリタは、あっ失礼。つい心の声が⋯」
「「プッ」」
ロードが主人を呼びつけにした事に、思わずアノンとユナは同時に吹き出してしまった。
そのおかげだろうか、馬車の中がほっこりとした雰囲気に包まれる。悪口でほっこりするのもどうかと思うが、今までの鬱憤もロードなりにあったのかと思えば、アノンは母の事ではあるが、申し訳なく思い、呼びつけを許可した。
「始めは、ミネリタが学園に入学した年の、初めての長期休暇で帰省したときでした。ミネリタが突然第二王子殿下の婚約者候補に選ばれたと、旦那様に報告したのです」
「えっ?」
思わずアノンは聞き返すほど驚いた。ユナは声も出せずに口元を押さえて驚愕している。
「第二王子様って、スカイナ王国の第二王子殿下?」
「はい、そうです」
「まさか⋯有り得ないわ!」
「はい、正直申せば私もそう思いましたし、旦那様、前子爵様も奥様も半信半疑でした」
「その頃って、ロードの立ち位置はどうだったの?」
かつてはミネリタの婿候補だったロードが、どんな立場でそれを聞いたのか、そのほうがアノンには気になった。
「私は、まだ一応婿候補ではありましたが、私とミネリタはあまり相性が良くなかったので、旦那様と秘密裏に他の婿候補を探していました。私を推して下さっていたのは奥様の方なのです」
「そうだったのね、お祖母様が⋯」
アノンは祖母に、可愛がってもらった記憶を探るが、あまり身に覚えがなかった。嫌われているわけではないが、どちらかというと祖父の方がアノンを可愛がってくれた記憶の方が多い。
ひょっとしたらジュノンが、婿になった経緯が関係してるのだろうか?そんなふうに思いながら、ロードの話の続きを聞く。
そもそもミネリタは、嫡女と言ってもジェルバン家は子爵だ。第二王子が婿に入るには爵位が低すぎる。
どうして、そんな話になったのか、アノンは続きが気になってロードの話に耳を傾けた。




